第二百三十三話
「なんだか久しぶりな気がする」
「私達はここには来たことありませんよ?」
そうなんだけど……なんでだろうな?
そんな錯覚は横に置いておくとして、俺達は今韓国にいる。
まだティターンズとエゥーゴの決着はついてないけど俺達は暇だからやることを殺りに来た。
「さて、今回の落とし前はどう付けてくれるのか、お伺いしよう」
「私達は関係ないニダ。エゥーゴの独断ニダ。私達も裏切られたニダ」
まぁ、こういう対応は韓国だけでなく、他の国でも行われるものだから別にいいんだけどさ。
エゥーゴのミデアやモビルスーツが一部韓国産だったとか、食料の多くが韓国産だったとかもいい。
たださぁ……
「さすがに韓国の正規兵が加わってるんだからそんな言い訳は許さないぞ」
ほとんどがアナハイムで、2割ぐらいはエゥーゴだったけど1割ほど韓国兵がいたんだよな。
最初は義勇兵でエゥーゴ参加者かと思ってたんだけど捕虜達が俺達は韓国の正規兵だから解放しないと国際問題になるぞ!とかなんとか叫んでたから調べてみたんだけど……まさか事実とはね。
そういうわけでエゥーゴ(という名のアナハイム)のみの責任とはできなくなった。
エゥーゴの責任とすることができたなら今行っている決戦が決着つき次第残党狩りでもして終わりにしようと思ってたんだけどな。
そもそも俺達も傭兵なんてしてるから他国の傭兵だと思えば責任なんて追求しない。
だから傭兵とでも言っていれば事実確認をしたところで目を瞑っていただろうに……普通、この場合は正規兵だったとしても母国のために黙っていることが正解なんだけど、忠誠心が低かったようだ。
「そんなのデタラメニダ。そんな戯れ言に騙されてはダメニダ」
そう簡単には認めないわな。
という訳で前もって調査してまとめてあるデータを叩きつけた。
丁寧に3等親分のデータを調べてきてやったんだから感謝しろ。『消された』部分も復元してな。
「さて、これで韓国政府はどう対応して頂けるのでしょうか?」
「ま、まずはそちらの要望を聞くニダ」
その判断は正しい、これで舐めた対応するようなら報復としてアプサラスの雨が降るところだったぞ。
もちろん、ティターンズが勝利後に正式に韓国への抗議という形で、だけどな。
「金で済ませるならこちら、それ以外だとこちらだ」
一応2通りのプランを用意した。
賠償金で済ませる場合はコロニー2基分、まぁだいたい韓国の1年の国家予算ぐらい、前の世界みたいに先進国とは言えず、中位ぐらいだからな。
ちなみに分割や国債は認めない。分割は払われる気がしないし、韓国の国債とか欲しくない。
それ以外というのは一部関税の撤廃だな。
これだけ聞くと後者を選ぶだろ。でも、これには落とし穴がある。
関税を撤廃させるのは米や麦、野菜など農業コロニーで生産されている種類だ。
それを現代日本の小麦のように政府にこちらの指定の値段で無制限に買わせる予定だ。
これで何が起こるのか、盛大な値崩れを誘発する。つまりデフレを引き起こさせる。
旧北朝鮮の多くが穀倉地帯となっているのは知っている。
しかしコロニー産の食料から比べると高く、もし不買運動なんてしても政府が買っちゃってるから無駄になっても問題ない、他国に売ろうとしても関税掛かって高くなって売れない。
もしデフレまで起こさない程度に抑えたとしても、延々と俺達に金が入ってくる……一応取引してるっぽいが必要でもない物を売りつけられるというのは取引とは言わないだろうな。
実際韓国の関税では小麦粉とか割りと高めに設定されてるし。
つまりどちらを選んでも苦痛しかない。
「さすがにこれは無理ニダ。どちらも国が破綻するニダ」
「まぁ命が惜しくなかったらいいよ。1週間後が楽しみだなぁ」
責任者ってのは責任を取るためにいるんだぞ?
死人が出てるんだからもちろん命で償ってくれてもいいぞ?何よりけじめって大事だよな。
「で、ではこちらを選ぶニダ」
選んだのは後者か、まぁどちらにしろ金が取られるなら対価がある方がまだ救いがある……か?
もっとも、永久的に金を搾り取られるんだけどいいのかね?
「そうは言ってもこのような金額を一括で払えるわけないニダ」
「ポケットマネーから出したらどうだ?お前なら出せるだろ」
「なんでこんなことで自腹を切らなくちゃいけないニダ?」
うん、まぁ、その金が全部税金を横領した結果じゃなければ俺も言わないよ。
……何にしてもこれでゴミ捨て場……ゲフンゲフン、錬金釜ができたな。
「んじゃ、10000トン買ってもらおうか。あ、値段はこれぐらいね」
「……はあ?!」
いやー、ジオンから集めてきたかいがあったな。
値段がこっちで決めれるからこれで大体コロニー1基の半分ぐらいは回収できたかな。
儲けた儲けた。
さて、ティターンズの戦況はどうかな〜。
「ジャミトフ総帥勝利おめでとうございます」
「ふん、勝ったは勝ったが、完全勝利とは程遠いがな」
ニューギニア特別地区に帰って来たとほぼ同時にティターンズの勝利という報が届いた。
どうやら決め手になったのは俺達が売った養殖ニュータイプ達による攻撃で、防衛隊を突破して旗艦アーガマとラーディッシュを撃破に成功すると、エゥーゴ兵は戦意喪失して降伏するか逃げ出し、アナハイム傭兵も撤退、唯一抵抗らしい抵抗をしたのは暴徒達だが統率が執れず、あっと言う間に撃破されていった。
完全勝利ではない理由、それはアーガマ、ラーディッシュの撃沈にこそ成功したがブレックス、ヘンケン、シャア、ララァの捕縛、戦死の確認ができなかったからだ。
「ロベルトというベテランパイロットを捕縛してクワトロとリリィは生存が確認されておるが、ブレックスとヘンケンに関しては不明じゃな」
ブレックスはともかく、ヘンケンは責任あるタイプの人間だったと思うんだけど……原作知識なんてそれほどあてにならないか。憑依じゃないのにシャアもシロッコもあんな残念さだし。
そのあてにならない原作知識を元にこれからのことを考えるとすると……ネオ・ジオンフラグか?
「なんにしてもこれでティターンズの天下だな」
「まだまだこれからやらねばならぬことは多いがな。エゥーゴとの決着はついたとして、人種差別問題はまだ解決したとは言い切れんし、アナハイムもどうにかせねばならん」
ティターンズが勝利したことでアナハイムはエゥーゴに出資した分だけ損をした上に立場が悪くなった。
そして俺達もこっそりアフリカの利権である鉱山や工場を爆破してやったから多少はダメージがあるだろう。子供の悪戯程度かもしれないが。
マフティーはティターンズに出資していたにも関わらず、裏ではアンチアナハイムのくせにアナハイムと組んでエゥーゴに出資していたことで若干立場が悪くなっている。
つまり俺達、ブルーパプワ1人勝ちである。
「そういえば、これからのティターンズは何を目指すんだ?」
「これからは戦後復興と宇宙再進出かの」
「宇宙再進出って……ジオンと争いにならないか?」
連邦の宇宙利権はルナツーとサイド7と猫の額程度しかない。
しかもアナハイムが勝手にコロニーを作ったり、ひょっとするとジオンもコロニーを独断で作ったりしている可能性がある。
「随分人間は減ったが、それでもやはり地球には人間が多過ぎるのだ」
……コロニー落としとかしないよな?