第三百七十三話
「完成したが……こんな感じでいいんじゃろうか?というかこれ、勢いで描いたもののかなり恥ずかしいんじゃが……」
漫画はさすがに方向性のズレが気になってやめて、現代のグラビア写真集を手本として創り上げた吾のイラスト集じゃ。
吾自身のヌードを描くことになるとは思いもせんかったが……さすがにやりすぎた気がするのじゃ。
しかし、やめるにしても結局一日で描き上がらず、もう一日関羽の休暇をもらうことになってしもうた以上、これを贈るしかないのじゃ……ないのじゃが……う~ん。さすがにこれはどうなんじゃろ?
「さすがに扇情過ぎるかのぉ?」
いや、それ以前にこんな男の娘のヌードを喜ぶんじゃろうか?やはり普通に描いたほうが良かった気がしてきた…………が――
「――よく考えるとふんどしや水着で歩く者がおるんじゃからこれぐらいは許されるかの?」
と甘寧や李典などを思い浮かべ自分に理論武装を施していく。
何よりせっかく恥かしい思いをして鏡の前でポージングしながら描いたしのぉ。
余談じゃが、イラスト集の一部、吾尽くし、という吾がいっぱい群れておるものとか、孫権とのツーショットなども盛り込まれておる。
「お嬢様……もちろん私にももらえるんですよね?」
その声は後ろから聞こえてきたのじゃ。
小さくビクッと跳ねたのは吾は悪くない。
な、なぜ、この時間に七乃がここにおるんじゃ?仕事中のはずじゃろ?!
「いや、今回のこれは孫権のじゃから……」
「もちろん、私にも、もらえますよね?」
「ま、前向きに検討いたしますのじゃ」
グラビアポーズはそう何度もしたくないんじゃが……一時期流行ったM字開脚とか自分でやって自分で描くとかさすがに精神にクるんじゃよ。
ま、まったく同じもので良ければ――あ、駄目ですか。そうですか。
「それにしてもお嬢様って絵になるとは思っていましたが、これは一段と凄いですね。いつもより手が込んでないですけど」
七乃が顔を赤くして恥ずかしそうにしながらもガン見しながら言う。
それほど見られると吾も恥ずかしいんじゃが?というか本人の前で見ないでほしいぞ。
「さすがにこの枚数ではいつものような質は二日では不可能じゃった。とはいえ、やはり一枚ぐらいはガチなやつが必要じゃろうと思って用意はしておるんじゃがの」
「これは……いつものとは違う趣ですね」
写実的なのは同じじゃが、いつもは中国や日本的であったが、今回は西洋風で描いてみたのじゃ。
やはり特別というからには常とは違うことをせねばなるまい。
「なんとも神秘的な感じでお嬢様の違った魅力が醸し出されています」
「そうじゃろそうじゃろ。なかなかの出来て嬉しくての。今度からこちらも鍛えてみようかの」
ただ、問題は……孫権にこれを渡して吾を美化させたりせんじゃろうか?という疑問じゃ。
あまり美化させてしまうと実際に会った時にガッカリされたら吾、ショックで寝込んでしまうかもしれん。そうなったら国滅亡(書類地獄的に)の危機じゃ。