第百九十二話
0086年6月、フルムーバブルフレームのαタイプが完成。
コストが1.4倍と高くなったが耐久性十分で軽量化がなされたため実質性能アップとなり、1番消耗が激しい関節への負担も少なくなりコスパ的には良くなった。
モノコック式であるものとの区別するためにモノコック式のものを旧αタイプと呼称し、ムーバブルフレーム式のものをαタイプと呼称する。
ムーバブルフレームの技術提供の関係でしばらくはティターンズとの専売契約を結んでいることと本命は可変モビルスーツのため、利益はあまり出ていない。
生産の精度を上げるためにブルーパプワへ導入するが、サイコタイプがムーバブルフレーム化していないため主力とは言い辛い。
αタイプが完成したことにより、サウート、ザメルIIも同じようにムーバブルフレーム化することが可能になった……のだが、砲撃しようのムーバブルフレーム化は本体が軽くなりすぎて反動が大きくなるためバランス調整中。
「これで新型核融合炉が搭載できればしばらくは恐竜進化しないだろ」
「わかりませんよ。動物型とか文字通り恐竜型とかできるかも……」
それ、どこのゾイドだよ。
アムロは最近EXAMシステムに興味があるようで、ハロにEXAMシステムを搭載しようとしているらしい……アンチニュータイプ兵器の開発をニュータイプがする。なんの因果か……それにハロにEXAMシステムって、どうなの?
対人ハロならあり、か?いや、敵味方の識別すらなくなるんだから問題があるか。あ、もしかしてサイコミュハロに載せる気か。
そうすれば識別ぐらいはできるはず、まぁ対人戦なんて俺達にどれだけ機会があるかは謎だけど。
んー、厭戦感情を高めるために街とかに大量投下するとかはありなんだろうか……いや虐殺のレッテルはいらんから対人ハロの武装を治安維持装備にすれば盛大な嫌がらせにはなるか。
地雷よりマシ……か?動き回るし衝撃に耐性がある上に、回避能力(EXAMシステムの真骨頂)まで付けようってんだから地雷より厄介だよな。
「モビルスーツに載せようとしないあたりアムロさんらしいですね」
「まぁサイコミュハロは統制にサイコミュを使っている関係で味方と識別できるだろうから……問題は完全に暴走したら大変なことになりそうだってことぐらいだ。少なくとも自領で使おうとは思わない」
他国で使って安全確認してからだな。
その他国で使う機会がいつかは知らんが。
「そういえばブルーニーさんが気にしていたホワイトベース乗組員の動向が手に入りましたよ」
お、やっとか。
ミライ・ヤシマをめぐる戦いがどうなったか気になってたんだ。
えーっと……『夫:ブライト・ノア、妻:ミライ・ヤシマ』……あ、原作通りなん——『夫:スレッガー・ロウ、妻:ミライ・ヤシマ』——……うん?
……
…
一妻多夫?!
「あれ?よく見るとこれってウチで受理してんじゃん?!」
「私もびっくりしました。まさに灯台下暗し、気づきませんでした」
ミライ・ヤシマが魔性の女過ぎる件について。
そして名前忘れたけど婚約者さんだけハブられてる。これは草不可避。
何より……ミライ・ヤシマがクリスチーナ・マッケンジー、アイナ・サハリンより年下だったんだな。
かなりビックリだ。
まぁキャラデザや年代の違いといえばそこまでだが……ちなみにララァとミライは同じ年だったりする。
「おまけですけど一妻多夫の初めての届け人でもあります」
「本当におまけだな」
ちょっとスタートで衝撃的過ぎたが他のメンバーは……カイ・シデンとハヤト・コバヤシはエゥーゴに所属。
ハヤトは原作でもそうだったから特に感想はないけどカイ・シデンもか?
ベルファストでミハルと出会ってないかも気になる。別に何かしようってわけじゃないけど原作を知る者としてはあの悲劇の有無ぐらいは知りたいと思うのは当然だろ?
しっかしティターンズは虐殺とかしてないのになんで戦争を嫌っているカイがエゥーゴに……ハヤトは、まぁ、ちょっと中二を拗らせてるから仕方ないにしても……。
「あ、金髪さん。医者になれたのか。将来的には自分の病院を持つのが夢なんだっけ?」
「試験合格祝いを渡しに行ったんですけど将来はそれを視野に入れているそうです。正確には産婦人科と小児科を目指してるそうです」
現在のニューギニア特別地区でもっとも足りないところを突いてくるな〜、狙ってるわけではないだろうけど。
相変わらずニューギニア特別地区は出産ラッシュでベビーラッシュ。
人口は爆増で食の聖地完成を待たずして第5農業コロニー『オパール』の建設に取り掛かった。
情勢の安定と連邦内の復興の遅れ(皮肉)によって資源価格が落ち着いていたので急遽乗り出すことにした。
第1コロニーダイヤはテストも兼ねて居住区以外にも農業区や商業区などがあったが、その中でも半分近く占めていた農業区を第5コロニーに移行して、完全に居住コロニーとするようにするつもりだ。
人口増えすぎてニューギニアがパンクする前に対策を打っとかないとな。
それに思った以上にニューギニア人の宇宙移民の反応は悪くない。どうやら1年中熱くない(誤字にあらず)ことと1戸建ての夢を叶えられるからむしろ人気があるぐらいだ。
それにサイド5の住人には年に2回、ニューギニア特別地区—サイド5間の往復無料という制度も好評なようだ。つまり宇宙移民は連邦のように無理やりしなくても自分達から望んで上手く出来ている。
まぁ連邦という前例があってこそできることだがな。
随分話が逸れたが……リュウ・ホセイは……え?カツ・レツ・キッカを引き取る?ああ、そうかハヤトとフラウが結婚しなかったし、フラウがあんなだからな。
彼らもフラウに引き取られるよりリュウ・ホセイの方がいいだろう。教育の面では。
それにしてもリュウ・ホセイが大尉?随分出世してるがあまり気にしなくていいか。
「さて、他には……」
オスカ・ダブリン?マーカー・クラン?誰だそれは。
モブキャラ乙。
他のもピンと来ないので総スルー。
「現在ミライは妊娠中、ブライト、スレッガー、リュウは連邦所属か。まぁリュウは子育てのために事務系に就いてるけど」
一応ミライには妊娠祝いと出産祝いぐらいは送っとくべきか?それとリュウは子育ても苦労してそうだし何かしてやろう。
同列にしたくないがフラウという転生者が迷惑を掛けた存在だからな。
「いいですね。ミライさんの子供はやっぱりカコでしょうか?」
「いや、さすがにないだろ。ちょっと捻ってキンとかどうよ」
キンミライ。
「センスがないですよ」
「いやマリオンちゃんに言われたくない……俺達がこんなこと考えても仕方ないんだけどさ」
「リュウさんはティターンズに所属させるようにジャミトフさんに頼んでみるのはどうでしょう。給料は連邦の3倍って聞きましたよ」
ハヤトやカイがエゥーゴに所属してるからどうかなぁ。
敵同士なんてリュウもカツ・レツ・キッカも悲しむだろ。
俺には関係ないけど。
「ここまで話して関係ないってどうなんですか!」
「まぁ自己満足でやってるだけだから……それが駄目なら死神の陽炎10%OFFクーポンでも送っとくか」
「あー、連邦内の立場強化ぐらいには使えるかもしれませんね」
なにせ俺達やマリオンズのキャンセル依頼料は日本円で言うと兆を超えてるからな。10%と言っても数千億だから馬鹿に出来たものではない。
もちろん俺達をはじめ、死神の衣の参戦依頼にも使える設定だ。
「これは強力な外交カードになりませんか?」
「そうだな。マハラジャやマレーネと話してみるか」