第八話
どうやら日本のアニメは腐女子文化となってしまったようだ。
一応男向けのアニメももちろんあるんだけど現代の腐女子向けの枠ぐらいしか男向けのアニメは減少しているようで、何とも言えん。
ザクの登場で男向けアニメが復活の兆しがあるのだとか、ぜひ頑張って欲しい。でもアニメよりモビルスーツの開発の方が楽しいらしくその手の会社の株価上昇が凄いことになってい
る。
つまり今は男は三次元ロボットに熱中、女は二次元同性愛に熱中…大丈夫か日本。
以上がニュースで手に入れた情報のまとめである。
「日本人って凄いなー」
「凄いバカですね」
「バカじゃない!変態なんだ!変態紳士なんだ!」
「余計に駄目ですよ」
おおう、やはり外国人には理解されないらしい。
本当はマリオンちゃんが正常なだけ。
「まぁ紳士の話は置いておくとして、海底食材が少ないのは痛いな。しばらくアニメ見て過ごし…たくはないな」
さすがにアレは観ていられない。
男向けも割りとバカ丸出しだけどアレは二次元であれ『女性』に萌えるのだから方向性を間違えた正常なのだ。
それに比べやおいは…まぁ深くは語らんが。
「良かったです。ブルーニーさんがもしあのようなものを好むのでしたら私も付き合い方を考えないといけませんでした」
一心同体状態なのに亀裂が入ったら後々まで面倒な事になるだろうから良かった良かった。
「そういえば録画ってできる?」
「ええ、できますよ。あまり容量が増えると重くなるので程々にしてくださいね」
「あ、テレビ以外も可能かな?」
「メイン、サブカメラのどれでも録画可能です。ちなみに常に録画されていて48時間以内でしたらいつでも観られますよ。ただしそれ以降は自動削除されますから残しておきたい映像は
保護できますから私に言うかブルーニーさんがやってください」
なんとも至れり尽くせりなことだ。
しかし残念ながらシャア専用ザクを撃破したシーンは保存できなかった…まぁネタ技で倒したシーンなんて微妙な気もするけど。
将来サザビーvs俺達があるかどうか分からないけど、あったなら是非録画したいものだ。…負けるかもだけど。
そういえばハイドロジェットだけど最初はランドセル(背中のブースターが付いてるとこね)に下向きにしかついてなかったんだけど、いつの間にか足に付いてるホバーエンジンがハ
イドロジェットの機能も備えてたんだ。
どういう構造なのか、俺より詳しくチェックできるマリオンちゃんでもわからないらしい。
本当に謎の体だ。
そのおかげで更に高速移動ができるようになったんだけど…耐久性が下がってないか不安で仕方ない。
「次は順番に一番近いフィリピンか、それとも激戦区であるベトナムかインドネシアに直接行くか、悩むところだ」
台湾が道中にあるけど近すぎて寄るには微妙だから省略。
「総合的に見るとジオンの兵器ばかり食べてるので少し連邦の兵器もいいんではないでしょうか」
激戦区に直接行こうって事だな。
「じゃ、そうするか。フィリピンって何があるのかピンと来ないし」
「一応日本には劣りますけど生産能力はそこそこです…ただ質の日本、量の中国と挟まれてるのでイマイチな感じですけど。唯一のメリットは激戦区に近い事でしょうか」
修理や中継地点としては発展してそうだな。
…途中で手薄な輸送船でもあれば襲うとするか、しかしジオン側ばかり損害を与えたら原作通りにならなくなる可能性もある。
できれば原作以上の泥沼になればいいんだけど…でもよく考えるとあまり長い間戦争してると金とか資源とか国家とかの限界より人口の限界が早く来そうだなぁ。
そのうちバイオロイドとか完全自動とかになって結局モビルスーツの価値がなくなるかも?いや、ひょっとするとGガンの世界のように代表者が戦うようになるとか。
代表だけで決めるのは俺達的には嬉しくないな。
「じゃあとりあえずインドネシアに行くか、海底食材を探しながら」
「ですね」
途中で色々つまみ食いしてやってきましたインドネシア。
うひょー暑そー、俺関係ねーけどなー。
砂漠適正Sは伊達じゃない、暑さ対策もバッチリだ!………ってマリオンちゃんが言ってた!
「ちゃんと暑さ対策してないとオーバーヒートしてしまいます。実はインドネシアやベトナムが激戦区になった理由は複雑な地形やこの暑さはコロニー出身者にはキツイというのもあり
ますが一番の理由はザクの連続運転時間が短くなるからなんですよ。本当は制圧できても不思議ではない兵力を出してるんですけどね。最近は私達の兄妹の投入したので連邦有利に傾い
てるそうですが」
なるほど、ザクって冷却ベッドが必要なぐらい熱が出るんだっけ、なら熱帯なんかで動ける時間が少なくなる。
しかも現地で対策、改善したところで限界はある上にベトナム、インドネシアには生産可能な工場は少ないだろうから有効な設計や改善策を施すにも最低で台湾、最悪遠いキャルフォ
ルニアベースだもんな。
そりゃ兵器に差があってもキツイわなー、連邦の経験蓄積年数…西暦何年から宇宙世紀に変わったか知らんが少なくとも500年はあるだろうしヘタしたら1000年違いかねないんだからな
。年季の違いってやつか。
ゲリラ戦だって連邦相手にジオンが仕掛けても多分連邦が仕掛けるゲリラ戦ほど効果はないだろう。
「さて、ここでマリオンちゃんに問題です。戦争を長引かそうと思ったらどうしたらいいでしょう」
「ここから連邦を追い出す」
「せいか〜い、という訳で兄弟同士殺し合いという訳だ。悲しいけどこれ、戦争なんだよね」
「なんですか最後のセリフ、似合ってませんよ。それに兄妹と言ってももう全く別物ですよ私達」
グサッ、マリオンちゃんが意外と厳しい。
ま、別物なのは同意見かな。
ジェネレーターもそもそも違うしマグネットコーティングも施されてる。
何より色々変な進化してるしな。
「ま、何よりマリオンちゃんがいるしな!」
「何を言ってるんですか、ブルーニーさんがいる事が一番の違いですよ」
…なんかこの会話だけ聞くと恋人とか夫婦みたいだなぁとか思ってしまう俺は痛い子なんだろうか、相手14歳だからガチで言うとお巡りさんが来ちゃいそうだけど今なら返り討ち楽勝
です、ありがとうございました。と言うか軍でもある程度なら楽勝っす。
「さて、砲身(方針と掛けてみた)が定まったところでまず行く場所があります。何処でしょう?」
「え……さすがに分かりません」
「それは…ここ」
「ここって……ああ、なるほど。納得です」
「だろ?保険はあっていいと思うんだわ。信用できるかどうかは分からんけども、俺達なら大丈夫だろ」
「です」
同意を得たことだし行ってみようか、ジオン軍基地へ。
ちなみになぜジオンの基地が分かるかというと普通にセンサーに引っかかったんだ。たまたま。
「という訳でたのも〜」
「敵襲!敵襲!」
いや、ちゃんと挨拶したじゃん。
無視すんな、イジメカッコワルイ。
「なぜセンサーに引っかからなかった!」
それはいつの間にか塗られた塗料と近くの川を潜ってきたからソナーも誤魔化せたんだわ。
連邦は水泳部なんてないから気を抜いてたんだろうな。ってのは言い過ぎか、一応機雷は設置してたもんね。俺達には何の意味もなかったけど。
「取引がしたい。話ができる階級の者にお目通り願いたい。攻撃してくるなら容赦しないので覚悟されたい」
話が通じなかったら大人しく逃げるつもりだけどな。
これ以上ジオンを傷めつけると可哀想過ぎる。
ザクってどう考えても500億円以上はするんだろ?現代のステルス機より安いってことはない…はず…あ、でも90式戦車は約8億円なんだっけ、モビルスーツって戦車の延長で考えると
そんなに高くないのか?
「もう一度繰り返す——」
同じ要求を繰り返すと騒がしいは騒がしいままだけど、味方のザクが3機ほど現れてからは慌てた状況ではなくなったっぽい。
正体不明のモビルスーツが堂々と乗り込んできたらそりゃビビるか。しかもガンダムヘッドだから絶賛大暴れ中の陸ガンとダブルだろうし。
動きも攻撃もせずただジッと待ってたんだけど案外統率が取れているようで攻撃を仕掛けて来たりはしない。
とりあえず話が出来そうだとホッとしていたら無線機から声が聞こえてきた。
「私はこの基地を預かる者だがそちらの所属と目的を伺いたい」
「あいにく私は何処かに所属してる訳ではない。強いて言えば傭兵だ。目的はそちらに雇われようと思って訪れた」
「なに?!モビルスーツを持った傭兵だと?!そのモビルスーツはどうした!」
軍属でないと分かると強気だねー気持ちは分からんではないけど。
「連邦からかっぱらった」
「……」
返答がないただの屍のようだ。
「百歩譲ってそれが事実だとしてそちらの要望は何だ」
おろ、強奪とか考えないのか?もしかしてザク3機が虎の子なのか?連邦のモビルスーツはザクに対して圧倒的と言ってもいい差があるから傭兵とはいえ敵でないなら戦いたくないのか
もしれない。
「俺の要望はモビルスーツを1機宇宙までの打ち上げ、提供するのは…連邦軍の基地2、3落としてこようか?」
「何を言っている。宇宙に行きたいというのは分かるが連邦の基地を単機で落とすだと、我らをバカにしているのか」
「まさか俺単機で落とす訳じゃないさ、他にも兵は用意してある。ただ用心に俺だけで来ただけだ」
「……」
考えてるのかな。
この交渉が上手く行けば上手く行けば燃料を無駄に使わず宇宙に上がれるし、連邦の基地に存在する食材を喰うことができる。
まさに一石二鳥、もっともジオンが約束を守るのかとか連邦の基地を落とすのは赤字になるかもとか色々考えさせられる部分はあるが。
「いいだろう。言っておくが貴様らだけで動くことが前提条件だ。我々は助力しない。それでいいなら雇ってやろう」
「おお、軍属の割りには話がわかるな大将。あ、助力なしってのはいいが情報提供を提供してもらっていいか。ここらに来てまだ日が浅いんで連邦が何処に居るかわからないんだ」
「その程度ならいいだろう。基地の場所と推定戦力も渡してやる。その代わり武器弾薬も一切出さんぞ」
「OKOK、それはこっちで何とかするさ。では早速偵察に行くんでデータ送ってもらえるかな」
「それはいいが顔も見せんつもりか」
「あいにくそこまでお互い信用を築いてないだろ」
「ふっ、それもそうか…データは送った。成果を期待している」
嘘つけ、別に成果がなくたって問題ないとか思ってるだろうに。
しかし簡単に話がついたな。やっぱり戦況は連邦有利で補給もままならん感じかもしれん。
よく見るとマゼラアタックなんかもあるが若干ボロくなってるしドップは片翼だし、結構切羽詰まってるのかね。
何より報酬後払いってのが良かったんだろうね。
「ひょっとすると報酬、踏み倒されるかもだけど」
「それでも降下用パラシュートは手に入れれる可能性が高いので問題ありませんね。打ち上げてもらえれば楽ですけど自爆させられたりされると厳しいですし」
「まぁ途中で降りて自力でって方法なら燃料消費も少ないし…あ、ガウで行ける高度まで上げてもらうってのもありだな」
「なるほど、それもいいですね」
何にしてもこれから俺達TUEEが始まります。