第百二十二話
お正月も終わり2月に突入する。
なぜか、はにゃーん様とアムロが仲良くなっているようです。
え、そこがくっつくの?と思ったけどアムロの軟弱さは、はにゃーん様のご趣味じゃなかったらしく友達までのようだ。
もっとも思春期の友達はいつまで続くかはわからないけどな。
これが逆シャアあたりのアムロなら少しは違ったのかもしれないが……それにしてもメイとセイラとはにゃーん様、パッと見ハーレムだな。
最近アンチアムロが沸いているって話も聞くし、刺されなきゃいいんだが……開発が遅れるから。最悪は死んでなければマリオンちゃんズが治せば一瞬だろうけども。
死ねばいいのに。
「GWBL対策は順調に進んでいるようだな」
「はい、中にはコロニー1つ丸々感染者を隔離するという計画も持ち上がってます。BLの聖地と銘打てば日本からの移住者が期待できます」
それもいいかもしれないな。
「ちなみにこの計画を行うなら日本政府も協力するとのことです」
日本政府がアンチBLな件について、まぁこの世界の日本の政治家は相も変わらず世襲制っぽいからそういう文化は受け入れ難いものがあるんだろう。
それに対して少数しかいないがBL応護派、主に女性議員達も活発に規制緩和への訴えを繰り返しているという。
最近では感染女子に嫌気が差してきた男達が感染前の幼女に走る傾向が強くなってきているという……なんというか、末期だな。
本音はコロニー利権に食い込みたいだけかもしれないけどね。日本はコロニーにあまり強いパイプがないらしいから。
「日本とは友好関係を保って精密機器を仕入れしないといけないが……さて、どこまで譲歩したもんか」
「マハラジャさんとマレーネさんに検討させてみましょうか、あの2人はこちらが専門みたいなところがありますし」
とうとうマリオンちゃんまで秘奥義・丸投げを使うようになったようだ。
政なんて1、2人でやるもんじゃないから間違ってないけどな。
とりあえず日本との交渉は2人に任せることにした。
「それにしても、ゴールデンウィークを待たずして日本からの観光客が増加しているようだな」
「はい、どうやらゴールデンウィークで予約が取れないので比較的簡単な今、観光に来ているようですね」
ニューギニア特別地区では日頃からコスプレして過ごす人間は多くない……多くないだけでいないわけじゃないんだけど、少ない。
そんな時にコスプレイヤーが来て、コスプレに興じれるんだろうか?明らかに周りから浮くんだけど。
「それよりBL関連持ち込み禁止処置を早める必要性があると思うだけど」
「おお、シーマ様、重要なこと言った。よし、早速明日から——」
「明日から行うには各所への通達が行えていません」
おおう、アイナからまさかのだめだし。
言われてみればまだ2ヶ月以上先の予定だったから準備はまだだったか。
「まずはBL関連の制限自体の定義を徹底して、1週間ほど教育してそれからになるだろうね」
シーマ様お願いします、と言うと任せな、と言う男らしい回答。
最近政治家や官僚などの調整はマハラジャとマレーネに任せることでストレスから解放されたおかげかシーマ様はここのところ上機嫌だ。
女性がイライラしていると周りはどうしようもなくなるから困る。男だったら殴って罵ればそれでどうにかなるんだけどな。
「コスプレ自体の規制も必要か、露出が多いものなんかはニューギニアの風土的に問題ないが大量の電力を使うものなんかは問題あるからな」
ピカ○ュウやラムちゃんの再現だ〜なんて言って100万ボルトとは言わないがバチバチされたら危ないからな。
あいよー、と心強い返事……シーマ様がとうとう覚醒したか?!ニュータイプじゃないけど。
「そういえば、フラウさんがこの機に乗じて帰ってくるのでは……」
「日本からここへの便は前からあったし、今更帰っては来ないだろう」
「コスプレに手を出しているとは聞いていませんが……」
「いや待ちな、よく考えたら既にこっそり帰国していても私達が知らないだけなんじゃないかい。日本に送って安心してたんだからさ」
ハハ、まさか…………
「今すぐ各機関に連絡して最優先で調べるように伝えろ!」
「「「了解」」」
まぁ結局取り越し苦労だったんだけどな。
更に1ヶ月が経った今は3月、相変わらず日差しが強い。
雨が一番降る季節なんだが日差し自体が弱まるわけでなし、むしろ蒸し暑くて冷房は必需品だ。
俺達には関係ないけど。
「南中国で工場の建設は一段落しました。現在は受注が多くなっているSFSの生産をメインですね」
これでブルーパプワ本部の生産力をクーンやドートレスに集中することができる。
ニューギニア特別地区内の他社にSFSを委託生産させてはいたが、それでも間に合わない需要がある。
それにSFSの需要があるのは地球圏内、つまりマスドライバーが必要ないのでブルーパプワ本部で生産する必要性は薄い、ということで南中国で生産することになっていた。
αシリーズやクーンなんかはブルーパプワの稼ぎ頭だから南中国で生産するなんてことはするはずもなく、精々ゲルググJぐらいまでだろう。
「そういえば開発部からαシリーズは基本スペックの向上は今のところ難しいらしく、その代わりにバリエーション機開発が提案されてましたね」
「高機動機や砲撃機、ガンダム開発計画に触発されたウェラブル・アーマーを装備したフルアーマー的なものまであったな」
正直砲撃機と水中専用機さえあればニューギニア特別地区の防衛自体は問題ないんだがな。
と言うかせっかく機動力が高いギャンシリーズをフルアーマー化って冒涜じゃねぇか?
「一応許可は出すつもりだが……元々バランスの良い機体だからあまりイジっても見合った成果は無さそうなんだよなぁ」
「開発チームの経験値にはなるんでいいんじゃないですか」
そらそうなんだけどさぁ。
「俺的にはどちらかというとプロトタイプサイコガンダムの設計図が完成したことが大きいと思うんだ」
「アレですか、正直機体が重そうで操縦しにくそうなんですが」
本家サイコガンダムよりは小さいとはいえ、普通のモビルスーツより大きい上に重量はαシリーズがフル装備の状態より重いんだから機動力や運動力はお察しである。
それでも新しいニュータイプ機が完成したのは嬉しく思う。
ただ、デザインがサイコガンダムのソレではなく、ヴィエーチルになってるのが粋なはからいだ。
ムーバブルフレームの開発がまだであるため変形機能などはなく、拡散メガ粒子砲も容量の問題があったらしく搭載されておらず、唯一の武装はジオングのアプサラスIVにも活用されている有線サイコミュ式ビーム砲だ。
完成は順調に行けば5月ぐらいにできあがる。
ぶっちゃけつかえるか微妙。
はやくムーバブルフレーム実装されないかねぇ……あ、俺達が旧式になるから案外簡単にやられるかもしれないのか。注意しないと。
さすがにいきなりバウに囲まれでもしたら生きては……帰れないかも?
「BL対策も調子よくできてるようなので今では完璧なようだ。シーマ様々だな」
感染者は多少の侵入は許したがそれでも数が少ないのはさすがシーマ様だ。
要注意感染者にはハロの監視もつく、もっとも本人は知らないはずだがな。
そこら中にハロが居るので監視は容易で、不審に思われるようなことは少ない。
半分ほどは思いつきだったハロだが、実際はなかなかいい感じに働いてくれている。
そして観光案内のパンフレットを配ろうと思ったんだけど観光データをハロに入れておけば何も問題ないということに行き着いた。
本当にハロが万能になりつつあるな。
「それにしてもハロにBL本を捕捉したら捕縛というのはやり過ぎな気もしますけど」
「とは言っても今まで逮捕者が居ないんだし問題ないだろ。まさかこの短期間に対策が組まれてるとは思わないから当分は抑止力として活躍してくれるだろう……多分」
捕縛と言っても数時間説教垂れるていどだけどねぇ。
本人にしてみれば疲労がたまるばかりだろうが、本格的な刑務所に送られるわけじゃないんだから大目に見て欲しいものだ。
まぁ何にしても薄い本を誰かに渡したりしなければ問題ないんだけどな、トークは対象にしなかったんだし。
「モビルスーツに導入されたサポートハロですが、そこそこ効果があるようですね。連携が少し難しくなりましたが一番の成果は回避率が向上したことですね」
相手の武装を把握、攻撃可能領域を計算し、それを外れるように回避する。
2機同時までならそこそこ回避するが、演算でCPUに負担を掛けるため、長い時間頼れば熱暴走の可能性があるのが玉に瑕だがな。
まぁ熱暴走を起こすのはあくまでハロのものなのでモビルスーツ自体に悪影響は無いんだけどな。
このサポートは養殖ニュータイプでは足を引っ張ることになるとの報告もあるから要注意だ。
サポートハロはシミュレータや模擬戦、実戦などでパイロットの操縦癖を解析してコンマ何秒か速く動作することによってパイロットの描く通りの動きをスムーズにさせ、敵の行動パターンを解析してマリオンズやシーマ様の回避パターンを手本に行動する……アムロの戦闘データを反映させてたジムの上位っぽい感じか。
輸出用のサポートハロには回避パターンは一般兵クラスの回避パターンが設定されている。
回避パターン自体は簡単に再設定できるのでカスタマイズはご自由に、という仕様だ。
そのうちハロがモビルスーツを動かす時代がやってくるのだろうか、そうなったらリアルシュワちゃんがロボになってる世紀末っぽくなりそうな予感もあるけどさ。
「アプサラス・アーマーはまだ設計図段階で止まってるようですね。これほど時間がかかるなんてギニアスさんからすれば邪道なんでしょうか」
「そうかもしれないな」
本来マリオンズにも使われたくないだろうからな。
あの愛の深さはから恐ろしい物がある……まぁケンタッキーの存在が和らげてるんだけどな。