第百五十話
ただいまドップブースターのガンダリウムγ仕様のテスト飛行を見学中。
「最高速度は10%上昇、燃料もしくは弾薬の搭載量の20%増加ねぇ。ぜひ採用したいところだけど……」
「ガンダリウムγの生産量が少ないですから値段がザクIIぐらいになってしまいますし、それに見合った生産しかできないのでまだまだ使えないかと」
久しぶりのアイナ登場だが、うーん……確かに性能が上がっても月産50機は戦闘機失格だよなぁ。
しかもガンダリウムγをフルに使ってだからサイコタイプの生産は完全ストップ。
ガンダリウムγ化計画もしばらくは凍結か、しばらくはサイコタイプに集中しないとだからな。
「解決策としてMIP社にも1枚噛ませてはどうでしょう。私達だけでも問題はありませんが時間がかかりますし、何よりアナハイムと争うには私達だけではなくMIP社とももっと協力していくべきかと」
「ブルーパプワだけでは需要が追いつきません」
マハラジャも同意見か、最優先に投資をしているとはいえ現在戦争中……一応内乱になるのか?……のために資源の値段が高騰している。
そのせいもあって利益が目減りしている……がロシアは大量注文、先払いと先手を打ったような注文の仕方をしているため値上げもできない。
まぁ先払いだから前もって資源を多く蓄えれたんだからどっこいだけどさ。
「よし、MIP社に打診するか。とはいっても生産は宇宙だからサイド5になるだろうけどな」
さすがに軍機レベルが高いとサイド6での生産は無理……あ、そういえば。
「すっかり忘れてたけどジオマッド社ニューギニア支部にも打診しといて」
「……わかりました」
反応からしてアイナも忘れてたな。
それは仕方ないかもしれないな。ジオマッド社ニューギニア支部はモビルスーツ開発はそれほど熱心ではなく、主にビームコーティングやフィールドモーターの改良などをしていて、成果が出たならともかくまだろくに成果なし。
そりゃ忘れるよな。
こちらから仕事を回しているから経営や研究費などには困ってないだろうが……本社からは見放されてるっぽい……と言うのは表向きで、どうやら裏では本社より最新技術を用いたモビルスーツ開発をしているみたいだけどな。
元々本社がアナハイムに目を付けられることを嫌ってニューギニア特別地区に支社を作ったんだから実力があって当然か。
ちなみに最近知ったんだがガルバルディβはニューギニア支部が作ったっぽい。
そんな獅子身中の虫的なジオマッド社だが、今までブルーパプワは他企業とあまり共同で開発などあまりしてこなかったが今回はMIP社に声を掛けるからジオマッド社に声を掛けないわけにはいかないだろ。
MIP社とジオマッド社から協力を取り付けることに成功した。
実のところMIP社にはアナハイムからガンダリウムγを切り札に合併話が持ち込まれていたらしい。
危なかったな。もちろんその話はお流れになったが……これからも気をつけないとな。
そして10月中旬になっても内乱の終わりは見えない。
モスクワ近郊まで到着した連邦とティターンズだが、全機サイコタイプへと更新した死神の衣が配備されたことにより膠着状態になっている。
月産10機製造でサイコタイプを製造してロシアに随時増援として送っていく予定なので時間が経てば経つほどこちらに有利になるんだけどね。
しかも元宇宙海賊達が養殖ニュータイプに進化を遂げて無事総数900人を突破したから今現在の人員はプラス傾向だ。
逆に激しさを増してきたのは西戦線だ。
10月中旬ともなればロシアは寒くなってきて、雪も降る。つまりそれは戦力の移動に手間取り旧北朝鮮領の孤立することになる。
「兵器をいくら届けたって人間がいないと動かないからな」
「無人兵器復活にはしばらく時間が掛かるでしょうしね」
死神の衣を追加で援軍に向かわせることも考えたがロシアの懐事情で断念。
前線ではシャアとララァが切り込み隊長となり大暴れした結果、近いうちに平壌が奪還されるだろうというのが国際情勢を知る者達なら誰もが思い描く未来図となっている。
そしてそれを後押ししたのが日本が送り出した新型モビルスーツなんだが……
「しっかし……日本は変態国家過ぎるだろ。なんでいきなり可変モビルスーツが登場してんだよ」
「確かフジという名前でしたね」
もういっそムラサメにしろよ。どっからどう観てもムラサメなんだからさ。和名だし。
Zガンダム涙目じゃねーか。
……あ、もしかして犯人はフラウか?!クーンのデザイン考えたのもフラウだったよな。
というかフラウって転生者か?前にもそれらしいこと言ってたような……まぁだからどうしたって話だよな。
明確な敵になるわけじゃ……いや、敵だったか。少なくともフラウにとっては。
「九州からモビルスーツ単独で韓国まで行けるというのは便利ですね。SFSでも同じことができますけど手間が入りませんからね」
「もっともバルカン程度で致命傷になるのは問題だと思うけどな」
軽量化するために装甲が軽くて薄い発泡金属でできてるんだが対弾性と耐久性が悪くてバルカンで落ちちゃうんだよなぁ。もうちょっと耐久力上げろよ。
ビーム兵器が主流だから装甲がいらないってのはわかるけど、やり過ぎは良くないぞ。
というかドップに落とされるぞ。
実弾兵器やサブウェポンもろくにないらしいし……ってかやっぱりムラサメだよな!発泡金属装甲はアストレイが使ってたし?!
まぁバルカンで落ちないZガンダムは上位互換って感じになりそうだが、Zガンダム開発されるのかは疑問だ。
日本は核融合炉とジェネレーターの開発が上手くいっておらず出力不足でこういう自体になっている。
実をいうと核融合炉とジェネレーターの開発が上手くいっていないのはどの国も変わらないっぽいんだよ。
原作と違ってアナハイムがジオン、連邦の技術やノウハウを吸収できていないため革新がそれほど起こってない。
機体自体は随分先に行ってるのに外付けのブースターで推力を上げていてもメインであるはずのランドセルの推力は上昇していなかったりするのはこれのせいだ。
簡単にまとめると……俺達のせいですサーセン。
「可変モビルスーツの登場で攻撃範囲が広がりましたから防衛に苦労するようになってきましたね」
「ああ、ミデアで輸送するより速く、まとめて落とされないという意味で安全だからな」
兵站維持を脅かされるのは痛い。
飛行中はドップブースターで対抗できるのはいいが降りられると対地はあまり得意ではないドップブースターでは荷が重い。
「地上をヤマトで、遊撃をムラサメ……じゃなくてフジで行おうっていうのはわかるが国力が劣る日本にそんなものいるのかねぇ」
それとも連邦とかに売りだそうって腹積もりなんだろうか?……ありそうだな。
しかもデザイン的にフラウが何らか関わっている可能性が高い以上フラウにもいくらか資金が回るわけで……厄介なことになるだろうな、十中八九。
「ドップブースターでの哨戒を増やすことで対策していますがそれもいつまで保ちますかね」
ドップブースターはかなり頑張っているんだが連邦やティターンズ、エゥーゴにもかなり数がいてロシア側の損害はすでに20000を超えたと聞いている。
生産しているのが俺達だけではないから総数がどれぐらい存在するか知らないがそれでもかなり痛い損失なのは間違いない。
「ロシアは今月中に平壌から撤退することになりそうだが……」
「雪の中撤退するのは至難ですからもっと早く撤退すれば良かったのに」
まぁその辺は日本が狙ったんだろうね。
あえてこの季節までフジを隠して平壌に張り付かせた。日本もなかなかあくどいねぇ。
「ウラジオストクあたりまで撤退できれば……なんだか今度は海戦が始まりそうな予感がするな」
「クーンをあまり買ってませんけど大丈夫なんでしょうか」
MIP社が忙しかったのはズゴックIIの大量注文があったからなのだが、規模から察してそんなに多く製造できたとは思えない。
エゥーゴは陸、日本は海から攻められると耐えられるかどうかわからない。
くそ、せっかくチョンを始末できるいい機会……ゲフンゲフン。
「さて、明日はどうなる——」
「大変なことが起こったよ。韓国で現地人と日本人の喧嘩が大乱闘になって今じゃ軍同士が緊張状態になってるよ」
マジですかシーマ様。
原因はなんぞや。
「どうやら韓国人が日本人に対してBLキモイ、ゲイは死ね、ジャップのお家ゲイなどと挑発したことが始まりのようだ」
……いや、まぁ死ねは言い過ぎにしても現状だと間違ってないんだから怒るなよ。
「日本人の方はどうやらBL被害者(BL素材)だったらしくて……」
ああ、うん。なんというかご愁傷様。
「更に厄介なのはこれがロシアが仕掛けたものだということだね」
「うは、すげーなロシア。こうやって教えられても陰謀論の類にしか聞こえないのに……本当なのか?」
「ああ、間違いないね。日本参戦が本格化したら使う予定だった策の1つだってロシアのスパイが言ってたからね」
ロシアにスパイいたんだ。
何気に俺達もそれらしくなってきたな。
「日中戦乱騒動の怨みもあったからね。燃料があるところで火遊びした日本が悪いさ」
自分から戦争しかけて怨むとか……さすが韓国、ブレない。
「じゃあこの間にロシアは撤退を——」
「しないよ。どうやら韓国を味方につけているようで独立支援を行うんだそうだ」
え、なんか盛大な負けフラグにも聞こえるんだけど?
しかもその支援って俺達もするんだよね?嫌だなぁ。