第二百九十七話
とりあえず司馬通に反省を促すために奴の座席の最臭兵器練り香水を塗布しておいた。
そして暴挙を止められなかった李典には吾から特別なお仕事を与えてやったのじゃ。
「そんな殺生なーとは思うたけど、内容を聞けばいつもどおりで安心はしたけど、また変わったもんを考えたなぁ」
「ふっふっふ、これを甘く見ておったらいかんぞ?なにせやり方によっては何百万という人間を地獄に落とす可能性を秘めておるんじゃからな」
「んなわけないやろ。さすがに大げさやで」
まぁそう考えても仕方なかろうな。
しかし、実際現代では数え切れんほどの被害者が生まれておるんじゃぞ。
吾も小さい頃はお世話になったしのぉ。もっとも被害者を増やしたのはこれとは違う種類じゃがの。
「それでこれはなんて名前にするんや?」
「そうじゃの~」
商標登録の関係で色々名前があるコレじゃが……一般的な総称はこの時代では覚えにくいじゃろう。
となると――
「ガチャッポンでいいじゃろ」
本当に人生を投げ捨てるような課金をするものが数多くおったからなぁ。特にソシャゲは。
まぁ吾がお世話になったのはおもちゃが出るカプセルトイの方じゃがの。アニメマンガのろくに消えない消しゴムとかの。
「そのままやなぁー。ガチャッと回してポンと出るからガチャッポンかいな。でもそれならガチャポ――」
「それはだめなのじゃ!」
怖い怖い人達が来てしまうんじゃぞ?……え?そんなに変わらんて?気のせいじゃろ。
もっとも今の吾なら札束の投げあいで負ける気はせんがな。
「なんのこだわりやねん……まぁええけど。それで機構的にはわかってるんやけどこれをどうするんや?」
「ふっふっふ、このガチャッポンの呪力を思い知るが良いぞ!まずはこれ!」
「ん?ビンゴに使う玉の大きい版やな。それならガチャッポンから出すことができる」
「うむ、そして詰め詰め詰め詰めっと……さて、肝心の景品表はこちらじゃ!」
カプセルトイとしては失格な点は、透明なカプセルが用意できんかったから商品を中に入れても見栄えが悪いことじゃ。ガッチャポン自体も透けておらんから中身がどれぐらいあるか見えんしのぉ。
そこで仕方ないので商品は手動の交換式にしたんじゃよ。日本と違って商品交換を禁じる風営法なんてないからの。むしろ吾が法!を地で行く環境じゃから問題なんてあるはずもない。
「な、なん……やて?!」
ほっほっほ、景品表をみて驚いておる驚いておる。
なにせ特賞は蜂蜜一年間食べ放題――
「一等が一日休暇やて?!」
……じゃよな~。わかってたし~、そんなこと知ってたし~。
「でも外れが書類一束って酷い罰やな」
「一等の一日休暇の分を他の者に押し付けておるわけじゃな」
「なるほどなー……ところでこれ、ウチも回せるんか?」
「もちろんじゃよ。別に李典が作ったものじゃ不正ができる代物でもないからの」
「じゃあ早速……って、高っ?!え、これ一回でこれなんか?!足元見すぎやろ!」
と言いつつやめんじゃろ?これがガッチャポンの呪力じゃよ。
ちなみに李典は気づいておらんかもしれんが、特賞はおぬしが作った五台の内の一つにしか入っておらんからの~。
これぞ闇ガッチャじゃな。
吾ながら恐ろしいものを作ってしもうたのじゃ……まぁ作ったのは李典じゃがの。