第百三十二話
ティアンム、ジャミトフ、ブレックスが並んで何やら挨拶しているがスルー。
その中で一際目立つ存在も並んでいるからな!
もちろんそれは我らがアイドルマリオンちゃんだ!!
本来格から考えれば並ぶのは俺なんだが見た目の問題で奴等がNG出しやがったから、ならもうマリオンちゃんしかいないだろう!ということで代表として並ぶことになったわけだ。
マリオンちゃん頑張れ、テレビデビューだ!
「私はマリオン・ウェルチ、蒼い死神と呼ばれる存在です。この度は連邦の依頼により参加することとなりました。ブルーパプワの新型モビルスーツのお披露目する予定ですので楽しみにしていてください。力というのは量であると思っている方は多数いるでしょう。しかし世の中数だけではどうにもならない存在がいるということを証明してみせましょう」
ぶはっ、マリオンちゃんが世界放送で連邦に喧嘩売ってるよ。
え、これ、どうしよう。負ける気はもちろんしないが、世界放送されちゃったら模擬戦の映像も流さなくちゃいけなくなるだろ。
そうなると有言実行した場合、必要以上に連邦やティターンズ達の威信を下げることに……え?これ生放送じゃない?良かった良かった、なら編集でどうにかなるな。
いい加減、傭兵の立場で正規軍の模擬戦に参加するということで上層部はともかくとして現場の兵士達にはウケが悪い。
それなのにこんな放送が流れ……なに?模擬戦に参加する艦隊には生放送?……オー、これは血の雨が振りそうだな。もっとも血を雨の源は俺達じゃなくて気合入れてチャレンジしてくる相手が、だけどね。
その他3人の顔色がめっちゃ悪くなってるな。
面識が少ないティアンムは耐性がなく怒りに真っ赤っ赤、ジャミトフは1番耐性が高くて冷や汗程度で抑えてる、ブレックスは日中アプサラスIVと戦ったことがあるのかな?苦々しい表情を浮かべてる。
そういやコーウェンは何処いった?
「コーウェン大将は地上軍司令なので今回は出番がありません」
ああ、連邦らしいお役所仕事ですね。わかります。まぁ組織なんてそんなものだけどね。
そんな現実逃避も周りの殺意のこもった視線とざわつきで台無しだ。
俺達はもとよりシーマ様達もいい加減慣れているので平気だが、はにゃーん様とセラーナ達が……割りと平気そうだな。
「ふっふっふ、負け犬の遠吠えなどで威圧される私ではない」
はにゃーん様厨二乙。
正確には戦ってないからまだ負け犬じゃないが……厨二に細かくツッコミをいれちゃいかんか。
特に意味もなく包帯とか巻きたくなるお年頃だし。
「マリオンお姉ちゃん輝いてます」
セラーナは舞台に立っているマリオンちゃんをキラキラした目で見ている。
周りのことはガン無視、なかなか肝が太い。
皆堂々としたもんだねぇ……訂正、保護者のナタリーがめっちゃオドオドしてた。
改めて思ったんだが、幹部はほとんどジオン軍人で構成されているんだよなぁ。なんだか感慨深い。
「この後の段取りとか聞いてるか」
「はい、まずはティターンズとエゥーゴが、その後敗者と私達が戦い、そして最後に勝者同士が戦うことになっています」
予定では最低2回戦うわけか。
「いえ、私達と言いましたがブルーニーさんとナンバーズは別枠となります」
ああ、俺達は単機で、マリオンズは3機で戦うわけね。
これで負けたら俺達の威信は失墜、多分ニューギニア特別地区も無くなるだろうな。
「ブルーニーなら負けないだろうさ。むしろうっかり相手を沈めるんじゃないよ?」
……そういや俺達は殴ったり蹴ったりすることが多いから気をつけないとな。
さて、サイコガンダムの活躍も期待だが俺達も気張らにゃいかんだろう。
圧倒的勝利、それ無くしてニューギニア特別地区の存在が保てん。
モニターにはティターンズVSエゥーゴの激しい戦いが行われている。
当初の予想通り、ティターンズはエース機の更新をしたようだ。
ティターンズが出したのはTR-1、ただし改修、追加武装されたようで原作で言うシールドブースター、強襲形態、フルアーマー、高機動形態が実装されている。
TR-1特有の武装であるシールドブースターが装備されて、機動力が増したが……これって宇宙仕様だよな、地上だとあまり意味なさそうに思うんだけど。
それとシールドブースターって危なくないか?攻撃を防ぐものに推進剤を入れるとか……
ぶっちゃけフルアーマーは必要性あるのか疑問なんだけど……追加装甲にはビームコーティングがされていないように見えるし。
ま、高機動形態の機動力だと小さいデブリとかに当たるだろうから追加装甲も無駄じゃないかもだけど。
高機動形態は……さすが高機動というだけあってフルバーニア仕様を上回る機動力を見せている。
その点から考えてG対策も進んでいるんだろうね。
ただ、機動力あっても旋回能力は低いから使うのが難しそう。
そしてやはり地上で使えないんじゃね?
続いてエゥーゴは量産機を出してきたようだ。
その機体は……どっからどう見てもネモだね。
デザインも武装もネモ、ただし原作と同じものかはわからない。というか出てきたタイミング的に考えれば劣化ネモだろうな。
ムーバブルフレームはまだ開発中だし、ガンダリウムγはまだ使われたという話は聞かない。
「エース機と量産機を同数で戦わせるって模擬戦的に成立するのか?」
各勢力30機ずつ、計60機が戦ってるわけだが既に30機が沈んでいる。
その内訳はネモ22機、TR-1が8機と圧勝だが、エース機だから……と言うのを差し引いてもあまりに一方的過ぎる。
それは5機のTR-1が凄腕だからだ。
資料でパイロットも確認するとヤザン、ダンケル、ラムサスの3人とフォルド・ロムフェロー、ルース・カッセルの2人だった。
さすが経験が浅い頃のマリオンズだったとはいえ撤退に成功した3人衆なだけのことはある。
そして宇宙、閃光の果てに…のキャラか、こちらの腕前は知らなかったがゲームの主人公とそのサポートキャラというだけのことはあるな。
それに比べてエゥーゴは特に目立ったパイロットはいない。
シャアやララァは当然としてロベルトやアポリーも出ないのは、まだ勢力が大きくないので切り札は隠しておきたいということか。
連邦系のモビルスーツに乗りたくないだけだったら笑うけど。
「私達の相手はエゥーゴに決まりのようですね。アレだけ煽ったんですから頑張ってもらいたいものです」
「正直に言って、サイコガンダムに30機とか相手にならないんだけどな」
しかし、正規軍が30機、傭兵が3機で戦うって普通に考えたら大人げないよな。
それだけ評価してるということなんだろうけど、プライドはないのかね。
「私達を倒したかったら200機は連れてこないといけませんよ」
200機というのは単純にビームライフルと可動砲の弾数なんだけどね。
それ以上になると近接武装がまだ装備されてないサイコガンダムだと模擬戦のルール違反である殴る蹴るするしかなくなるからな。
戦場なら補給できるから問題ないんだけど、模擬戦って実戦じゃないから色々不便なんだわ。
「決着がついたか、エゥーゴも粘ったには粘ったけど大勢が決してからが長かったな。観客的には見飽きるわ」
それからエゥーゴの機体はメンテと補給をした後にマリオンズの出番である。
ちなみに模擬戦はミノ粉を散布せずにやっているので、高性能機器を使ってビームライフルはビームの代わりにレーザー(威力はない)を照射して被害などを機体に擬似的に反映させながら行われる。
戦時には出来ない模擬戦だな。万が一襲われたら対処に遅れるから。
「面倒だからまとめてかかってくればいいのに」
「仲が悪いから無理なんだろうな」
「あ、せっかくですからハンデとして艦砲射撃もやってもらいましょう。バーミンガムもいますからどの程度の実力があるのか計るにはこともできますよ」
そうだな、さすがに30機程度のモビルスーツだけじゃちょっとな。
よし、ティアンムとブレックスに話を通してみるか。
会話内容は省略するが快く受け入れてもらった。
それどころかモビルスーツを更に20機、つまり合計して50機にしたいという更にハンデを要求された。
正規軍人、それでいいのか?まぁこちらとしては特に問題ないので承認。
本来ならEパックに不安を感じるから追加で渡しておくところだが、模擬戦中のエネルギーなどはデータで管理されているので給弾を増やすには手間なんでパスしておく。
さて、マリオンズVSエゥーゴ終了。
え?早い?男の子に早いとか言っちゃダメだぞ?
じゃなくて、描写がない?それは仕方ない、だって物凄い1パターンなんだから繰り返してると飽きる。
とりあえず、サイコガンダムTUEEE。
相手の攻撃がなぜか、な・ぜ・か!範囲が広くてヴィエーチル1機撃墜判定されたが、そんな卑怯な手を使ったのにサイコガンダムを落とさなかったの間違いだ。
怒ったマリオンズはそれはもう容赦はなく、戦闘時間2分もなかったな。
まぁ俺もちょっと殺してくる、と行こうとしたら幹部全員に抑えられた。
無理やり解くことも出来たのだが、殺るなら完全犯罪であるべきか……ミステリー小説のようなものにチャレンジするのもいいな。
落ち込んで帰ってきたマリオンズをヨシヨシと慰める。(^_^)/(>_<;)
やっぱり艦丸ごと沈めてやるべきじゃね?
貰った資料から参加者の名前はわかってるから絶対逃さないぞ。ジャミトフにも協力させるかな。
「次は俺達か……」
でも次回だ!