第三百六話
色々調べてみたがなかなかギミックの解明が進まなかったのじゃ。
隠し扉の位置はわかったんじゃがのぉ。
とっとと壊して中を確認するという話も出たんじゃが――
「宮殿をせっかくのいい暇つぶしを力づくで終わらせるのは勿体なかろう」
と吾の一言でそのまま残し、皆で楽しく解錠しようということになったのじゃ。
ヒントが少なすぎる脱出ゲーム的なノリじゃな。
ついでに宮殿を壊すのにも色々手続きが必要で面倒じゃしの。ちなみに帝が勅命しても緊急性が高くないことは他の者が手続きするのと変わらん。まぁそのようにしたのは吾なんじゃがの。
それで色々調べてみたのじゃ。
帝は今までの皇帝の日誌を読んだり、吾等は宮殿の設計図や過去の高官の日誌や議事録を調べてみたのじゃ。
あ、もちろんそれほどの時間が一気に割けるわけもなく、皆が暇な時間に調べたのじゃ。
いやー議事録は腐るほどあるのはわかっておったが、宮殿の設計図もめっちゃあるんじゃなぁ。政変、催事、宴会の数だけ増改築を繰り返しておるからそれだけの設計図がある……めっちゃ邪魔じゃから焼き捨ててもいいじゃろうか。
「しかもその設計図が間違っておるんじゃからのぉ」
と嘆くと孫権が苦笑いを浮かべ――
「おそらく当時の皇帝か高官が口を出して変更させたのでしょう」
理不尽は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!って叫びたくなるの。この場合、逮捕されるのは皇帝か高官じゃな。
「華琳ちゃんに聞いてもわからんらしいしのぉ」
「曹操さん大激怒してましたねぇ」
名家である曹家なら何か知っておるかもしれんのぉ~と手紙を送ったんじゃが、またまた分厚い返信が来たんじゃよ。しかも前回とは違って字が終始荒ぶっておったから間違いなく怒っておったじゃろうな……ちょっとしたお茶目なんじゃからそんなに怒らんでもいいじゃろ。
しょんぼりへにょん、なのじゃ。
「討伐任務中ですからねぇ。お嬢様も決算時期にこのような手紙が届いたら――」
「こんな馬鹿げたことを書けないように両腕を切り落としてやるのじゃ!」
でも――
「それでも吾は悪くないのじゃ!」
「さすがお嬢様!自分が悪くても真っ向から否定するその姿勢は黄河の雄大さの如し!」
「ぬはははは!もっと褒めてたも褒めてたも!」
吾の体格で黄河と言われてもちょっとミスマッチな気がするが……まぁ細かいことはどうでもよいか。
「さて、吾等の話をすり合わせるとここに……あったぞ」
床から5cmほどの高さに小さな穴を見つけ、そこに針を刺す……とガコンッと音が聞こえた。
「よし、正解じゃ!」
「でも肝心の中に何があるのかなどの情報はなかったんですよねー」
「扉を開けますが、罠があるかもしれないので下がってください」
今の集まりの中で一番武に長けている孫権が代表として扉を開く……が、その先には――