第百九十話
あれからアイナとしばらく言い合ったが最終的に途中で参加したギニアスがアイナを丸め込んだ。
その代わり20歳を超えたらクローン兵という枠から解放することになった。
別にいいんだけどね。正直自我が育てば強くなるけど、その分使いづらくなるのは間違いないだろう。
それなら内勤に回ってもらった方がトラブルは少なくなる。なによりモビルスーツの持ち逃げとか情報漏洩とかされると困る。スパイだったらマリオンちゃんズが気づくだろうけど。
シローの説得はアイナとギニアスがしてくれるそうだ……夫婦喧嘩に繋がらなければいいが。
勇者王が降臨せんようにと祈っておこう。
「さて、これでブルーパプワ内の問題は解決したわけか」
「アイナさんやシローさんの忠誠度が下がったと思いますけど、それ以外は問題ありません」
忠誠度って、ゲームじゃあるまいし。
クローン兵はしばらく訓練した後、ニューギニア特別地区海軍と宇宙軍に所属させ、現在の海軍と宇宙軍は陸軍か死神の陽炎などに再編する予定。
ちなみになぜ海軍と宇宙軍なのかというと陸軍と違って海や宇宙空間に出れば他者と接触する機会が少なく、クローン兵という軍機を隠しやすくなるからだ。
潜水艦とかその気になれば年単位の潜航が可能、普通は乗組員の精神が先に参るだろうがクローン兵なら……どうなんだろ?自我がないとはいってもストレスは感じるのか?後でフラナガンに試してもらおう。
宇宙船はもっと簡単だ。なにせ天然の真空によって食料の保管が簡単だし、エネルギーも太陽光でどうとでもなる。唯一の問題は推進剤ぐらいだからかなり長期の任務が可能だ。
クローン兵なんて世間にバレたら魔女狩りならぬ死神狩りが発生する。
負けはしないかもだが、被害は酷いことになるだろう。
やっぱり急いで50万ぐらい用意すべきか?さすがにそれだけクローン兵がいたら世界を敵に回しても勝てるはず。
「そしてクローン兵が反乱を起こすんですね。わかります」
「お約束だよな」
そしてマリオンちゃんズと死神の衣に狩られてやっぱりあたいったら最強ね!となる。
うん、どこの世紀末?
まぁクローン兵がバレれば死神の衣も反乱側に回るかもしれないが。
「それはないと思いますよ」
「そうなのか?」
「ええ、ブルーニーさんには彼らが普段は普通に見えると思いますが、根底は私達への恐怖で構築されてます。クリスさんみたいな成功例は私達の恐怖から逃げるために修練してるんですよ。本人は自覚ないでしょうけど」
つまり本能レベルで洗脳していると?
「ですね。あくまで結果的に、ですよ?狙ってたわけじゃありません」
本当か?目を逸らした上に泳いでるけど?
実はブートキャンプ中にブルーニー様の時間とかいうわけのわからん訓練があるって報告があるんだが?
まぁそんなところも可愛いからいいんだけどさ。
とりあえずよしよししてやろう。
それとついでにクローン兵をムラサメ研究所に送ってみた。
是非とも自分達にクローン兵の研究を!なんて言ってきたが却下。
クローン兵の研究なんて複数でやらなくてもいい。クローン兵が1つの完成という形をみたことで強化人間の研究の重要性が下がったから追い縋りたいってのはわかるけどクローン兵なんて危険物を複数の研究所でやるなんてありえん。
……まぁ強化人間も十分ブラックだけどな。
「随分俺達は黒くなったなぁ」
「元々黒い組織でしたよ?蒼いですけど」
ジャミトフから情報が入った。
何やら連邦のガンダム開発計画の試作機が盗まれたらしい。
え、星屑?と思ったら違った。
盗まれたのは新型核融合炉を搭載した本来の意味で次世代機(現在の次世代モビルスーツと呼ばれてるのは実質1.5世代)っぽい。
相手はジオンかな。
ロシアにそれほどの力はないと思うけど……だからと言ってジオンが連邦と不和状態にするほどメリットがあるのかどうか。
ジャミトフは少し俺達を疑ってたようだが、それならまずジャミトフに相談すると言ったら納得してたから大丈夫だろう。
俺達からすればわざわざジャミトフに隠して盗む理由なんてない。
ジャミトフは連邦は上位組織ではあっても味方ではない。逆に俺達とティターンズは協力関係で盗むならそれも協力して盗むわ。
「というわけで盗んだのおたくら?」
『……突然なんのことだね』
「あ、ジオンが盗んだんだな。こっちにもデータ回してくれたりしない?」
だって連邦の新型が盗まれてることは知ってるはずなのに、それ自体を知らないなんて自分が盗んだって言ってるようなもんだろ。
『……なんのことかわからんが、近いうちにお歳暮を贈ろうと思っていたところだ』
「お、そうなのか。それはありがたい。ならこちらからは……うん、俺の秘密兵器の演習動画を贈ろう」
『ほう、期待しておくとしよう』
俺達のおしゃれな一張羅を見て、美しすぎて発狂しないでね?
「あ、ついでにニューギニア特別地区の正規軍と死神の衣の演習動画もつけとくよ」
『太っ腹過ぎて怖いな』
いやいや、新型の核融合炉から比べたら安いもんだ。
それに俺達の威圧行動にもなるしな。
さすがにアプサラスVIは見せないけどな。
……あ、クローン兵とアプサラスVIの組み合わせテストするの忘れてた。
後でクローン兵+アプサラスIVとクローン兵+アプサラスVIの組み合わせをテストだな。
今日は親戚が来てて書けませんでしたorz