第六話
「マリオンちゃんマジ策士だな。よっ、今孔明」
「そんなに煽てても何もでませんよ?」
あら、照れちゃって可愛い。ロリコンバンザイ!でも同志はいらねー俺が独占するんだ。
そして今俺達がどういう状態にいるかというと…ジオン軍の基地に運ばれてるぜ。イェイ!
俺達ってモビルスーツが本体なわけで、他人からは見えない。
だから発見されるようにコクピットを開いて片膝付かせて待つとジオンが俺達を捕獲に来るわけさ。
シャアが操るザクをフルボッコにした事実もあるし連邦の新型モビルスーツのデータも欲しいだろうしな。
しかもモビルスーツが本来必要な燃料は異次元に貯蔵される仕様な俺達は人間からすると燃料が無くなって動けなくなって放置されているようにしか見えないのさ。
「本当によく考えたよな。これなら俺達の燃料も消費せずに移動できるし」
「基地の警戒は基本的に外向きにされているので私達の監視も少なくて済みます。私達を解析しようと分解される前に行動すれば問題ないでしょう」
ふっふっふ、マリオンちゃんもなかなかの悪よのう。
「それに一番肝心であるEXAMシステムは連邦によってブラックボックス化、更に私も手を加えてますからそうそうコピーすら出来ませんよ」
「キャーステキー抱いて—」
「だが断ります」
だからやっぱりマリオンちゃんは転生者だろ。
「ジョジョの奇妙な冒険って面白いですよね」
ああ、ガンダムの世界にもあったのね。…本当か?本当にあるのか?
「ところでちゃんとキャルフォルニアベースに向かってるんだろうな」
「はい、システムは起動してませんけど太陽の位置から間違いないです」
宇宙育ちでもそんなことは知ってんのね。
暇なのでマリオンちゃんと喋って過ごした日々プライスレス…じゃなくて2日。
やっとキャルフォルニアベースへ到着、インフラ整備ができてないせいで現代より時間が掛かったな。
てっきり研究所とかに直行かと思いきや格納庫に2日ほど入れられるらしい。
どうやらホワイトベースの情報解析の為に研究者が別の基地に招集されているらしく、テキトーに格納庫に入れて帰ってくるまで待つのだそうだ。
「俺達に都合が良すぎて怖い」
「運の良さもここまで来ると警戒してしまいます」
とりあえず夜まで待ち、行動開始。
格納庫内にあるのは…ザクIIJ型3機、ドダイ3機、マゼラアタック5機という豪華ラインナップ!
「ドダイは何味でしょうね」
マリオンちゃんの目が輝いてる…マリオンちゃんってそんなキャラだっけか。
まぁどんなマリオンちゃんも受け入れるがな!
さて、希望通り最初はドダイから頂くとするか、幸いなぜか見張りも巡回も居ないしゆっくりできそうで助かる。
「おお、味噌汁か。しかも赤味噌…まぁ俺は合わせ味噌派だけども」
「これが味噌汁ですか、インスタントなら偶に飲んでましたが…なかなか深い味です」
なるほど、インスタントなら手軽だから宇宙でも人気あるかもしれん。いざとなったら水で食べれないこともないしな。
「つまりここにはおにぎり(梅)、味噌汁(赤)、佃煮(イナゴ)が揃ったわけだ…後は玉子焼きがあればパーフェクトだな。塩分多いけど」
「おにぎりと味噌汁…なんというコンビネーション!」
マリオンちゃんが和食に魅了されたようだ。さすが和食。日本の和食は化物か?!
全部食べ終わり、出ようと思った時にマリオンちゃんが更なる策を提案してきた。
「分解されなければ私達ならいつでも動けるのですから今日は泊まって行きましょう」
「消える兵器群の中で唯一残った怪しい鹵獲モビルスーツ…ね。まるでホラーだな」
最近は動きっぱなしだったのでマリオンちゃんの意見を採用。
肉体的疲労はないけど精神的疲労はあるんだよ。EXA——カラコン挿入は下手に動けば部品痛が酷くなる=燃費が悪くなるから集中力がいるし、これからの事を考えると今の段階で銃の
回避方法をマスターしておかないとビームライフルになってからじゃ命懸けになるからな。
翌日ジオン兵達は大騒ぎ、そりゃ高級な兵器が無くなってりゃ騒ぎにもなるわな。
監視カメラ付いてたけど破壊したし、外で巡回していた兵士誰一人気付かなかったもんだから不気味がっていた。
「なんでこのモビルスーツだけ盗まれなかったんだ?」
「動かせなかったんじゃないか、実際誰か試したけど動かなかったらしいし」
「念の為、別の格納庫に入れておけ」
「イエッサー」
おっと思いがけない幸運…まさか?!
「マリオンちゃんはこれを狙ってたのか?!」
「こうなればいいなーという程度には狙ってました。これで食材GETです」
やるなマリオンちゃん、伊達にニュータイプしてないな(多分関係ない)。
もう一つの格納庫も空にして燃料はとうとう1000%、ナデシコのデータコレクション…いやなんでもない。
どうも完全な状態の兵器は燃料の増加量多いらしい…だからってそうそう鹵獲なんて出来ないけどな。
残念ながらここで生産されているはずのズゴックやゾックなどは発見できなかった。残念だ。
「逃げるのでしたらとりあえず海に潜りましょう。幸い逃げ出せばミノフスキー粒子が散布されるでしょうから海に潜れば迷彩となり発見されるリスクは低いと思います」
「ただし発見されたらタコ殴りだけどな。とは言ってもこのまま走って逃げたら戦闘で燃料を消費して元の木阿弥になりそうだから採用」
格納庫からこっそり離脱、まぁこっそりしても発見されるのですけどねー。
ところで昔、迷彩柄が流行って現在…まぁ前の世界だけど…では根強く一定の客を確保してるけどアレって迷彩街中では迷彩できてないのに迷彩って名前でいいのかと偶に思う。
「鹵獲したモビルスーツが逃げたぞ!ああ、また格納庫が空になってやがる!」
とりあえず海に向かって走る。
キャルフォルニアベースって工業区にある基地かと思ったらめっちゃ街の中だった。
おかげで避難できてない民間人がウヨウヨいるせいでジオンも迂闊に攻撃できないっぽいけど。
海に入ってそこそこの深さに到達したら仰向けに寝そべってブースターを軽く噴かすして海中の土砂でカモフラージュ。
と言うか割りと水中は残骸だらけでセンサーを誤魔化してくれそうな感じ。
俺達は核融合炉とかの機能全部休眠状態にしても平気だから隠蔽は完璧…のはず。
「これでしばらく様子見だな。発見されても魚雷程度なら正面装甲で受け止めても対してダメージないだろう」
「そうですね。それに普通は酸素の問題もありますからまさか敵陣地で海中に潜むなんて思いもしないでしょうから大丈夫かと」
「ついでに潜水艦を鹵獲するのもありかもな。腹にへばりつけば潜水艦はどうしようもないだろ」
「ただジオンの水陸両用モビルスーツが難点です。さすがにあちらに分があるのでは」
「ジオン水泳部か、そんなに数がいるとは思えないけど厄介なのは間違いないか。今回は保留だな」
「…水泳部。プフッ…フフ」
ツボに入ったらし、めっちゃ笑ってる。
ガンダムを知る現代人からすればよく知られている名だけどガチリアルなこの世界の住人からすれば意表を突かれたんだろうな。
ジオン兵に言ったらキレられそうだよな。一応マリオンちゃんも元ジオン兵だけど今はノーカン。
どうやら坊っちゃん(ガルマのことね)はホワイトベースに熱中してるらしく、俺達の方に構う気がないらしく2日ぐらいで追跡を諦めたくさい。
楽でいいけどそれでいいのか?
「しばらくここで暮らそうかなぁ」
「潜水艦の残骸が結構有りますし、しばらくはここにいましょう」
怠けてるな〜俺達。
でも目標は宇宙なので冗談で言ってるだけでめっちゃ急いで食べてます。
潜水艦の戦闘力は鼻で笑う程度だけど索敵能力はやばいんで悠長にはしてられない。
もっとブースターの燃費が良ければなぁ〜。
さて、燃料はどれぐらいになったか……なぁ?
固有名:ブルーニー
燃料:1150%
装備: ビームライフル×1
100mmマシンガン×1
マガジン×2
シールド×1
ビームサーベル×2
頭部バルカン×2
胸部バルカン×2
腹部有線ミサイル×2
地形適正:陸S砂S空−海B宇宙B
特殊オプション: EXAMシステム(マリオン・ウェルチ)
マグネットコーティング
憑依
ハイドロジェット
電磁波吸収塗料
んんんん?なんか最後に2つ妙なもの使いされてませんか?
「マリオンちゃん、なんかハイドロジェットと電磁波吸収塗料ってのが追加されてるんですけど」
「え?……はい、確認できました。本来私達が持ってないはずの機構と塗料ですね。私達自身が不可思議な存在なのでこういうこともあるんでしょう」
「ええぇ、それで納得するのか?俺めっちゃ納得しづらいんですけど」
「そうは言ってもモビルスーツが金属食べたり、燃料が異次元にあったり、人が二人ほど憑依してたりするのをどう説明するんですか?」
「あー…うー…その通りです」
俺自身は二次小説好きの神様が〜とか思えるけど(これもどうかと思うけど)、原作組なのに色々謎な存在のマリオンちゃんとかどうやっても納得いかんわな。
仕方なく無理やり納得する。
「でも良かったじゃないですか。これでもう少し燃費が良くなりますよ…ついでにセンサーにも捕らえられ難くなります」
「まぁ…そうだな。前向きに行くか。これほど角張った体でどの程度効率がいいか疑問ではあるけどブースターで行くよりは断然効率はいいはずだしな」
こうして色々謎を深めながらも前へ進むしか俺達にはないんだ。
早速ハイドロジェットのテスト。
結果は上々、速度はブースターより結構遅いがそれでも余りある燃費の良さ。
ブースターは推進剤を噴射して無理やり推進させている為燃料を激しく消費するけどハイドロジェットは電気で高圧ポンプを動かして水を勢い良く噴射して推進するので必要なのが電
力だけなのだ。
何が言いたいかというと…陸地を歩くのとほとんど変わらない、つまり延々と水中移動が可能になりました。