第三百十三話
というわけで満場一致で氷漬けして封印することとなった。
唯一駄本がピカピカと光って何かを訴えておったが……まぁあの場におった顔ぶれではその程度のの主張では眉一つとして動かんので意味を成さんかったがな。
ついでに言えば全員無視したことで駄本がちょっとしょぼくれていたのは気のせい……ではなかろうな。
しかし封印方法を決めたのはよいが、実はこれには問題があったんじゃ。
季節的に氷を作ることができんのじゃよ。
仕方ないので最高級氷、つまり超透明度が高い氷……を保存しておる氷室から引っ張り出して駄本のサイズに合わせて削って置き、氷でサンドイッチ!駄本が無事見えることを確認すると次は更に上下を、こちらも駄本を挟んだ氷に合わせ削ったものを嵌めて固定させたのじゃ。
更に更に上下と四方を檻で囲んだ。ちなみに檻は出入り口など用意されておらんから中に入ろうとすればぶっ壊すしかないのじゃ。
ちなみにこの檻よりも使用された氷の方が金額的には高額じゃったりする。なにせこの氷は最高級品というだけあって本来なら皇室御用達じゃからの。臣下に褒美として与えるような品物だったりするのじゃからな。
「いやー、苦労したのぉ」
「ええ、本当に……まさか私達がやることになるとは思いませんでしたよー」
ここにおるのは秘密の部屋を解明したときのメンバーである七乃、魯粛、孫権、帝と発見時はおったが解明時はおらんかった周泰と相談した華陀、更に護衛兼作業員として増員した紀霊、そして監視役として配備する予定の影三名だけしかおらん。
情報を秘匿するにはそれを知る人間は最低限にしておくに限るじゃろ?だから信用できる者だけを集めたのじゃ。
……うん、本当にこのメンツしかおらんのじゃよ。
つまり、氷や檻の組み立ては全て吾等が自力で用意したのじゃ。
「ううぅ、手が痛いのだ」
帝がかじかんだ手を温めるために息を吹きかけたり擦ったりしておるが気持ちはわかるぞ。
氷を切るのは結構大変じゃよなぁー。
ちなみに吾は駄本を埋め込むためのスペースを作るべく削っておったぞ。他にも上下の氷の加工もじゃな。
これでも彫刻を嗜んでおるから他の者よりは断然上手いからの。サイズピッタリにするなら吾が適任だったのじゃ。
あ、華陀が帝の手を診ておるな。やはり医者が同行しておるとなかなかに心強いのぉ。できればもっとゴッドヴェイドーの医者を増やしたいところなんじゃが専門職は本当に増やすのが難しいのぉ。
現代でもすぐに解決することができなかったが、ゴッドヴェイドーは『気』なんていう素質そのものあ必要であることから更に狭き門なんじゃよなぁ。
それはともかく――
「これでそう簡単には手を出せなかろう」
「そうでなければ苦労が報われません!」