第24話
「私達が言えることではありませんけど…無双してますね」
「本当にな」
アプサラスIIIを撃破して動揺しているジオンを容赦なくアムロが刈り取っていく。
それを援護するガンダムとジムキャノンIIが2機、おそらくハヤトやカイ…後誰が乗ってるんだろ?セイラか?
次々ザク改やドムが落とされていく、アムロが操るNT-1はゲルググはシールドがある分戦闘時間が若干長くなるがそれでもちょっとした足止めにしかなっていない。
ここだけを見るとジオンを援護したくなるがアプサラスIIIが連邦に与えたダメージは多分それ以上だ。
国力差を計算すると五分五分な気もする。
ジオン水泳部の後ろを慎重を尾行していると…最後尾のズゴックが流れ弾に当って流されてくるじゃありませんか。
「おおお?!これこそ天の恵み!!読めば武器に+1されるぞ!」
「そんな不思議っぽいダンジョンに落ちてそうな謎の巻物はないですよ。それよりも重要なのは…カニですよね。どう見てもカニにしか見えませんからカニですよね」
「当たり前だのザククラッカー」
「物騒な肯定ですね」
いざ、実食!…これはタラバガニか?!ってことは厳密にはヤドカリ?まぁ細けーこたぁ気にしない。
「うめぇー」
「はい、本当に美味しいです。缶詰とは全然違います」
宇宙なのに缶詰って大丈夫なのか?
むしろ宇宙を使った真空パックでも…あ、空気がロストしちゃうか。
しかし宇宙世紀と呼ばれてる世界でカニ缶ってシュールだ。
「ブルーニーさん、なんか腕が変わってません?」
「あ、本当だな。いったい何が——うぉ、○-Menのウ○ヴァリンみたいに爪が出てきた?!」
「それより猫の爪の方が可愛いです」
もしかしなくてもズゴックのアイアンネイルだよな。
これ、使い物になるのかね。
まぁ刃こぼれとかメンテナンスは心配しなくていいからあっても問題ないけどさ。
「それより手についてるメガ粒子砲が欲しかった」
「贅沢な悩みですよ。それより思ったんですけどアプサラスIIIってあのまま放置するんですか?連邦に回収されたら大変なことになりません?」
連邦は大型兵器の開発ってイマイチ乗り気じゃないから大丈夫だとは思うが今回のことで教訓を得てGP03のような機体を量産したら…うん、地獄だな。
サイコガンダムは何がしたいのか分からないけどな。あんな非効率な変形とかいらんだろ。
それは置いといて…確かにマリオンちゃんが言うとおり放置しておくと色々やばい方向に進化されると俺達でも手に負えない…既にNT-1とアムロセットが手に負えなさそうだけど…事態に陥らないとも限らない。
「アムロの目を盗んで喰うか」
「それがいいと思います。ギニアスさんとサンダースさんの最後の思いを私達の身となってもらいましょう」
そう聞いたら凄く不味そうだな。
コソコソと台所の黒くて憎いあんにゃろう以上に気配を消して忍び寄る…アムロとマリオンちゃんの共鳴が心配だったが今の所は大丈夫——
「ていうかアムロ何処行った。まだ黒い三連星が暴れてるのにいつの間にか居なくなってやがる」
「どうやら基地内に移動したようです。続いてガンダムやジムキャノンII2機も続いて基地内へ行ったようです。タイミング的にジオン水泳部の皆さんが発見されたのでしょう」
アムロがシャアの悪意を感じたか?まぁ何にしても都合がいい展開だ。
「アプサラスIIIを食べるには時間がかかりそうだな。あのサイズだと」
「そうですね。どんな味がするんでしょう」
マリオンちゃんは味が気になって仕方ないらしい。
何とか戦闘せずにアプサラスIIIの墜落地点に到着。
「ギニアス、ケンタッキーに感謝を込めて…いただきます」
「いただきまーす」
「…エクレア抹茶味?」
「まさかのデザートですよ。このところ当たりが多いですね!もうジム改食べたくなくなりますよ」
エクレア…に見えなくもない…か?
とりあえず真っ直ぐ喰って内部に隠れて地道に食べ続ける。
「ん、ステータスが増えたか」
地形適正:陸S砂S空F海A宇宙B
特殊オプション: EXAMシステム(マリオン・ウェルチ)
マグネットコーティング
憑依
ハイドロジェット
電磁波吸収塗料
アンダーグラウンド・ソナー
ミノフスキー粒子散布
ミノフスキー粒子体(マリオン・ウェルチ)
ミノフスキークラフト(低)
「ミノフスキークラフト(低)だってさ」
「ミノフスキークラフトですか、確かミノフスキー粒子濃度が高くなると発生するI・フィールドを反発させて浮揚させる技術だったはずですね」
空の適正がFに上がってるな、ぜひ実験したいところだけど今はひたすら喰うべし。
最初は美味かったけどさすがにこの量は胃もたれする…俺達の身体に胃がどこにあるのかは謎だけど。
「ゲップ、しばらく甘い物はいいかな」
「え、まだまだ食べましょうよ。中身は食べましたけど外側は食べてませんよ」
「いや、さすがに外側食べると目立つだろ」
「今更だと思いますよ?外側だけ残して置いておくとまるで戦場怪奇談です」
「それも面白そうじゃん。それにこの機会にガンタンクとかスナイパーとか食べたくない?いつもは遠距離から攻撃だけして撤退されるから食べれないじゃん」
「いいですね。それ」
マリオンちゃん釣れたクマー、幸いキャタピラ音と砲撃音を照合すればガンタンクが何処に居るか割り出せるから苦労しない。
実際今、ガンタンクを仕留めたのが良い証拠だ。
早速頂く。
「おお、これはトロトロに煮込まれた牛すじか、めっちゃうま」
「美味しいです。白いご飯が欲しくなりますね」
ここで酒と言わないところが和むわ〜俺、酒タバコパチンコ大っ嫌いなんだよ。身内にそれで500万ぐらい借金作ったバカが居たせいだけど。
それにしても俺達の難点は定食のように複数用意できないことだよな。
いつかのジム改のタルタルソースもフライマンタのアジフライとならかなり美味く食べれるがご飯も欲しい…おにぎりだったらザクJが必要だ。
それらをまとめて置いておけば美味しい組み合わせで食べれるだろうけどミデア輸送前提だからなーミデア動かすと金にしないとアイナ達が怪しむだろうし…って怪しい存在なのは今更か、未だにマリオンちゃんも俺も素顔出してないんだからな。
「後はスナイパーも狩りたいけどなかなか見つから——」
「あっちの方に居ますよ。スナイパーのビームライフルは出力が高いので分かりやすいんです」
全然分かんない俺は無能なのか、分かってしまうマリオンちゃんが凄いのか、そこが問題だ。
しかし二人揃ってプリキュ——ガンダムだから無問題。
俺達がガンダムだ!
「スナイパーって弱いなー」
「隠れてないとこんなものでしょう」
「それに狙撃でアプサラスIIIを貫通できなかったな」
「恐らくアプサラスIIIは現在のビームライフルの普及率を考えて複合装甲の間にビームコーティングを施して対策したのでしょう」
ちなみにジムスナイパーは08小隊に出てくるあいつでした。
味は砂肝の塩コショウ焼き…スナが掛かってんのかね?いや陸ジムは焼き鳥だったからそっちか?
よくよく考えたらジムスナイパーIIってさ、なんでシールド持ってんのかね。
普通はアウトレンジから攻撃して気づかれたら逃げるのがスナイパーだろ。
そういう意味ではジムスナイパーカスタムは良く出来た機体だよな森とかだったら保護色だし。
ああ、でも宇宙仕様って言うならシールドも有りかも、母艦との距離があると母艦が撃墜されたり迷子になる危険性もあるからな。
「うおっ?!びっくりした」
「随分大きな爆発ですね。地面の揺れ具合からして地下からでしょうか」
あ、もしかしてシャアがモビルスーツ工場の爆破に成功したんじゃね。
本当に今更だけど原作のジャブロー攻略作戦は降下部隊が対空砲火を受けてほとんど降下できなかったけど、こっちではアプサラスIIIの支援で無傷とは言えないがかなりの数が降りられたようだ。
アムロが結構頑張ってたがそれでもまだかなりの戦力が残っている。
どれぐらい残ってるかというと——分からん、だからマリオンちゃんに聞いてみる。
「ジオンの残存戦力わかる?もちろんわかる範囲で」
「ザク改17機、ドム10機、ドムキャノン6機、ゲルググ17機、ゲルググキャノン6機、特別仕様ゲルググ1機、黒い三連星健在が確認できてます」
「特別仕様ゲルググ?」
「はい、ランドセルから2本長いブースターが下向いて生えてるんです」
それってゲルググJじゃね?ってことはエースパイロットが乗ってんだろうけど機体から判別できないな。カラーリングで区別がつくかと思ったけどゲルググJの標準カラーが俺の知ってるカラーとは限らないしな。
だって原作の統合整備計画で生まれるゲルググがゲルググJだけど、ここはゲルググからすでに統合整備計画の枠に入ってるんだから色々違ってるんだよな。
「ん?ガウの積載量超えてないか?まだ確認できてない分と撃墜された分を考えるとちょっと多すぎやしないか?」
「どうやらアプサラスIII達が制空権を確保している間に使い捨てカプセルとコムサイで宇宙から降下してきたようです」
こんなところにもアプサラスIIIの戦果があったのか。
ただ…ジオンの奴らどうやって撤退する気だ?潜水艦に全部載せれるわけないし、ジャブローの滑走路を利用しようにも袋叩きにあってジオン軍バンザーイって展開にしかならないだろう。
飛行機は着陸したらただの鉄塊だ。
となると…自力撤退か、北へ抜けるんだろうけど前線基地をそう簡単に抜けれるとは思えないんだけど。
「ジオン地上部隊は撤退を開始。ジオン水泳部はあのガンダムタイプが無双してかなり損害を被ったようですが赤い彗星と戦い始めて多少損害が抑えられ、こちらも撤退に入ったそうです」
いやいや、いくらシャア+ズゴックEでもアムロ+NT-1には敵わないだろ。
多分だけどシャアは味方の支援込みでアムロと互角なんだと思う。
…あ、もしかしてランバ・ラルや黒い三連星と戦ってないせいで実戦経験が少ないのか?それならシャアが抑えられている理由に説明がつく。
「私達はどうしますか、このビームライフルも持ち運ぶには邪魔だと思いますよ」
ジムスナイパーが持ってた大型ロングレンジビームライフルを確保したんだ。
これでスナイパー系も怖くない!というか反撃できる。
でも持ち運ぶのに不便だからジオンに渡してもっと小型にできないか頼む予定。
しかし、今何かするには本当に邪魔なだけである。
「カニを優先すべきか、武器強化を優先すべきか」
「カニだと思います!」
マリオンちゃんの意見に否はない。
「じゃあビームライフルを隠して、地下へ行くか…あのアムロと戦うことになるだろうけど」
「あ……」