第二百十六話
結果から言えばモビルスーツの操縦なんて超楽勝じゃん!……バズーカ3発ほど喰らったけど、小さいことだよな!
「いえ、大きいことですから。ブルーニーさんが乗ってた機体がザクとかだったら大破ですからね?」
「どれだけ心配したと思ってるんですか」
「こうなったら軟禁も辞さない所存」
「頑張って私達が養いますよ」
という訳で小休憩中ですがマリオンちゃんズに囲まれて懇々と説教中です。
そしてめっちゃ過保護で俺にヒモ男になれと申すか?!
「それもいいと思います」
「やればできる子がヒモでも問題ないですよ」
ヒモを推奨するんじゃない。
そして俺にも戦わせろ!と正座しながら訴えている。
こんな姿は誰にも見せたくないな。
ちなみにSD状態でどうやって正座しているのかは秘密だ。
「わかってます?ブルーニーさんの操縦技術は死神の衣の中で中の下程度ですよ?」
「弱くはないですけど強くもないですよ」
「私達全員でなら素手でも倒せますよ」
操縦が下手なのは事実だからいい。しかしマリオンちゃんズの素手で倒せるは俺に限ったことじゃねぇよ!
しかも全員とか過剰戦力だ。4人いたら十分だっての。四方から襲われて防げる気がしない。
なんだかんだあったが現在、再びサイコタイプに乗り込んでいる。
まぁバズーカの直撃を受けたのがビームの集中砲火を受けた時で、余裕がなかったのもあるが目眩ましに丁度いいと思ってわざと受けたことに理解を得れたのが勝因だ。
「……なんか俺、集中攻撃されてね?」
ビームと実弾が飛んでくる量がすごいんですけど。
マリオンちゃんズのフォローがなかったら軽く死んでたかも。
『1番動きが鈍い上に、私達が守ってることで偉い人が乗ってるとわかってるのでしょう』
『つまり私達の弱点』
『これが惚れた弱みというやつですね』
なんということでしょう〜、モビルスーツに乗った途端に狩る側から狩られる側にビフォーアフター。
もしかしなくても思いっきり足引っ張ってる?
『いえ、ブルーニーさんに火砲が集中してますから他が効率よく倒せてますよ』
『それに防ぐのも楽です』
『さっきはあんな風に言いましたけど、せっかくの戦闘デートですから……』
買い物デートとか焼肉デートとかは聞いたことあるけど、戦闘デートって……どんだけ物騒なデートなんだ。
まぁ実際俺達がしてるんだけどな。
そうそう、最近になってR・ジャジャが出てき始めたんだ。
R・ジャジャはこの世界ではアナハイム系列のモビルスーツなのに核融合炉は連邦が開発した新型のようだから連邦かジオンかエゥーゴからアナハイムに漏れたんだろうな……ほぼ全勢力が新型核融合炉を手にしたことになる。
報告ではシャアはR・ジャジャに、ララァはシュツルムディアスに乗り換えたらしい。
これによりシロッコ単機では劣勢となり、抑えきれずにジェリド、ライラ、マウアーが援軍として配備されたと聞いた。
……なに、このハーレムパーティ。
原作でジェリドに惹かれてたキャラが集まってんじゃん。
それにライラって宇宙育ち……だったっけ?……何にしても連邦宇宙軍だろ。なんで地球にいるんだよ?
マウアーはまだわかる。シロッコが出てきたんだから不思議はない。
それに実はオーガスタ研究所にサイコミュの取引の際にチラッと盗み見たデータの中にマウアーの名前があったからな。
実戦配備されただけの話だ。
……ジェリドなんて痴情のもつれで爆発してしまえ!
「まぁ嫉妬は置いておくとして……R・ジャジャはいい機体だな」
特に地上での機動力は恐らくトップ、ムーバブルフレームを使用してないにもかかわらず大したもんだ。
サイコタイプはサイコミュ、ミノフスキークラフトなどのせいで機体が重いため機動性や加速性では負ける。攻撃力と運動性はサイコミュのおかげで勝っているけどな。
どうやらアナハイムはR・ジャジャを次世代機として定めたらしく、日に日にその数を増やしている。
もう少し早く投入してやれよ、と思わなくもないが敵の事情なので知ったことではない。
「とは言っても近接戦闘が得意な機体に接近するわけもないんだがな」
基本的に可動砲の弾幕で近寄らせない。
命中率が悪い俺は牽制と囮で、マリオンちゃんズが殲滅していく。
ただし、俺達は有利に戦えているからと言ってティターンズもそうかと言えばそんなわけもなく、αタイプと互角に戦っていたが、まだ警備などに使っているジムクゥエルやドノーマルのTR-1では荷が重い。
ティターンズが制圧した基地などが襲撃されるとそれなりの被害が出てきている。
そのおかげでαタイプ1000機ほど、βタイプ30機ほどの注文をいただいた。毎度どーも!
……しかし思った以上にβタイプが戦果を上げていることがわかった。
SFSは可変モビルスーツに不利が付くのはロシア解放作戦時に判明していたが、対抗馬であるフジに対しても1:3とかなり好成績をたたき出している。
問題は生産コスト、メンテコスト的には圧倒的不利ということだな。
「ぐお?!」
ミサイル直撃か?!
『余計なこと考えてるから当たるんですよー』
「わざとミサイルを見過ごしたな?!」
R・ジャジャのミサイルが直撃したんだが正面装甲なら大したダメージにならないからって危ないだろ!
『危ないのは戦闘デート中に別のことを考えてたブルーニーさんだと思う人〜』
『『『『『はーい』』』』』
『多数決で圧倒的多数で私達の勝訴です』
くっ、己、功利主義者達め。
まぁ冗談はともかく、考え事は後にしてとっとと片付けるか。
「味も気になるしな」
サクッと倒して喰ってみた。
こ、これは……ジャージャー麺だ。
てっきり、ギャンがスイートコーンだったからコーン系かと思ったらまさか名前からとはな。
美味いからいいけど。
「美味しいですね」
「後2機はいけるな」
それにしても毎回毎回思うが、金属喰って食感がちゃんと料理のものになるってどういう感覚してんだろうな。
我ながら意味不明な生命体だ。ムシャムシャ。
「新しい機体だったけど特に進化なしか」
「特に変わった武装などはありませんでしたし……銃剣はさすがに生えませんでしたね」
生えてきたらそれはそれで取り回しが悪くて困りそうだけどな。
そういえばR・ジャジャで戦況がわからなくなってきたと思ってたんだが、どうやらアナハイムは強化人間をサイボーグ化した兵士を試験導入しているようだ。
たまたまエマ、カクリコンが被害を出しながらも捕らえることに成功して発覚、はにゃーん様が苦戦したという敵もこいつだろうと思われる。
機械的に動体視力を向上させ、ニュータイプ能力で更に底上げすることでちょっとした未来予測能力が身につく……が、回避するには問題ないが攻撃にはタイムラグが生じて凡兵に落ちてしまうという残念な存在らしい。
しかし、クローン兵への対抗馬としては十分な能力かもしれない……やはり俺達にとってはアナハイムがラスボスになるんだろうか。
とりあえず今回の暴動を鎮圧したらニューギニア特別地区を攻撃仕掛けてきた賠償を払ってもらおう。
でも表立って追及できないんだよな。今の段階で連邦から穏便に済ますように釘を差されたし。
今、アナハイムが倒産するようなことがあったら世界不況で大事になる。特に恐らく世界で1番安定している場所である月が大荒れになることを面白くないと思う人間は多くいるだろう……大きい企業というのはそれだけで有利だよな。全く。