第三百七十一話
「というわけで関羽の無事と活躍を祝って――」
「「乾杯(なのじゃ)!」」
サボり魔達は既に元の巣へと帰って身内(幹部)だけでの祝いの宴じゃ
蜂蜜酒をグビッとな!
「今回は大変だったようじゃな」
「……はい。味方を信用できないというのがこれほど辛いことだとは思いませんでした」
「ふむ、それはなかなか厳しいのぉ」
吾は七乃と紀霊がおったから問題なかったが、二人がおらん状態で南陽太守を任されたようなもんか……控えめに言って地獄じゃな。
というか原作通りで紀霊がおらず七乃だけであったなら最初の膿出しの段階で結構苦戦しておった可能性が高いの。
もしそうならおそらく孫堅から孫策を借り受けて原作に近い感じになっておったかもしれん。いや、むしろ悪どさは原作袁術には負けておるから孫策に乗っ取られておるかもしれんの。
「ただ、孫権殿が大丈夫かどうかはいささか疑問ですが」
「おう……報告されてはおったがそんなにか?」
「ええ、こちらにいた時とは別人のようですよ」
「それはいい意味で……ってわけじゃないじゃろなぁ」
「将として、ならいいかもしれません。……いえ、それでも問題がありか?」
NOー!孫権さんもうちょっと自重してたも!でも結果的に上手くいっておるし……いやいやそういう成果主義的なことをしておったら何処かの軍みたいに勝手に戦争を始めたりするかもしれんし、一応孫権に釘を刺しておくか。
「そういえば袁術様に折り入ってお願いがあります」
「お、おぉう。な、なんじゃ?急に改まって姿勢正して……しょ、書類なら少しぐらい吾がやっても良いぞ?」
でも少しだけじゃぞ?これ以上はちょっとしんどいぞ?いや、無理すれば一日分ぐらいは……死ぬかもしれんが頑張るぞ?だから……だから辞めるなんて言うでないぞ?!?!(錯乱中)
「それは自分の分なのでお構いなく」
おや?どうやら辞める話ではないようじゃ。よかったよかった。……ぶっちゃけて言うと今回の式典と宴だけであった余裕がなくなったからの。これ以上はちょっと修羅化せねばならんところじゃった。
「それならば……あ、休みか?大丈夫じゃ。三日は休んでもらって良いぞ」
「でしたらお言葉に甘えまして……その休暇をお嬢様が取っていただけますか」
「ホッ!?な、なぜ吾が?せっかくの休みじゃぞ?皆が皆欲しがってやまぬ。それこそ金を積み上げても買えぬもっとも高価なものじゃぞ?!?!」
熱でもあるのではないか?いや、それとも戦いで殺伐として書類仕事が恋しいとか……んなわけないじゃろ。ならばいったいなぜなのじゃー!(二度目の錯乱)
「できれば……その……袁術様ご自身の姿絵を何枚か頂きたく……」
「む?吾の姿絵かや?それなら既に何枚かあるが?」
一応絵描きは吾の趣味じゃからの。ついでに吾自身の成長記録でもあるが……まぁもう十年ぐらい全然変わっておらんがな!!
しかし、関羽が吾の姿絵というのは不思議な話じゃの。七乃や紀霊ならわかるが……となると――
「こちらに出発前に孫権殿と約束したので、できれば特別な物を……」
やはり孫権にお願いされたのか。
どちらにしても――
「ならば手を抜くわけにはいかんな。では関羽の休暇、一日だけもろうて良いか?全力で頑張るぞ」
「願い聞き入れて頂きありがとうございます」
「もう、堅苦しすぎるぞ?ここでは帝だろうが奴隷だろうが等しく(ブラック)戦友なんじゃろ?」
「……それもどうかと思うのですが」