第百十七話
安定のマリオンズ無双、敵にヴィエーチルに乗ったマリオンズを混ぜておいたら酒の肴にいいかもしれん。この身体じゃ酒飲めないけど……まぁシャアやララァのSAN値がガリガリ削られるから少しの善意で見送った。
地球領に通信も入れたし、シャア達は今日のところは金髪さんの家に泊まる(連行)らしい。
金髪さんは平穏な暮らしを送りたく、シャア達に迂闊なことをしないように一晩掛けて(拳で)念を押すらしいが……シャアにいくら言っても無駄だと思うがな。
地球領とエゥーゴが繋がる、というよりMIP社とエゥーゴが繋がることがあるとすればズゴックIIのの仕入れだろうが、あのデザインのままでは運用できないだろうけどどうなるんだろうね。
ジムかガンダムにデザイン変更するのか……ハイザックという例もあるがエゥーゴだしなぁ。
「懸念材料だったシャアの行方が知れたのはいいがハマーン様の動向……というかどんな成長をするのかが気がかり過ぎる」
「シーマさんに続いて2人目の『様』ですね。確かNTR属性持ちなんでしたっけ」
「いや、俺はそこまでは言ってないと思うんだが……まぁマダオが好きなのは間違いないだろうな」
シャアに捨てられ、ジュドーにはフラれ、シロッコには騙される。最後はちょっと違うけど……考えてみたらハマーン様はマッシュマーぐらいのアホが丁度いい気がする。
とりあえずハマーン様が何処にいるか調べておくか、やっぱりこういう時は紫ババァに——
「ハマーンさんの父親ってマハラジャ・カーンですよね。確かダイクン派だったと記憶してますから同じダイクン派なら知っているのでは?」
おお、マリオンちゃんナイスだ。あまり露骨に干渉すると紫ババァも気分が悪いだろうし、俺達も気が引けるってもんだ。今更な気もしないでもないが。
という訳でダイクン派の人間、特に諜報部にいた者の話を聞くことにした。
ハマーン様は父親ともども現在サイド3へ帰還中なんだとか、ついでにタカ派で不穏分子的な存在であるエンツォ大佐も同行しているとのこと……僻地のタカ派とか迷惑この上ないから納得だ。
しかし、マハラジャ・カーンは病死だったからもうすぐ死ぬんじゃね。確か0083年……のいつかわからんけど司令官としてのストレスがなくなったからってそんなに寿命が伸びるってことはないだろうし。
「つまり指導者ハマーン・カーンは生まれず、か」
と思ったけど、そもそもミネバ・ラオ・ザビがアクシズに行ってないという罠。
ドズルが戦死したとはいえ、そもそもソロモンが捨てられることもなく、決戦場になったし、ジオンが優勢だったこともあって辺境に逃がす意味はないわな。
つまり、最初からフラグが立ってないわけだ。
眉なしは政治の道具にする気満々らしいけどな。
政略結婚ってやつだな、幼女も大変そうだ……しかも相手は中年男性だったりしたら、ガチでおまわりさん呼ばねばならんな。(首が)お回りさん的な意味で。
「原作ハマーン様ならともかくミネバは助ける必要はないか、自称:正義の味方(15歳以下の女子に限る)だから助けるのは吝かではないが」
「むしろ助けられるというより迷惑でしょうね。ギレンさんのことですから洗脳とかマインドコントロールとかしてそうですし……あれ?これだけでも助ける理由になりますね」
「言われてみれば」
独断と偏見と幼女の味方は降臨すべきか?
直接的にダメなら間接的に……結婚相手を殺してまわれば……疫病神とか死神とか呼ばれそうだからダメか、なんとかならんかねぇ。
「いっそシローさんの妾——ハッ?!殺気!!これは……アイナさんですか」
そりゃそうだ。というか何気にアイナもニュータイプとして覚醒し始めてるのか?それ以前に、それって救ったことにならんだろ。
「いえ、正直愛なき結婚よりはいいと思いますよ」
「なら俺が貰——「『『『『『却下です!』』』』』」——ほらな、自分が嫌なことは相手にもしちゃいかんよ」
ただし幼女に限る、だけどな。
「『『『『『浮気したかったら私と結婚してからです』』』』』」
それでいいのか。
まぁそもそもペット……動物と結婚しようなんて思わないけどな。
幼女は二次元の嫁的な意味で守るけど。
幼女で思い出したがプル、プルツーはどうしようか……プルがオリジナルなのかデザイナーベイビーなのかクローンなのか、プルツーは姉妹なのかどうなのかも知らんが生まれているならミネバと違って責任ある家の生まれじゃないから助けてやりたいものだ。
プルシリーズの研究ってアクシズでされてたけど、原作と違ってジオンがそのままだからどこで研究されているのか完全にわからない。
「あ、マハラジャさんが病死するなら私が治せるんじゃないですか」
「なるほど、都合がいいことにダイクン派でもあるからこちらで引き取るという建前も用意できるからヒールは上手く隠せそうだ」
マハラジャ・カーンか、分裂してはいたが敗戦国の残心であるアクシズを形だけでもまとめただけのことはあって有能だろうからシーマ様の補助、もしくは上官として振るってくれそうだ。
はにゃーん様は……まぁ当面はペット枠でいいかな、妙なカリスマを発揮されて殺さなきゃならなくよりは。
「という訳でマハラジャ・カーンとその家族を引き取りたい」
『突然連絡してきたかと思えば……何処でその名を知ったかどうかは知らんが理由を聞かせてもらいたい』
「元ダイクン派、幼女の味方、妾にする外道は戦死、ひょっとするとザビ家にいじめられる以上、ok?」
『……』
適当に単語並べてみたが、相手は眉なしだからおそらく色々考えに考えて——
『よかろう。その代わり貸し1つだ』
こうなるわけだ。
頭がいいやつはこっちが適当にそれらしいことを言ってやれば深読みして色々考えてくれるから助かる。
「おう、なんだったらロシアを地球領にするぐらいはやってやるぜ」
『いらん、というよりそれは貴殿の利権拡大ではないか』
いや、俺もいらんよ。ロシアなんて広大な土地貰っても管理できんって、いい加減ニューギニア特別地区と地球領でも手一杯なのに。
「1兆ぐらい依頼料無料でどうだ」
『良かろう!』
即決だったな。
ちなみにソロモン決戦に参加した場合の依頼料を計算したが鹵獲兵器売却を除くと大体10兆ぐらいだから決戦級の10分の1ぐらいの規模まで戦うってことになる。
「もっとも不参戦依頼キャンセル料の方が多そうだけどな」
『……』
機嫌良さそうだったのが一転不機嫌になる。
しかたねーじゃん、ジオンの方が国力が小さいんだからさ。
今の連邦は威信が落ちすぎて、威信回復のためにしばらくは俺達に傭兵としての依頼をする予定はないとジャミトフとコーウェンから言われているからほぼ間違いない。
そうなると敵側に俺達が付かないように不参加依頼がメインとなるだろうという読みから出た言葉だ。
「それでマハラジャ・カーンご一行はいつ頃こちらに……いや、サイド3まで迎えに行くか、いつ頃そちらに着く?」
『トラブルなどがなければ後半月ほどのはずだ』
これではにゃーん様GETだぜ!
マリオンちゃんズのヒールでエターナルロリータを実現してみせる!!
「そこまでは私もしませんよ」
残念だ。
プルシリーズに関しては存在が確認してから救出すればいいか。
ミネバは……悲しいけど、これ政争なのよね。とスルーしとくしかない。
く、正義の味方でも不可能なことがあるのだ。
家族と引き離すのはそれはそれで可哀想だし。
さて、マハラジャ・カーンを迎えに行こう!と思ったらマリオンズからブーイングが、嫉妬乙。
仕方ないのでマリオンズに迎えに行ってもらうことになりました。
「まぁ嫉妬だと思ってた過去の俺を殴りたい気分ですけどね」
待ってたのは書類の山。
一気に仕事が終わったらしく、それの関係で俺が居ないといけなかったっぽい。
「えーっと、物価が緩やかに下落へ、移住に制限を掛ける必要は当面なしか」
ダイヤからの食料供給が始まると安くてマズイ食料が出回ってきたのでなんとか物価は抑えられたそうだ。
工業コロニーエメラルドが完成すれば生産力も上がり宇宙モビルスーツ市場にも食い込める可能性がある。
「義務教育卒業生就職率93%って高過ぎるだろ」
夢や希望のための教育ではなく、仕事をするための教育がこれほど成果が出るとは……おかげで高校進学が少なくて悲鳴を上げているらしい。
青田買いってやつか、就職氷河期だった自分からすれば夢の様な世界だ。
「ん?ああ、寿退社、産休の反動でもあるのか」
子作り支援をしたおかげで成人女性の約4割が妊娠しているっぽい。
ちょっと待て、いくらなんでもこんな急激に人口増えたら大変なことにならないか?仕事を増やさないと……いや、コロニーに移住してもらわないとやってけない可能性が高いな。
子作り支援にいくつか条件を付けるか、コロニーに移住することとか新しい都市に移住することとか。
「アプサラスアーマープラン?なんじゃこりゃ」
発案者……は言わずもがな。
内容は、チョバムアーマーのようにアプサラスを着るというものだが……とりあえず設計図製作まではGOサインを出しておく。
チョバムアーマーはもともと使い道なんてないと思っていたが、いざ着けてみるとなかなかの装備だ。俺だけに限るかもしれないが。
「クーンにマグネットコーティングを施行……ってクーンはマグネットコーティングしてなかったのかよ」
クーンはグラブロとズゴックからの派生機に近いのでうっかりしてたらしい。
そもそも水中戦でそれほど機敏な動くが必要とされてなかったということやOS支援が充実されてなくてパイロットの操縦だけじゃピーキー過ぎる機体になることという事情もあったらしいが……言い訳にしか聞こえない。
クーンに、と言うかブルーパプワ製の国内配備用モビルスーツにはサポートハロを搭載する予定だそうだ。
「そしてそれに対しての政府財務省からの悲鳴っと」
そら、次々軍備に湯水の如く金を使われたらたまったもんじゃないわな。
「でも却下、必要なことだからな」
「はい、ブルーニーさん、追加の資料です」
「でも却下」
「必要なことですから」
おうふ。