第三百六十五話
「うむ、やはり事業縮小……いや、よく考えると方針転換かの?は正解じゃったの」
転換には労力が必要じゃから軽く何十人か病院送りになったが、そのかいあって結果的山場を乗り越えることに成功したのじゃ。とは言っても仕事量が減ったわけではない……が、百の仕事が方針転換で百五十になり、今は百に戻った。これでは意味がないように思えるかもしれんが、山場を乗り越えて百に戻ったということはこれからは新たな何か(吾が余計なことを言い出さなければ)仕事量は減っていくじゃろう。
うむうむ、これが終わったら少しだけ休みが取れるようになると発破を掛けたが、軌道に乗るまで少し時間が必要じゃが約束は守れそうじゃな。ちょっと犠牲者が出たが報いることができそうで良かったのじゃ。
「それにしてもお嬢様はよくこんな療養施設を考えますね~。見たこともない様式で大工さん達がめちゃくちゃ困ってましたね」
「それと同時に興奮しておったがの」
幸い、吾の絵心は人だけでなく風景画や立体物にも対応しておるので未来の建物や異国情緒溢れる建物をいっぱいデッサンしたのじゃ。バブル期のホテルのようなどこに行っても同じような作り、同じような食事……しかも不味い……を提供するような失敗はせんぞ!
まぁそのせいで七乃が言う通り大工が試行錯誤しておるそうじゃがの。中国伝統の無茶工事による建物崩壊なんて起こらんように気をつけさせてはおるが……不安じゃのぉ。一応模型を作って耐久度は調べるように通達はしておるが元日本人的には中国の建築物と聞くと不安になるのは仕方ないじゃろ?実際はこの時代だと中国の方が文化も技術も先を行っておるんじゃがの。この時代は中国とローマが最先端じゃ。
「道路の整備を進めたおかげで資材には困らないのは幸いですね」
「うむ。大規模な人の移動も速くなって予定を組むのが楽になったと報告もあるしの」
「その分、敵が攻めやすくなっちゃいましたけどねー」
「それは大丈夫……じゃと信じたいの。少なくとも吾等が政権を握っておる間は、の」
戦争が起こる場合、通常だと必ず主食である麦や米などの値が高騰するため商会が機能しておる限り事前に発覚するものじゃ。
ちなみに今回の揚州の叛乱は突発過ぎてこの機能が果たせなかったが、突発的な行動では兵站が維持できんからここまで攻め上がってくるのに時間がかかるのでそれまでには対処できるじゃろうという防衛案じゃな。
もっともこれらは言った通り吾等が政権を握っておる間の話で、他者に移譲するとなると……どうしようかのぉ?商会は一応吾等の物じゃから渡すつもりはないし…………まぁ引き継いだ者が考えてくれるじゃろ!(丸投げ)
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絶賛スランプ中で、内容よりも更新に力を入れています。