第百十四話
待ち伏せして、コロニー建設輸送船団の出入りを襲って60隻ほど捕獲、40隻ほどを沈め、ドムIIを50機ほど喰らった。
捕虜は相変わらず月に飛ばす、ちなみに何人かは生きて辿り着いたようで俺達の情報が伝わったようでレインボーゴーストと呼称されているようだ。
レインボーカラーなのに捕捉されず、突然現れるから虹色幽霊となったらしい……安直だな。
捕捉されないのにはもう1つ理由があって、ミノ粒の局所散布が可能だとわかったからだ。
つまり自分が通る道に予めミノ粉を散布した道を作ってそこを通ると、センサーなどに捕捉されないって寸法さ。
ミノ粉の濃度を上げ過ぎたり、近寄りすぎると察知されるけどな。
「輸送船の値段は安いからそれほどではないにしろ、工場を埋めることぐらいはできたはずだし、ドムIIも決して安くない」
「コロニー建設も隠蔽しているようですから連邦やジオンに訴えることもできませんから、これからどのような手を打ってくるでしょうね」
そうだな、どんな手を打ってくるか……まぁどんな策を立てても……
「そこに俺達がいるとは限らないけどな!」
今いるのは月とL4(サイド2、サイド6)の航路。
ずっとサイド4側にいると思っているとすると考えが甘すぎるぜ。
「チョバムアーマーの具合もいいな。しっかりビームコーティングした装甲は俺達と相性が良すぎる」
本来ならビームを受けてコーティングが蒸発したり、実弾により削られコーティングが剥がれるなどの問題があるんだが俺達は燃料と回避で補って無双状態。
もっともビームライフル2発を10秒以内に同じ箇所に受ければコーティングの修復も追いつかず、ダメージを喰らうことになるだろうが……そんなに俺達が攻撃に当たることがないから意味があるのかは疑問。
「ドムIIの厚揚げ酢みそ味もいい加減飽きてきたな」
「ちょっと辛いものが食べたいですね。ちょっとそこら辺に赤い彗星でも落ちてないでしょうか」
「いや、さすがにないだろ」
と言うか脳裏にシャアがガクブルッしてる様子が流れてきたけど……電波か?ついでに隣でララァもブルッてたが。
「この航路はブルーパプワも使っているので気をつける必要があります」
もしブルーパプワ所属の船に襲撃を目撃されたら不自然にならないように撃墜、捕獲する必要が出てくるからな。
自分の会社に被害を与えないといけないとか馬鹿らしいにもほどがあるが……アナハイムに勘付かれないよういくらか襲わないといけないか、マリオンズを通して打ち合わせしておかないとな。
「お、早速発見」
「目標を駆逐する」
何処の刹那さんですか。
「このかお嬢様!」
「そっちか?!」
マリオンちゃんなら二の太刀も可能かもしれない……あ、もしかして二の太刀ってマリオンちゃんにダメージ与えれるんだろうか?
「お!俺達の希望に応えたくれたようだぞ」
「本当ですね」
辛いものではないもののチキンのバターソテーとほうれん草のソテー、つまりジムカスタムとゲルググがお出迎えしてくれた。
もちろん瞬殺。
「もしかしてあの護衛ってサイド6駐留軍か?」
「あ、モビルスーツの種類的にありえますね」
宇宙ではドムII、ゲルググM、ジム・クゥエルがそれぞれの勢力の主戦力となっている。
ジムカスタムは単価が高く、ゲルググは旧式化してしまった現状でその両方を使う勢力は限られている。
ちょっと可哀想なことしたかな。いい加減国力が小さいサイド6でジムカスタムとゲルググ合計12機の損害は痛いだろう。
そういえばサイド6から今度は独自デザインのモビルスーツを、と要望されてたっけ……よし、じゃあWのリーオーでいいか。
「早速デザインを送っとくか」
この前のαタイプ(ガルバルディαから作ったドートレス、ジェニスの総称)生産のおかげでコスパは良くなってきたからちょうどいいか、スペック的に微妙だけど。
「たった今マリオンズの1人に報告があったんですが開発チームが宇宙仕様のαタイプの調整が終了して後は試運転を行うだけのようです。予定ではガルバルディβより優るようです。それによって地上のαタイプも改修予定」
βに優るって……既にγじゃね?
まぁ良くなるならその程度問題ないけどさ、むしろまた改修か……まだ開発されて間もない機体だから仕方ないと割り切るしかないか。
ああ、そうかドムIIのデータを上回るように調整したらβになる。そして日本製精密機器を導入したことによって上回ったのか。
「んー、こりゃ独自モビルスーツの領域に入りつつあるな。しかもガルバルディと互換あるとか便利な機体だな。ティターンズにも押し込んでいきたいが……ドートレスとしか部品が合わないんだよなぁ」
「ティターンズはしばらくジムクゥエルの生産を抑えてドートレスを中心にしてくれるということですし、これからずっと流れを掴んでいけば大丈夫ですよ」
この前、ジムクゥエルよりαタイプがコストとスペックが優れていることを証明して主力モビルスーツとして採用が決定。
コストはジムクゥエルより高いが、それ以上のスペック差があったのが勝利要因だ。
ただし、これに対抗して新たなモビルスーツ……ではなく、ムーバブルフレームの開発を開始したようだ。
民間企業に負けてらんないんだろうね。
ムーバブルフレームが出てくると今までのモビルスーツでは対抗できない可能性が高い……まぁガザシリーズという例があるから一概には言えないけど。
「開発チームには頑張ってもらわないとな……さて、次の獲物を探そうか」
「はい」
2週間で1100隻の船と460機のモビルスーツを喰って鬱憤も晴れた。
燃料が増えたので一旦サイド5に帰還、多目的ランチャーでハロを大量生産して小遣いGET。これでいつでもサイコミュを買えるぜ。
さて、最近はジオンやサイド6の軍が俺を探しているようなのでしばらく海賊ごっこはお休みするとして、これからどうするかな……と考えて1週間ほど経った。
「……アナハイム、コーウェンと連携強める……ねぇ」
「かなりの強敵が現れたようですね」
どうやらコーウェンが推し進めるガンダム開発計画が上手く行かず、ジオンのノウハウを多く持つアナハイムと手を組んだようだ。
もちろん開発を急いでいるのはGP01(原作とは違いコンセプトはデンドロビウム)で、Iフィールド発生装置の研究に熱心だ。
まるでノイエ・ジールコンプレックスだな。
そういえばジオンの大型モビルアーマーの新開発は聞かないけど……ま、俺達の情報源はノリスやノイエン、たまにゴモラからだから情報に疎くてもしかない。
やはり諜報組織は必要だろうなぁ、でも後発だからいいように偽情報を流されるだけな気がするんだよな。
「そういうことでしたらダイクン派の皆さんとデギンさんを相談してみてはどうでしょう。人脈豊富そうですし」
なるほど、それは考えなかった。
早速シーマ様に任せよう。
「さすがブルーニーさん、ぶん投げ方が豪快です」
「そんなに褒めんなよー」
そうそう、サイド5コロニー『ダイヤ』だが、やっと人口1万人突破した。
主産業は農業と工業だ。
ただし工業はコロニーではなくフィッシュボーンのコンテナを改造したものを使っている。
あまり効率的ではないが第2コロニーは工業コロニーの予定だが、それまでの繋ぎだから問題ない。
資源はもうすぐ揃うので建設開始は来月末、つまり8月末の予定で完成は事故などなければ11月頃だろう。
今は本当の意味で経済が安定してきているので資源を集めるのにはそれほど苦労しなかった。
何より一番しんどいデブリ掃除がコロニーという拠点ができたことによって効率的に行えるようになったのはデカイ。
原作では触れられてないが工業コロニーは、その名の通り工業がメインのコロニーであり、人が住むコロニーではない。
工業コロニーは工業によって汚れた空気などを清浄するための特別な機器が必要で、人間を住まわせるには空気税を上げなくてはならなくなる。つまり工業コロニーは巨大な生産工場なのだ。
これが完成すればブルーパプワの生産力は倍以上になる。
アプサラスIVを2機も配備している理由はこれもあってのことだ。
「そういえばティターンズが四川省に巨大基地を作るらしいですよ」
「ほぉ、それはまた……輸送が面倒臭そうな基地だな」
「他人ごとじゃありませんよ。私達の取引半分はティターンズなんですから」
あ、俺達もあそこまで入っていかないといけないのか。うわー輸送係、ご苦労様。
「そうだ。せっかくだからパンダでも寄越してもらおうか、親善の証的な目的で」
「いいですね」
どっかのバカ国と違ってわざわざ金払ってまでレンタルしないぞ。
本当に何処だろうね、そんなバカ国は……