第二百ニ話
艦隊到着。
そして兵士達歓喜。
まぁこんな辺境に取り残されたりしたら気が狂いそうになるよな。
食料自給率も相当低かったし。
ちなみに食料自給率が低かったのは反乱防止も兼ねていたとか……それでソーラシステムなんて与えたら意味ないだろ。
そして兵士達が歓喜している理由は別にもあるようだ。
それはグワジン級が迎えに来た、ということ。
グワジン級はほぼザビ家専用艦に等しく、ザビ家が直々に迎えに来たという勘違いと乗れるのは超エリートに限られていてジオン兵憧れの艦であることから来ている。
ザビ家が来てないことを知るとかなり落胆してたけどな……随分忠誠心が高い奴らだ。
それにしても……
「ザンジバル級が俺達の所有物ってことを知った時の顔は見ものだったな」
「ええ。まさかジオンですら数が少ないザンジバル級が軍需企業とはいえ、民間企業が保有してることなんて普通はありえませんから」
セラーナ基地がクローン兵生産を始めればもしかしたらジオンの軍事力を上回るかもしれない……国家の戦力を上回る軍需企業、明らかに不穏分子だな。すごく今更だが。
「ザンジバル級も便利だけどグワジン級も便利そうだよなぁ。主に威圧的な意味で」
「確かに戦艦を名乗っているだけあって威圧にはいいですよね。それに死神の陽炎やクローン兵を運用する上であの大容量は捨てがたいです」
うーん、フィッシュボーンだけでなく、母艦の開発もすべきか?
また開発費用がかかる……しばらく戦争はなさそうだし先送りするか。地上ならアプサラス+ミデアで、宇宙ならグワジン級を借りれば問題ない……そもそもグワジン級は地上では使えないし。
「そういえばザンジバル級の新型艦開発をお願いしてたはずですけどいつまでも上がってきませんね?」
そういえばそうだった。結構時間が経ったんだが?
開発責任者がギニアスだから嫌な予感がする……アプサラスVに集中し過ぎて忘れてないだろうな。
アプサラスV(空母仕様)は完成しても少数のモビルスーツしか搭載できないから母艦も必要なのはわかってるはずだが……。
「ギニアスだしなぁ」
「ギニアスさんですからねぇ」
俺も忘れてたぐらいだからあまり人の事言えないけど。
とは言え、グワジン級のような威圧的な母艦は期待できない。
俺的にはグワジン級とマゼラン級、サラミス級で固めた艦隊を運用してみたいんだけどなぁ。
これぞ艦隊!って感じがいい。そういう意味ではムサイはちょっと艦隊って感じじゃなくて、どちらかと言うと高速艇っぽいフォルムだから様式美に欠ける。
「さて、現実逃避は終わりとして……この子、どうしよう」
「ブルーニーさん!ブルーニーさん!ブルーニーさん!ブルーニーさんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ブルーニーさんブルーニーさんブルーニーさんぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いですぅ…くんくん
んはぁっ!ブルーニーさんの装甲をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!装甲モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
体育座りしてたブルーニーさんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!……ぷふっ
ブルーニーさん200話超えてよかったですね!あぁあああああ!かわいい!ブルーニーさん!かわいい!あっああぁああ!
ゲームの特典に…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…よく考えたら…
ブ ル ー ニ ー さ ん がいなくなる?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ニューギニアァアアアア!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?生のブルーニーさんが私を冷めて視線で見てる?
ブルーニーさんが私を冷たい視線で見てる!ブルーニーさんが私を見てるにゃ!妄想のブルーニーさんが私を見てるにゃぁ!!
妄想のブルーニーさんが話しかけてくれる!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!私にはブルーニーさんがいる!!やったよマリオンズ!!ひとりでできるもん!!!
あ、アプサラスアーマーのブルーニーさああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ本体さぁぁあん!!ギ、ギニアスさん!!アイナさぁああああああん!!!アムロさぁぁあああん!!……いらない!!
ううっうぅうう!!私の想いよブルーニーさんへ届け!!目の前のブルーニーさんへ届け!」
これも様式美ってやつだろうか?離れるのが寂しく思ってくれるのは嬉しいんだけどさ……今、俺の体育座りで笑ってたよな?!
「それに最後の方、ギニアスさんやアイナさん、アムロさんはともかく私までいらないとか叫んでましたよ。私自身なのに」
まぁ、いつも一緒にいるから嫉妬してるんだろ。そこは嫉妬乙とスルーしてやれよ。
それにしても装甲でモフモフって……どうやってモフモフする気だよ。
「こう、折って?」
「力技かよ?!しかも全然モフモフじゃねぇし!」
装甲折るなよ。それができるマリオンちゃんズだから余計に怖いよ。
「まぁ、何にしてもしばらくのお別れだから今は許してあげよう」
『その気になればいつでも言えるんですけどね』
「四六時中とかやめろよ!絶対やめろよ!ネタ振りじゃないぞ!」
「『ふふふ、どうしましょう』」
リアルと念話で言われて怖さの倍率ドンッ。
急ぐ理由もなかったから艦隊と同じ速度で帰っている途中なのだが、マリオンズから緊急連絡が入った。
「それがまさか人種差別で暴動とか」
「予想外でしたね」
全くだ。
世界や歴史が違えど差別はなくならないってことか……あ、そういや将官クラスの黒人ってコーウェン以外誰もいなかったような……下ならケンタッキーとかモーラ(0083に出てる女性整備士、キースの嫁)がいる。
ん?全体的に黒人ディスられてないか?原作も人種問題に配慮したんだろうか?
「とは言え、高官の約80%が白人ですからね。15%が黄色人種、黒人は5%と冷遇されてますから反発は必然です」
そして、それを煽ったのは……ティターンズとジオン、かな?
ティターンズは己の勢力拡大と功績を、ジオンは連邦の邪魔をするのは当然だ。
何より問題なのが連邦が暴動と発表していることだ。
「どう考えてもモビルスーツが出てくる段階で暴動じゃないだろう」
現代でも暴動で戦車が出てくる国はない。
既にクーデターのような様相である。
「俺達的問題は暴動に使われてるのが旧αタイプだってことだな」
「また私達のイメージが下がっちゃいますね」
「ティターンズも動いてるけど、連邦の力が強いアメリカ大陸はなんとかなってるけどアフリカ大陸はまさにカオスって……あそこは貧困層ばかりだろ?」
「どうもジオンは独立戦争時から今回の布石をしていたようで、徴兵していた現地人以外にもモビルスーツの使い方や整備の仕方などを入念に教えていたようで、アフリカの暴動は正規軍のゲリラ戦に匹敵するそうです」
「ティターンズが苦戦している理由はそれか」
ジオン頑張りすぎだろ。
もしかしてモビルスーツもジオンが提供しているのか?
「それは調査中です」
それにしても今回の暴動……俺達がいない間に起こったのは偶然なのか必然なのか。
もし狙ったものなら何処から情報が漏れたのかが問題になる。
「キシリア部から情報か?」
「マリオンズが調べましたがそう言った人はいないようです。しかし、本人が無自覚で漏らしていた場合もあるので難しいところですね」
仕方ない、マハラジャのダイクン派諜報部に期待するか。
「それで死神の陽炎に参戦依頼は?」
「来てませんね。さすがに暴動程度は自分達で消さなくては色々と終わると考えているようです」
まぁ、治安維持を外部組織に任せる国なんて間違いなく終わってるよな。