第百七十九話
パーティーとは4つ目の戦場である。by俺。
ちなみに他の戦場は、家庭、仕事、文字通り戦場だ。まぁパーティーと仕事は一緒のような気もするが細かいことを気にしているとハゲるぞ。
俺は禿げてない!元からないんだ!そもそも髪の毛があるガンダムなんてノーベルガンダムぐらいだろ。
……Gガンの世界なら俺のヒロイン枠はノーベルガンダムだったかもなぁ。マリオンちゃんが嫌なんて言うつもりは欠片もないぞ。あくまで妄想だからな。
「それで俺を呼び出した理由は何なのかな。ファ社長」
「ファでいいですよ」
「もちろんわざとだ」
「もちろん知ってますよ」
「ですよねー」
こいつはフラウやマリガンなんかよりまともな大人、かな?
俺もまともな大人じゃないけどな。
ちなみにまともな大人は褒め言葉じゃないぞ。
「貴腐人ってのも嘘か」
「いえ、男の子がいっぱい出るゲームとか好きですよ」
どうだかな。印象ではフラウほどは汚染されてない……少なくとも感染媒体にはなってないことが幸いか。
もし感染媒体になってたらひょっとしたら反射的に始末してたかも。
「フラウさんからあなたの話を聞いたので是非会ってみたいと——」
「そんな理由で呼びつけたなら今後一切お前とは関わらないぞ」
いい加減表立ってはいないが実質的国家元首である俺達を呼び出すなんてことしてんだ。
さすがにそれで終わりじゃない……よな?
「ご存知かもしれませんが以前からアナハイムが世界各国の軍需産業を買収しようとする動きがありました。ですが来年から本格的に動き出すようなのです」
マジで?原作でもそんな感じだったけど、この世界でもとうとう動くのか。
念話でマリオンズと連絡を取ってマハラジャ達に確認を取ったが特にそういう情報は掴めてないようだ。
さて、この情報はブラフか、それともこちらの諜報能力が低いだけなのか、そこが問題だ。
ブラフなら何が狙いか、事実なら——
「それでファ株式会社はどうするつもりだ。アナハイムの傘下に入るのか」
「もしそうなら貴方をお呼びなんてしませんよ。秘密裏にですがアナハイムの強引なやり方に反発している企業を集って反アナハイム組織を結成するつもりなのです」
だよな。そんな流れだと思った。
参加に同意してもらえている企業はこちらです、と資料を貰ったが……へぇ、結構な数の企業が参加してるな。
1番大きいところでブラッシュ社、他にもスーズ社やタキム重工などなど……あれ?ハービック社とヴィックウェリントン社は?
「その2社はアナハイムに取り込まれそうなんです」
おい、連邦2大軍需企業が飲まれてんじゃねぇか。
「だからこそブルーパプワに参加してもらいたいのです。ブルーパプワが参加するとなるとMIP社も倣うでしょうし、ジオマッド社とのパイプをお持ちだと伺ってます」
なるほどねぇ。
言ってることはわかる。
わかるが——
「だが断る!」
「な……なんだってー!……でいいんでしょうか」
「ネタに付き合ってくれたから考えとく、ちなみにまとめ役は誰だ」
「僭越ながら私がやらせてもらっています。ブルーパプワが加入して頂けるなら是非ブルーニーさんにお任せしたく」
ハッ、俺達が人材不足で面倒くさいことが嫌いなのを調べた上に言ってんだろうな。
俺達に対して恐れを抱いているジャミトフやギレンなんかとは違って、堂々と渡り合おうってんだから面倒なやつだ。
「答えはわかってんだろ。まぁとりあえず手始めにガンダリウムγを安く卸してやる。どうせこれが目当てなんだろ」
「そんなことは……」
Zガンダムを作りたいんだろ?わかってるよ。
ガンダリウムγはアナハイムと俺達が独占してるからどこも次世代機の開発が滞ってるようだしな。
でもバイオセンサーがないから完璧な再現は不可能だと思うが、もしかしてサイコミュまで手を出してるんだろうか。
バイオセンサーって準サイコミュとサイコミュの間……いや準サイコミュの簡略化版かな?だから主力を養殖ニュータイプとクローン兵な俺達はサイコミュの質は高めても簡略化することはほとんどしない。
強いて言うならサイコミュハロの指揮官機が使ってるやつが近いかもしれないが、アレを他国に販売すると本当に人間同士が戦わなくなって延々と戦争が終わらないなんて事態に陥るかもしれないから売らないけどな。
どっかの影鏡の人じゃあるまいし闘争の世界なんて求めてない……まぁ恒久的平和なんてものも望んでないが、戦争は適度にお願いします。
「まぁカミーユが仲間にいることを差し引いてもよくムラサメもどきを作れたな。ガンダリウムγを卸すのは健闘賞ってところだ」
「ありがとうございます」
よし、これでエメラルドの収入アップ。
1番稼いでるのはエメラルドだけど、1番金が掛かってるのもエメラルドで、まだモビルスーツは黎明期の段階だから次から次へと新しいことに挑むため、本当に金食い虫だ。
これから需要が高まるガンダリウムγの売れる先が増えれば助かる。
「とは言っても日本はエゥーゴ寄りだろ?後ろ盾がアナハイムなんだけどいいのか」
「政府の意向と我が社の意向が同じでないといけないという法律はありません」
(何より貴方達を敵に回すことは愚の骨頂です)
「そうか……そういえば反アナハイム組織の名前は決まってないのか」
「まだ決めてないんだけど、原作からあやかってマフティー・ナビーユ・エリンなんてどうかしら」
「テロ組織の名前ってどうなのよ。まぁ普通の人間にはわからないだろうけど……Ξガンダムとメッサーを作る気か」
「将来的には作ってみたいわね。作るのはカミーユだけど」
「そういえばカミーユ・ビダンと会ってみたいんだが」
ん?顔色が少し変わったな。
何か隠してるのか?マリオンちゃんを見ると、いつものことだと言っている。
ああ、未覚醒とはいえマリオンちゃんが怖いのか。
「事情はなんとなくわかった。原作通り廃人になられても困るし今日はいいが、過保護は良くないぞ」
「……金言ありがたく頂戴するわ」
同じ(?)転生者だから初回ボーナスだ。
マリガンほど鬱陶しくもなく、カミーユが怯えることを察して会わせるのを避けながらもこの場に呼んでいることを評価はしよう。
次回からはいつも通りで行くけどな。
さて、今年ももうすぐ終わるわけだが……マリオンズがまた増えるのか。
時間が経てば経つほど俺達は強大になる。
「しかも1月末にはクローン兵1000体が揃うってんだからフラナガンも頑張るな」
「研究内容が内容ですし、キシリア様の勢力が衰退気味だったこともあり、スポンサー探しに苦労していたようですからこの機会を逃さないように必死なのでしょう」
クローン兵に関しての情報はまだ幹部しか知らされていない。マレーネが言うように内容が内容だからな。
このクローン兵に関してはアイナやシロー、メイ、アムロが反対していて、シーマ様もいい顔はしなかった。
気持ちはわかるが止める気はない。
反乱フラグかな?まぁ、俺達は何処からどう見てもラスボスだよな。
「クローン兵はブートキャンプに送り、その後特別地区内に配備するということでいいでしょうか」
「ああ、それでいい。それに合わせるように士官も増やすとしようか。いい加減士官が足りない」
「ロシア解放作戦では足りませんでしたから当然の処置かと」
士官コースはノーマルコースから比べると時間が掛かることが統計でわかった。
もちろん才能にもよるけどな。
両コース卒業をもっと増やしたいんだけど……