第二十話
「おおー緑色のジムとはなかなか見かけ——ジムスナイパーカスタムもこんな色だっけか?」
ジム・クゥエルはキャルフォルニアベースに早々に送られた。
そりゃーもう速攻で送り出したよ、どれぐらい速攻かというと機動巡洋艦ザンジバル(宇宙用)と潜水艦ユーコン(キャリフォルニアベース用)が来たからね。
基地での簡易分析の結果をキャリフォルニアベースに送ったら翌日に来たから、どれほどの価値があるか分かろうというものだ。
それとこの基地全員に臨時ボーナスが出たらしい、良かったね。でもボーナスよりここから配置換えして欲しいって要望のほうが多いんだけど…まぁ認められないわな。
そういえばゲルググはイェーガーじゃなくてマリーネだった。
公式名は『ゲルググ』だけどな。
ザク改は見た目そのままだけど出力はジム並、推力もゲルググ並か…ただセンサーがゲルググに劣るのが難点なんだとか。
ドムキャノンは正直戦車で良くないか?という思いもあるが一番の恩恵はやはりホバー移動による状態の安定だな。
一度試運転を見たがなかなかの精度だった。
問題は装填弾数がそれほど多くないことだが遠距離仕様なんだからそれぐらいは目を瞑ろう。
あー…どれでもいいから食いたい。
ジム改(タルタルソース)しか食べてないからマジで飽きてきた。
「そういえばマリオンちゃん、今回の連邦の基地は爆破しなかったけど現状どうなってるか知ってる?」
『いえ、知りません。司令に聞いてみます?』
「よろしくー」
増援が来る前だったから爆撃できなかった空き家にまた連邦は引っ越してるのか、それとも避難したまま引っ込んでるのかによって俺達の仕事も変わってくるだろうな。
そういやまだオデッサ作戦とか聞かないけど、いつなんだろう。
えーっとガルマはこの前死んだから次はランバ・ラル、それでオデッサだったよな。
記憶が確かならランバ・ラル戦は若干長かったような…んー記憶に自信がない。
あ、黒い三連星忘れてた。確かオデッサ攻略作戦直前じゃなかったっけ?
ミデアの人のラストだね…もしかしたら婚約者、俺達が先に殺っちゃってる可能性もあるけど、ファンファン落としたから。
今は11月20日…ん?一年戦争って12月31日に終わるんだよな。
正確に言えば終戦協定は0080年1月1日だったはず。
「今から41日で戦争終わるか?もしかして戦争期間延びる?え、じゃあ一年戦争じゃなくなるじゃん…あ、マリオンちゃん、ついでに黒い三連星と青い巨星が今どうしてるか司令に聞い
といて」
『分かりました』
これで原作通りならある程度予測が…できるかなぁ。随分モビルスーツ喰っちゃったけど。
いや、それよりモビルスーツの増え方おかしくね?台所の黒い流星群じゃあるまいし。
『ブルーニーさん、どうやら落とした基地は放棄されているそうです。更に後退してシーレーンの確保とオーストラリアに力を注ぎ始めたようです』
連邦、モビルスーツ1機に逃げる。
ぜひマスゴミに売ってやりたいネタだな。俺達が目立つからしないけど。
シーレーンの確保って…連邦水泳部とジオン水泳部の戦いがあるってことか?…こりゃ摘み食いチャンスじゃね?
『後、青い巨星のランバ・ラルさんは連邦が青いモビルスーツは近隣の戦力総動員で当たれ、という命令が出ていたようで世界各地のグフが集中攻撃が行われ、その被害者の一人で既に
お亡くなりになったそうです』
………それってもしかして俺達の煽りを食らったんじゃ………
あれ、原作どうなった?
それとアクアガンダムとアクアジムはカラーどうするんだろ…それとジム・クゥエルはなぜあのカラーのままだったのか、謎だ。
『黒い三連星ですがドム・トロピカルで元気よく大暴れしてるらしいです』
「ドム・トロピカルって確かテスト機だったような…」
『いえ、水中以外の地形に適応させたドムの少数生産機、簡単に言うとエース機ですよ。武装も実弾ではなく、ビームライフルより威力があるビームバズーカを装備しているそうです』
ゲルググ・マリーネがゲルググのように色々仕様の変更があるようだ。
これから先は見た目や名前に惑わされないように注意しないと足元掬われそうだ。
「それで司令から依頼は何かあった」
『ビームライフルの回収は自分達でやるからまたベトナムに行ってくれ、とのことです』
「またベトナムか…」
『やはりアイナさん達のことでしょうか?』
「可能性は高いなー」
「こちらをお受取りください」
そこそこ偉そうな兵士からマリオンちゃんに手渡されたのは——手紙?まさかラブレターか?!
『違いますから、ギニアスさんからです』
「よし、ちょっとギニアス〆てくるか」
『だから違いますって!読みますからちゃんと聞いてくださいね』
【蒼い死神へ。
貴殿が持ち込んできたジェネレーターのおかげで計画が進み、近いうちに最終段階に入ることになった。
そこで貴殿が連れてきた男と妹がイチャついt——男と妹に計画が漏れ、反対してうるさくなり男を貴殿にお返しすることにした。
妹と男は今生の別れとなるであろうからそちらに引き渡すまでは私の腹心の部下を監視に付けた上で見送りさせることにしている。
もっとも———】
「うおい、超面倒なこと押し付けられたぞ。シローを…ケンタッキーはどうなのか書かれてないが…引き取れって、俺達にどうしろと」
『いっそのこと仲間に抱き込んでみますか?ちょうどミデアもありますし』
いやいや、俺達がミデア乗るのと人間が乗るのとでは話が違うって。
俺達だったら墜落してもなんとかなるけど人間は死ぬ可能性があるから。
連邦に返す…と銃殺刑かな〜ジオンにお世話になってたからスパイ容疑掛けられると違いますとは言いにくいよなー。
それに——
「ハァ、仕方ない。報酬も結構な額だし…な」
『ですね。ただ宇宙に行くのは難しくなりそうですけど』
「確かに…じゃ、マリオンちゃん引き取りよろしくー」
『はーい』
5分ほど待つと——
「アイナ!!」
「シロー!!」
なんかロミジュリ見てる気分。
後ろに控えているノリスは辟易とした表情をしているのが印象的だ。
「アイナとは離れたくない。俺と一緒に来い!」
「でも兄さんのことが——」
「俺にはアイナが必要なんだ!」
壁ドンしたくなった。
ミデア壊れるからしないけど。
マリオンちゃんが「ノリスさん、止めてくださいよ」と見るがノリスも「できれば止めてください」という目で見る———何見つめ合ってんでゴルァア!ミサイルランチャーぶっ放す
ぞ?!
第二のロリコンか?援交か?死ぬか?
『ブルーニーさん!EXAMシステム起動してますよ?!』
おっと、怒りでついついカラコン挿入しちゃったよ。失敗失敗……チッ。
「例え一緒に行くとしても…生活どうするの?それに連邦軍に帰るんでしょう」
「それは…」
いやー女ってシビアだねー。
生活あっての恋愛ですか?まぁ金が大事なのは間違いじゃないが…それに知らないだろうけどコロニー出身者に厳しいティターンズのジオン狩りにアイナが遭えば——18禁イベントの
ような展開になりそうな…あれ、現代で確か——
『ブルーニーさん、危険なこと考えてませんか?そろそろ本気で怒りますよ?』
「申し訳ありませんでした」orz
モビルスーツが突然土下座したんで、ノロケ全開の二人とノリスがビックリしてた。
マリオンちゃんは苦笑いだったけど。
「マリオンちゃんそろそろ本題に入ったらどうだ」
『分かりました』
実はギニアスからの手紙には続きがあった。
【もっともあのバカップルが簡単に別れるとは到底思えないのでもし良かったら男を貴殿の組織で雇っていただけないだろうか。
それともし妹が付いて行くというならその時は——断腸の思いではあるが一緒に連れて行ってやって欲しい。
もちろんタダでとは言わん、腹心の部下には詳細と報酬を持たせておくので受け取ってくれ。もちろんアイナが付いて行かなかったら無しだがな。】
あのバカップル振りが鬱陶しくなっただけだろ、絶対。
——とか思いふけってたらアイナとシローが抱き合ってやがる。
「見てなかったけどこの様子だと」
『ブルーニーさんが思ってる通りですよ』
近くにリア充を置かないといけないとか拷問じゃね?でも俺自身もリア充っぽいし…んー、裏切ったら即殺そう。
「これからは食材もだけど本格的に金稼ぎしないといけないな」
『そうなると鹵獲したモビルスーツを売るのは連邦の方がいいかもしれませんね』
「でもなー連邦って頭固そうだから取引とか成立するのかなー」
『偉人は言いました。為せば成る、為さねば成らぬ何事も』
こうして名前だけだった傭兵『団』が本当に傭兵団になりました。
もっとも1機と1体と2人だけどな。