第百三十一話
本当に連邦から模擬戦参加依頼が来た。
ティターンズやエゥーゴからではない理由は今回の主催が連邦だからだ。
どうやら新しいモビルスーツが完成したらしい……ティターンズってなにかモビルスーツ作ってたのか?内政で手一杯って聞いたし、αタイプを買い続けている現状、エゥーゴも同様。
はて?どういうことだ?エース機でも作ってたのかな?
そしてこの依頼はわざわざ蒼い死神、死神の鎌をご指名です。もちろん指名料をたっぷり頂いている。
「サイコガンダムのお披露目かー、まぁ完成品を露出させるよりはいいよな」
「他国に売っているモビルスーツで参加するとブルーパプワの営業に支障が出る可能性がある、というのはアイナさん談です」
他国にバンバン最新兵器売ってりゃしっぺ返しがある……とは言ってもアプサラスシリーズはカウントされないのか?
「アプサラスは元々ジオンの兵器ですからインパクトに欠けるでしょうね」
そうか?十分インパクトあると思うんだが……というかアレがインパクト無いってどうなんだ。もう次はデビルガンダムとかマクロスとかヴァルシオーネとかぐらいしかない気がするぞ。
「デビルガンダムの詳細を聞くと他人事ではない気がするのはなぜでしょう」
「まぁ、俺達自身がそれに近いものがあるからな」
喰えば喰うほど進化する。
恐らくBD細胞に感染したんだな……ブルーレイディスク細胞ではなくブルーディスティニー細胞だからな。ここ、テストに出ます。
「一応サイコガンダムに小型化されたサイコミュを搭載しましたけど、1機じゃ問題ですからヴィエーチルも持って行きましょう」
ヴィエーチル、中身はNT-2なわけで、なんだかんだ言っても独立戦争時の機体であるため運動性以外はαタイプに劣る。
ただ、マリオンズが1番重要視するのは運動性なため、まだ専用機としては前線で使える。
ギレンの野望風に言うと耐久や運動は若干劣るが限界が200あるってイメージだな。
ヴィエーチルの近代化改修も検討していているが次の戦争が始まった時でいいかと放置している。
そうそう、やっと小型サイコミュを見ることができた。
装備の仕方は初期と同じくバックパック的に設置されているが、その分厚さは半分程度になっていて普通のバックパックのように見える程度に収まっている。
この程度のサイズならグリプス戦役時の機体、バウンドドックやドーベンウルフぐらいになるかもしれない。
ジャミトフがニュータイプの存在を信じ、オーガスタ研究所に資金を投入してくれたおかげで随分と進歩しているように感じる。
ティターンズは連邦の組織であるがその性質は少数精鋭、ニュータイプという一騎当千の存在を熱望しているのだろう。
もっともティターンズが原作通り軍を掌握することができたなら量で補えるので早々に撤退しかねないが。
「なぜかハマーン様が模擬戦の見学に行きたいというから一応手配しておくか」
「ブルーニーさん、この前厳しく言った手前、あまり甘やかされると私の立場がないんですけど」
「まぁニートの……いや、良し悪しはともかく将来の夢を持ったんだからニートは卒業か……コミュ障の治療の一環ということで」
「ハァ……」
言葉はないが、今回だけですよ?という声が聞こえた。
さすがマリオンちゃん、相棒だ。
「何処で模擬戦をやるかと思ったら宇宙かよ」
「もっと早く言って欲しかったですねぇ。危なくサイコガンダムが間に合わないところでしたよ」
コロニー保有で宇宙にも進出したニューギニア特別地区だが、アプサラスIVとマリオンズという鉄壁が存在するのでブルーパプワでは基本的に宇宙仕様にするのは実機が完成してからだから慌てた慌てた。
全く、合同模擬戦2週間前に開催地を教えるってどうかと思うぞ……もしかして嫌がらせか?
「抗議にオペレーションメテオでも喰らわしてやろうか」
「いいですね。後世では戦争のきっかけは嫌がらせからだった。とか教科書になるかもですね。人類史上最もバカバカしい戦争が更新されますよ」
ちなみに史実での人類史上最もバカバカしい戦争はサッカー戦争というサッカーが原因で起こったものだ。
もっとも、それはきっかけに過ぎず、国境問題とか移民問題、貿易摩擦が主因なんだけどな。
「偶にはリリ丸でおでかけもいいもんだけどさ」
「ジャジャ丸にも乗ってみたかったんですけど、まだ改装中ですから仕方ありませんね」
ジャジャ丸は海賊から貰ったザンジバル級の名前な。
なんだか昔の着ぐるみ人形劇を思い出す。
余談だが中の人はホラーマンやテレビ朝日になったドラえもんのスネ夫とかしてるな。
命名主はマリオンちゃんだ。
シーマ様を筆頭にリリ丸の乗組員は仲間(被害者)を増やそうと賛成し、海賊達は反対していたが控訴は認めず、ジャジャ丸となった。
「今回はブルーパプワ幹部がほとんど参加してるんだよなぁ」
「リリ丸が落とされるとブルーパプワは組織崩壊起こしますね」
参加メンバーはアイナ、ギニアス、シーマ様、コッセル、ガイア、はにゃーん様、セラーナ、ナタリー、リリーナだ。
参加してない幹部は一番新人のマハラジャとマレーネだけか、彼らは毎日忙しいからな。まぁ俺のせいなんだけど。
アムロとメイはサイコミュに興味を持ったらしく、ムラサメ研究所とは別に色々弄っている……そもそも幹部ですらないんだけどね。
シローとケンタッキーは今日も元気に警備や治安維持をしているだろう。最近モブに成り下がってる気がする。
「俺達とマリオンズがいて艦が沈められることはまずないとは思うけど、沈めば俺達は流浪の旅に出かけるかな」
「それもいいですね」
さて、駄弁っている間に指定座標までもうすぐだ。
そして、既に連邦、ティターンズ、エゥーゴは到着しているようで艦隊がお出迎え。
と言うか数多くない?明らかに100隻以上いるんだけど?
以前話題に上げたバーミンガムもいるし……おや、あれはアレキサンドリアか?就役は来年って聞いたが……完成してたのか、いや今回の模擬戦に合わせて公開したいのか。
しかしまだ実績もないのに3隻も用意しているのは、やっぱりバーミンガムとの連携を重視しているからかな?
とりあえず通信を入れておくか。
「こちら、ブルーパプワ所属死神の陽炎代表ブルーニー、応答されたし」
『君が噂のブルーニー君か、私は連邦軍第1宇宙艦隊司令ティアンム大将だ』
……ティアンム生きてたんだ。
そういや全然気にしてなかったな。
原作じゃソロモンで死んだはず……この世界では代わりにレビルが死んだけどな。
もしかして今連邦軍をまとめてるのってティアンムか、ビンソン計画を実質潰しちゃったから影響力が弱そうだ。
……いや、宇宙艦隊司令ってことは実際は飛ばされてるのかも、ジオンと戦うことがあったらまず始めに戦うであろう立場だからな。
それともビンソン計画の延長線がアレキサンドリア級の量産につながっていて、その監督を直々にしていたという可能性もあるか。
「これはこれは、コロニー落としを阻止した英雄に会えるとは光栄です」
『あれが阻止の内に入るのかは疑問だがな』
まぁ、地球に落とすことを防げなかったからそう思うのも仕方ない。
しかもオーストラリアで1番人口が集中している場所に落としちゃったからな。
とは言っても本人がどう思おうと当時のマスゴミはティアンムを英雄と報道していたから今でもかなり人気がある……でも派閥とかは聞かないんだよなぁ。
「では、今日はよろしくお願いします」
『こちらこそよろしく頼む、ブルーニー君と死神の鎌の強さは超越していると聞くからな』
さすが英傑、前線で戦っていただけあって貫禄がある。
続いてジャミトフ、ブレックスと挨拶をしたが面倒なのでカット。
それにしてもいつも思うことだがブレックスは胡散臭い。
原作でもクワトロがシャアであることを知りつつも重用していたし、経歴を見ると政治家から軍人に転向した変わり種であることも怪しい。
政治家特有の何を考えてるのかわからず、相手に言質を取らさないという慎重に選んだ言葉でしか話さないあたりが気に入らない。
そういう意味ではジャミトフは覇気があり、地球を手に入れたいとわかりやすい。もっとも下の者にはわからない程度にはカモフラージュしてあるがな。
それに言うことも割りとストレートで助かる。
ジャミトフに挨拶した時に聞いたんだが、どうやら今回の模擬戦は観艦式のような役割もあるらしい。
そんなものに俺達を参加させていいのだろうか、連邦の大事なイベントだろうに……艦隊がボコボコにやられる映像が全世界に流れたらそれこそ連邦存続の危機だろ。
と思ったら世界放送されるのはティターンズVSエゥーゴのものだけらしい、連邦的には俺達がこのイベントに参加したという事実が欲しかっただけのような空気もある。
うちの知名度があがるからいいんだけどさ……そうならそうと言ってくれればリリ丸を痛艦にして来たのに。
「さすがにアニメのキャラクターを貼られるのはごめんだよ」
むう、シーマ様は反対のようだ。
「じゃあ、マリオンちゃんで」
「それならまだいいが」
「いい考えですね」
おや、アイナまで味方に。
「私的にはアイナを推したい」
「お、俺はシーマ様を」
「俺も!」
おおっと、ここで待ったコール。
ギニアスは相変わらずのシスコンぶりを……ん?最近シスコンらしいところみてないな?何かあったか?
そしてコッセルとガイアはシーマ様推しか、まぁ当然かな。
「私はハロがいい〜」
「断然パトレイバー!」
「ピンク色のハロとかいいですね」
上からセラーナ、はにゃーん様、ナタリーだ。というかピンクハロって何処のラクシズだよ。