第百話
日本は大噴火した。
富士山や御嶽山が噴火したわけではない。
腐女子、貴腐人が大噴火したのだ。
今までBLに関しては規制が甘く、年齢制限は無く、アニメやドラマなど好き放題放送されていた。
そして俺達が提案した規制はほぼ丸々そのまま採用された……そしてその規制を破った罰則が思いの外重いことを考えると日本のお偉方も辟易としていたのかもしれない。
規制内容は以下の通りだ。
・内容によりソフトとハードという種類を分けて、購入や鑑賞する前にわかるように明記すること。
・ソフトは16歳未満、ハードは未成年者への販売を禁ずる。
・ソフト、ハード問わず未成年者が安易に観られる情報配信は禁ずる。
・成人が未成年者に故意的に見せたり、観ることを強要した場合、わいせつ物頒布等の罪とする。
細かく言うともっとあるが大きくまとめるとこんな感じ。
別に禁止するものでもなし、ただ単に子どもの教育に悪いから成人してからにしとけってだけの話だ……ちなみにフラウは18歳、つまり未成年である。ざまぁ。
一応言っておくが同性愛を禁じるものではない、どちらかというと表現の自由の否定だ。
もっとも宇宙世紀において未成年者を性的表現することが禁じられているので既に表現の自由が無いんだから抵抗が少なかったんだろうな。
この法律は地域法であり、現代日本でいうと地方自治法にあたるかな。
連邦全体の法律もあるんだが地域によって法律も生活環境、宗教も違うので大雑把なものしかなくて基本的に地域法で裁かれることがほとんどだ。
これで腐女子が少しでも減ればいいんだけどなぁ。子供がドラ○もんやサザ○さんを見る感覚でBLアニメを見るなんて絶対間違ってるんだよ。
「次は中国の百合アニメの規制にでも乗り出すか」
「公平さは大事ですよね!」
でも中国とパイプも欲しいからほどほどにしないといけないかな。
しかし、クーンの販売ができないとなると……中国で販売できるのはジオン系列のモビルスーツということになる。
連邦製品は他国に販売する許可はもらっていないから現在売れるのはズゴックD、ノーマルゲルググとMぐらいだ。何気にザク改キャノンは設計図を持ってないから作れない……ことはないだろうが全く同じ製品は作れない。
ヴィエーチルを売るという手段もないことはないが……正直中国兵士に使えるとは思えないしな。
通常のモビルスーツの開発を後回しにした付けが今来たか。
ドムIIの生産はしようと思えばできるが正面からアナハイムに喧嘩を売ることになるのでやめておく。
とりあえず現在ものになっている技術でハイエンド機を作るように指示はしてあるが……いつ出来上がるかは不明、一応来年2月に中間報告がある。
「とりあえず国内消費しておくか、海上戦力が乏しいのに海中戦力もクーン50機とユーコン級5隻、マッドアングラー2隻じゃ治安維持もしづらい」
「クーンの生産ですね。目標はどうします?」
「とりあえず1000機配備を目指す」
連邦とジオンに挟まれた立地であるため防衛戦力はそこそこ必要だ。
アプサラスIVとハロの存在で航空部隊や陸上部隊、治安維持部隊などの数が減らせるので海上、海中部隊に予算が多く回される。
ただ、それのせいで海軍の連中が天狗になってきている気がする。
ニューギニア特別地区を守ってるのは自分達だ、と公言しているという噂だ。もし本当なら一度叩き折る必要性があるだろう。
ニューギニア特別地区を守っているのは間違いなく俺とマリオンちゃんズだ。
「ニューギニア特別地区は島もあって防衛ラインが広くて困りますね」
「そうだな。モビルスーツの補給用にユーコン級の数……いや、マッドアングラーをもう少し増やすべきか」
水中戦の主力がモビルスーツに移行したことによって潜水艦の役割は戦闘ではなく補給目的になった。
ちなみに潜水艦より船の方が補給能力が高いんだけど水陸両用モビルスーツの機動力に逃げ切れないため潜水艦で補給するという非効率な方法を採っている。
「……確認してみましたけど造船所は今一杯らしいです」
「俺達の発注はなかったよな。なら他企業からの依頼か仕方ないか」
「マスドライバー効果の影響で船がたくさん出入りしてますから、それの修理に追われているようです」
修理ドックはまた別に用意してたはずだが……
「それが追いつかないみたいです。その代わり技術的には向上しているようですよ」
「修理ドックの拡張も考えてみるか……ああ、別の島に作れば人口集中も和らげれるか」
「この前言ってました新しい都市を作るきっかけにもなりますね」
そもそもニューギニア島自体大きいから何でもかんでもニューギニア島に作ろうとしてしまうが沿岸は貴重だからな。
東側にあるニューブリテン島とか九州とほぼ同じ大きさだし、ニューアイルランド島なんかもそこそこ大きい島だ。
もっともニューブリテン島は火山島だから注意が必要だけども……まぁそこはハロの自然災害対策緊急システムでどうにかしてくれるだろう。
「最近は人口が都市部に集中しているせいでヒートアイランド現象が起こっているようです」
「……1年中暑いニューギニア特別地区でヒートアイランド現象とか死ねというのか」
「ですね。何か対策を立てて欲しいと要望書が届いてます」
通りでエネルギー消費が予想より多くなってると思った。
やはり人口密度を下げるように試みるか、となると高層マンションの建設を郊外に移すかな。
新たな都市の建設にはそれ相応に時間と手間と金が掛かるからな。
主要都市にしか止まらないリニアモーターカーも解決しないと新都市に移住も捗らないだろう……やることは腐るほどある。
「リニアモーターカーの路線を増やすか、また自然保護云々とうるさそうだ」
「その辺はシーマ様に頑張ってもらいましょう」
シーマ様が聞いたら軽くヒスを起こしそうな発言だが、仕方なし。
ヒーリングで若返らせてるから体力も衰えず、全盛期を保ち続けてるんだから頑張ってもらいたいものだ。
最近ガイアとコッセルが気になるお年頃らしいってことをバラされたくなかったらね。
というか逆ハー形成する気か?シーマ様には半永久的に働いてもらう予定だから伴侶も若返らせないといけないんだから複数は遠慮してもらいたいんだが。
ギニアスは何も言わなくても勝手に全力で働いているから問題なし、というか過労のヒーリングが既に3桁を超えたってどんだけハードな生活送ってんだよ。
「ところでアイナがニューギニア特別地区にいないっぽいけど、何処か行ってるのか?」
「ジオン地球領が支援している中国から支部開設のお誘いがあったので交渉に行ってるようです」
……アイナさん行動力パネェ。
護衛にマリオンズが常についてるからってほどほどにしてもらいたいもんだ。死なれたらブルーパプワの運営が60%ダウンするんだから。
「とりあえず、新都市建設は下準備を進めるとして、都市部に建てる高層マンションの規制と人口拡散のためにリニアモーターカーの増設、クーンの生産が当面の方針だな」
「コロニー建設が始まってますけど、しばらくは何もすることありませんしね……あ、賊が度々襲ってくるという報告がありますがどうしますか?今のところマリオンズ2人で対応できてますけど」
現在自由に動かせるマリオンズは5人……16人(マリオンちゃん込み)もいて11人任務に付いてるんだからどれだけ切羽詰まってるんだか。
内訳は以下の通り。
・マスドライバー護衛3人
・ムラサメ研究所の手伝い1人
・サイド6支部に2人
・デギン護衛1人
・マスドライバー護衛3人
・アイナ護衛1人
・コロニー建設護衛2人
「念のためもう1人送っておくか」
「そうなるとアプサラスのパイロットしか自由に動かせる人員がいなくなりますよ?」
「もうすぐ1人追加されるからそれでなんとかしていく。それにマスドライバー護衛は今の調子だと2人で十分なところに念を入れての3人なんだから実質はもう1人いるんだから大丈夫だろう」
「……これがフラグじゃないことを祈ります」
ちょ、そんな怖いこと言わないで。
「……うん、一応用心して年越ししてからでいいか」
「それがいいと思いますよ」
というわけで0082年スタートだ!
「というわけでマリオンズが増えました!」
「こりゃめでたい」
マリオンちゃんも17歳かーそろそろロリも卒業……なはずなんだけどロン毛になった以外成長した様子ないからなー。
「「「「悪かったですね。成長してなくて!!」」」」
「成長してない方がいい!」
「「「「きゃー変態ー」」」」
こういうのはどう返事しても変わらんからスルー、それにきゃーきゃー言いながらもなんとなく嬉しそうにしてるから多分正解。
そして俺的にも正解。
「今年も良い年になればいいなー」
「その分、他人に不幸をバラ撒くんですね。わかります」
「失礼な。少し幸せを奪うだけだ」
言い方が違うだけですよ。とツッコまれるがスルー。
「それにしても年越えて早々は結構忙しいよな。俺達」
「ですね。ギレンさんにキシリアさん、ジャミトフさんにイーさん、コーウェンさん、ノリスさんにノイエンさん、司令さん、日本首相に南中国代表、MIP社やジオマッド社も……あ、アナハイム社からもご挨拶がありましたね」
どれもこれも世界を動かす人間達だからな、面倒でも挨拶しないとな。
特に南中国代表、ジオン本国、地球領両方から支援を受けている中国を南中国といい、ブルーパプワの支部を構えることが正式に決まったのでこれからそれなりに仲良くやっていかなくてはならない。
ついでに言うと東中国が日本、北中国がロシア、西中国がティターンズという構図となったんだが……現代三国時代構図はどうなった?と思ったんだけど後継共産派が地理的に分裂してしまった結果が北中国と南中国だ。
親日派はもちろん東中国、新生中華派は西中国となりティターンズと結びついた。
目まぐるしく変わる中国情勢はこれでやっと落ち着くだろう。
この大勢が決まったのも12月30日と本当にギリギリだが、後ろ盾がしっかり決まったことが一番の要因だ。
内乱自体は混沌としたものでずっと血を血で洗う殺し合いが続いていたが、分裂しようとも中国的には正月は特別な日なので内乱は一時休戦となっているため平和な年始で迎えることとなった。
このまま正月が続けば平和だろうが……まぁ仕事(殺し)始めは必ず来るものなので仕方ない。
「構図だけ見ると日本の一人勝ちだな。日本が上海、東中国が北京を抑えてるんだから」
「北京では激戦を繰り広げられたようですけど、やはり日本と連邦からの支援にはロシア単独では敵いませんでしたね」
東中国が北京防衛に集中している間に南中国が侵攻しようとしたんだけど西中国が南中国にちょっかいを仕掛けて頓挫する。
ティターンズの支援を受けている西中国が一番勢力は小さいがティターンズの大本は連邦なので東中国の支援をして当然なわけだ。
しかもそれを理由にティターンズは勢力を伸ばしているようで、マドラスから膨大な物資を輸送する計画を進めているとも聞く……ジャミトフから。(つまりほぼ確定)
「俺達はジオン地球領と共同で南中国を支援することになるかな」
「アプサラスの派遣はどうします?」
「中国人のためにマリオンズの命を掛けるなんて馬鹿らしいから無しの方向で」
「わかりました」