第二百九十三話
結局、李典が出した最臭兵器は注意書きをした上で華琳ちゃんに送った……んじゃがどうやら注意書きが信用できずに開けてしまったらしく大惨事を起こしたとか……近くにいた諜報員も巻き込まれたと報告があったので間違いないじゃろう。
「んで苦情を入れられるのはかなり不本意なんじゃが?ちゃんと吾直々に注意書きしてやったじゃろうが!」
「それは書き方や言い回しに問題があったんだと思いますよ?例えば曹操さんには絶対耐えられないから試してみようなんて無茶なことはやめておいた方がいいとか書きながら一応食料にもなるぞと書いちゃいましたからねぇ。食べれるのにあんなに臭いなんて思わないですよー。お嬢様の狙い通りですね?」
な、なんのことじゃ?吾はちゃんと真実しか書いておらんじゃろ?!七乃も疑いすぎじゃぞ?……バレたら華琳ちゃんがマジギレして襲ってくるかもしれんから知らぬ存ぜぬを貫くぞ。
ちなみにあの最臭兵器を食べるには壺を開放し、煙突のようなものを取り付けて臭いを上へ逃して三日ほど放置して焼いて食べるのが普通なんじゃと。
他にも簡単な方法としては壺の蓋を少し開けた状態で火に掛けて煮ると臭いが多く軽減され、早く食べられる……のじゃが、食べた後にしばらく喉から臭いが数時間に渡って残るらしいからのぉ。まぁ気にせん奴らは気にせん程度らしいが、華琳ちゃんは耐えられんじゃろうなぁ……とも書いたんじゃがどうやら気になったらしく本当に食べたようじゃ。
……吾も食べておらんのに……さすが覇王様……いや、どっちかというとあんな臭いものでも食そうとするあたり蛮勇な気も?まぁ美食家の華琳ちゃんじゃから食べるじゃろうとは思っておったが。
「それで味の改良点を出されるとは思いもしなかったがな。実際開発者である司馬通なんぞ目が点になっておったし」
「あ、それは勘違いですよー。司馬通さん、あれの味に自信があったみたいでまさか指摘されるなんて思いもしなかったそうです」
そっちか?!そっちだったのかや?!
てっきり華琳ちゃんのレポートが六法全書三冊分ぐらい来たことに唖然としておったのかと思ったんじゃがの。
というか華琳ちゃん……おぬしそんなに暇じゃないじゃろ?いったい何と戦っておるんじゃ?絶対倒れんでくれよ?吾、これ以上仕事増やされると死んでしまうぞ?働き蜂が元気だからこその女王蜂(男の娘)なんじゃぞ?
「……ところでお嬢様」
「ん?どうしたのじゃ?」
「お嬢様の本来の目的だった董卓さん達への負担軽減ですけど……」
「おお、どうなっておる?」
「前線都市の構築、曹操さん達の派遣によって馬の需要が跳ね上がって値上がりで音を上げているらしいですよ」
「お、上手いこと言うの七乃!…………って駄目じゃろ?!」
あれ?結局吾、董卓達の足を引っ張っただけかや?!
とはいえのぉ。なんとかひねり出した労力で華琳ちゃんや公孫賛達の援助しておるからもう余裕なんてないしのぉ。
「また新しいネタ……もとい計画を考えねばならんなぁ」
「そしてまた皆を振り回すんですね。わかります」
「そんなことは……ない……ない?」
吾が動く度に大騒動になるのであまり強く否定できんの。
―――
著者から一言。
皆!健康管理には気をつけよう!(戒め)