第十三話
妙なところで妙な目的ができたので頑張らなくてはいけなくなった。
「何にしてもBDを撃破して他を片付けなけりゃ話は進まないか」
幸い08小隊が陸ガンであるという事が確認できている事だな。
問題は先に行動不能にするとパイロットが脱出して逃げられると捕虜にできない。
せっかくだからと欲張ろうとするのがいけないんだろうか。
それとも俺の潜在意識がリア充を排除しようと——と厨二病っぽいことを考えてみる。ん?厨二病っぽくないか。
「にしても本当に連携が上手いな。懐に入れさせてもらえない」
最初にも考えた通りニュータイプ同士の…というよりニュータイプを倒す方法としては射撃では決着がつきにくい。
実戦の多さで言うと原作組にすら負けないような気がする俺達なら尚更で、俺達との戦いで経験を積んだBDも同じといえる。
それはBDのマリオンも分かっているはずなのにこんな消極的作戦、なぜだ?
「あ、そうです。そうですよブルーニーさん、相手は勘違いというか知らないんですよ。私達の特殊性を」
「ん?」
「ほら、普通モビルスーツってメンテや補給が必要だったりパイロットの疲労が蓄積したりするじゃないですか」
「あーなるほどね」
持久戦になれば俺達が不利だと思ってるわけか。
おお、そういえば相手にBDがいるんだから俺達の部品痛がどの程度か知ってるなら納得、俺達も自動補給されなかったらもう動けなくなってても不思議じゃないからな。
もしかして俺達を警戒してBDを基地に配置してたのかと思ったけど部品がなくなったのかも?しまったなー1回ぐらい奇襲を掛けときゃ良かった。
「なら持久戦に付き合ってもらいますか、俺達は別に問題ないし——って今度は砲撃ですか?!味方巻き込んで——無意識に回避してたから気づかなかったけど距離とられてますね?!
」
この砲撃は俺達の消耗とパイロットの疲労回復の為か、色々考えるねー。
あいにく俺達は部品痛を感じたのは初期の方で最近は殆ど無いんだよ。
どうも燃料に余裕があったら回復力が上回るらしいな。検証してないけど。
「気分は弾幕ゲー」
「あたいったら最強ね?」
「なぜ知っている?!」
「え、ジオンネットで流行ってる弾幕シューティングゲームですけど」
おっとジオン産の東方ですか?!あら不思議、ガンダムの世界で東方って言ったら師匠しか思い浮かばない。
「確か同人ソフトでサークルは……ああ、宇宙Projectだったはず」
えーっと、間違ってないかもしれないけど間違ってるだろ。
「今度ダウンロードしますか?確かネット販売されてるんでハッキングすれば手に入りますよ」
「おおう、違法ダウンロードとかいうレベルを超越してるぞ」
「何言ってるんですか、バレなければ合法です」
おいぃー誰だよ!そんな事言ったの?!あ、俺か。
ってテンプレなこと言ってる場合じゃねぇえ!
マリオンちゃんを再教育しなくは!!俺色に染める…良い響きだ。
「敵モビルスーツが来ましたよ」
おっと変な妄想に浸ってたらいつの間にか砲撃が病んで——病んでんのは俺か——止んでた。
「何でモビルスーツでコサック・ダンスできるんだ?」
「隊長、問題はそこではありません。ひょっとしたら何かの合図の可能性も」
「サンダース!あんたが臆病者なのは分かったから今は目の前の敵に集中しな!相手はやり手なんだ。死神かなんか知らないけど今度はあんたが死ぬよ!あの機体がどれだけ化物なのか
この前の模擬戦で分かっただろう」
いやーだって砲撃って弾道計算したら当たらないじゃないですか—暇だからついねー。マリオンちゃんがやってくれてるんですけどね。
一応おまけ程度に挑発でもあるんだけど、効果なんてあるわけがないよな。
それにしても模擬戦?もしかしてBDを相手に予行練習積んできたのか、なら色んな意味で納得だ。
反応、連携の良さはその辺から来てんのか。
「だがお前では再現できないものがある、それは〜…情熱思想理念——」
「あ、速さですね。私達はあちらよりずっとブースターが使えるので…ってどうしたんですか」
「いえ、なんでもないねん」
無理やりカットされました。と言うか今のタイミングで普通カットできるものなのか?
これがニュータイプというやつなのか?!
「とか言いつつ持久戦して早40分、彼らの動きは見るからに鈍ったな」
「まぁモビルスーツが全力で動けばこれぐらいが限界です」
んじゃま、本気で逝きますか。
EXAMシステムフル起動、ブースター全力全壊で懐に飛び込み、サクッとマスター某が乗るジム改のコクピットを至近距離からビームライフルで貫く。ビームサーベルに持ち替えるのが
面倒だった。
「隊ちょ——」
「他人のこと気にしてる場合じゃないと思うぞ」
最初の頃の鋭敏な動きはなくあっさりもうサブキャラだから名前忘れたけどジム改2機沈黙。
やっぱりホワイトディンゴは隊長に支えられてたんか、疲れてるからって脆すぎるだろ。
「ジム改は装甲以外は陸戦型よりは優れてるっぽいな。それにBDにはどうも学習型コンピュータを搭載してるっぽいな。俺の攻撃パターンが幾つか先読みされてるし」
「そうなんですか、ちなみに私達にもありますよ?使い道がないだけで」
「………そうだったのか」
マリオンちゃんの言い方では何となくだけど俺に学習能力がないみたいに言われてるみたいだけど、これは被害妄想だな、うん。
「後はメインディッシュ……ってまた逃げてるし、今度こそ逃さないぞー……と追いかけて」
「砲撃来ます。いくらなんでもお決まりすぎでしょう」
今回は逃がさないように躱しながら前進、本気を出せばどうってこたーない。
「隊長俺達が足止めします。だからこのまま逃げてください!」
「『達』って私も入ってんのかい?!まぁ異論はないけどねぇ。やっと一丁前の男になったね」
「サンダース、カレン…」
そんな感動的な会話してるところ申し訳ないが……
「だ・る・ま・さ・ん・に・な・っ・て・ね?」
ビームサーベルで四肢と頭を斬り落とし、コクピットから出られると面倒なのでうつ伏せにして踏んづける。
これでハッチも土に埋もれて出れないだろ。
「貴様ーーー!」
「なんであんなに怒ってんの?戦争してんだから仲間殺されても仕方ないだろ。というよりまだ生きてるし、温情ある対応じゃね?」
「ブルーニーさんブルーニーさん、彼らからしたらなぶり殺しにしてるように見えるんですよ」
………
なるほど、確かにコクピットをマッハふみふみしてりゃ確かになぶり殺ししてるように見えるか。
シローさんは投影開始とか言ってビームサーベル構えながら突っ込んでくるけ——どおぉぉぉ!
「ちょっとユウさんや、不意打ちとはやってくれる。正々堂々挑めっての!」
「さすがにブルーニーさんに言われたくないと思いますよ。この前不意打ち上等!とか叫んでましたし」
「いいんだよ。俺達は1機なんだから」
「そう言われれば…」
これで丸め込まれるマリオンちゃん萌え〜。
ま、何にしても——
「そっちから俺達の間合いに入ってきてどうするんだよ」
ビームサーベルをコクピットに照準、ビームを発生させて終——
『止めてえぇ!!』
「ぐぉっ?!頭がイテェ」
「これはもう一人の私ですね。どうしたんでしょうか」
『お願い、ユウは助けてあげて』
「なあ、確かやられるのは覚悟してるって話じゃなかったのか?」
「共有した感覚だと自分がやられるのはいいけどユウを殺して欲しくないみたい」(気持ちは分かるけど)
「そういうことは先に言って欲しかったぜ」
『ごめんなさい。よろしくお願いします』
「うちのマリオンちゃんより純情路線っぽい——」
「え、私って汚れてますか?!」
「最近ちょっと怪しくなってると思う」
「それなら絶対ブルーニーさんのせいです!」
『自分の変化を人のせいにするのは良くないとおもいます』
「……私汚されちゃった……」
うちのマリオンちゃんが凹んだようです。
それでも可愛いぞマリオンちゃん!負けるなマリオンちゃん!凹んでるのは俺のせいっぽいけど!
ニュータイプの共有に巻き込まれたような形の俺だけど時間がほとんど進んでおらず、まだBDのコクピットにビームサーベルを照準している状態だった。
ここからなら——
「これでどうだ!!」
持っていたビームサーベルを左腕を斬り落とし、BDの顔がこちらに向いたのでバルカンが来ると踏んでコクピットが歪まない程度に蹴り飛ばす。
「シローさんも神速とか貫が使えたら俺もやばかっただろうなー」
さすがに防御をすり抜けてくる攻撃とか怖すぎる。
パパパッとだるまさんにしてほかの小隊メンバーと同じ状態にする。
「お、BDさんは今回逃げないんだ。08小隊の皆さんと仲良くなったのかな?」
それとも逃げれないのか、長い間EXAMシステムを起動していたせいだろうが生まれたての子鹿か仔馬のように脚から始まりあっちこっちがプルプルしている。
「とりあえず寝とけ」
既に動くのが精一杯の素早く回りこみ胴を両手で掴み上下左右シャッフル同盟!
トドメと空へと放り投げるがブースターで立て直しもせず地面に激突した。
「これにて一件落着」
「戦闘評価C、ミッション達成率A、総合評価C、次回頑張りましょう」
「その評価はいったいなんぞ?」
「ブルーニーさんはゲームが好きなようなのでそれらしく評価してみました」
なるほど、色々考えてんだな。でもなんか評価低くね?
「時間の掛け過ぎによるマイナスです」
「消極で堅実な作戦だったのに低評価…挫けるわー」
「だから次回頑張りましょう」
まぁいいけどね。
ミッション達成率はAだし、どっちものマリオンちゃんの好感度も下げずに済んだっぽいし。
「BDはどんな味なんでしょう」
「共食いにそれほどの期待されても…」
『ビクッ…ガクガクブルブル』