第三百五十八話
「ふ~ん……愚姉は賊を討伐したのね」
自身の身内の活躍であるはずなのに興味の無さが滲み出ている声で孫権は漏らす。
孫権からすれば姉が賊に敗れることなどありえず、当然の結果なのだから興味を抱けという方が難しかった。
しかし、一つだけ気になった点があった。
「でもほぼ同数の敵とは言っても一日以内に決着できなかったの……腕が鈍ったのかしら」
賊軍には目立つ将がおらず、兵数は同数、地の利も自領内ということで十分あった。にも関わらず日を跨ぐことになったことが孫権からしたら怠慢にしかおもえなかった。
「周瑜も同行していてこのざま……何か裏がある?もしかして今回の叛乱そのものが愚姉の企みの可能性が……いや、さすがにあの愚姉であってもそんなことはしないはず。お嬢様が本気になれば取り潰しなど容易いことだし」
敵が孫策となれば袁術が負けることはない、と孫権は断言できる。
なぜなら孫策達の領地である南荊州の経済は既に裏商会が握っていることで戦争そのものが成立させないことができるからだ。
しかし、それならなぜ揚州の叛乱を防ぐことができなかったのかというと……簡単にまとめると彼らは統治者ではなく、賊であるから、だ。
統治者なら徴発という名の強奪は民心が離れるため控える(やらないとは言ってない)が、賊は問答無用で奪う。つまり孫策達は強奪できずに兵糧を商会に依存してしまうのに対して叛乱軍は自分達の郷以外は強奪対象となって問答無用で強奪して補填するため商会の依存度が自然と低下するのだ。
つまり、袁術は相手が統治者として優れている場合は無類の強さを誇る反面、考えなしの強盗もどき相手にはイマイチ発揮しないという弱点がある。
「こちらの都合としてはもう少し時間がったら嬉しかったが……それはこちらの都合だから仕方ないか」
叛乱軍が討伐されたというのは揚州で好き勝手していた豪族達に影響を及ぼした。
討伐軍が負けた以上先が長くないということを察した揚州豪族達は犯行を止めてなりをひそめた。
勝ちが見えなくなって逃げの戦術は悪くない選択肢だといえる。そして、孫権がせっかく新しく雇い入れた家臣から新たに情報を得られたため孫権は順調に粛清をしていたのだが、今となっては数が少なく、効率が悪くなってきていた。
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すいません。眠たくて眠たくて書けませんでした。
おやすむなさい