第二百四十九話
<ティターンズ・死神対策委員会>
「では会議を始める。今日の議題も死神様達をどう対処するかである」
「降伏」
「白旗をあげる」
「土下座」
「土下寝」
「猛虎落地勢」
「よし、以上、解散……と、いつもならこれで終了だが、ジャマイカン様からいい加減仕事しないと解散させると不当な圧力があった」
「なんだと、こんなにも必死に考えているのに?!」
「やっぱり逃げると戦うを選択肢に入れなかったからじゃね?」
「いや、普通に考えてラスボスから逃げられるわけがない。むしろ下手に逃げると死ぬだけ」
「戦うで解決するならそもそも対策委員会なんて発足されない件について」
「ガチスレしろって言われてもなー、そもそもビームでビームを相殺する奴相手にどうしろってんだ」
「人類最大の兵器である核も爆発する前に無力化されては意味がない」
「核なんて連邦の頃にいたスナイパー部隊ですら無力化できたんだ。死神様をどうにかできるわけがない」
「あー……あいつらな。唯一連邦で死神様と戦って生き残った奴らだろ。なんであいつら勲章もらえなかったんかね?誰か知らん?」
「確か、スナイパー部隊の誰かが随分偉い人の女を寝取ったからってのが定説だが」
「あ、それ正解。とある将軍の女を寝取ったんだと」
「すげぇ私怨だな。そのせいで1番有効な死神様対策が死神様に引き抜かれたじゃないか……ワラエナイ」
「その将軍殺してしまえ」
「心配せんでも死んでるぞ。去年の終わり頃に病気で」
「もっと早く死ねよ」
「そういや、この前言ってた水中なら四方から攻撃すれば勝機があるかも、って話はどうなった?」
「過去に何度か死神様が水中で戦ってたから分析は簡単だった……が」
「が?」
「正直今の死神様や分家様達とは別人過ぎてデータが当てにならん」
「「「「あー」」」」
「それに……そもそも死神様達が水中で戦ってくれるかは別問題だろ」
「……」
「……」
「……」
「更に言うと、死神の衣を率いてこられると即終了」
「一騎当千盛り沢山、おかわり自由とか誰も頼んでないぞ」
「全くだ。死神様達だけで手一杯って言ってんのに死神の衣とか巫山戯んな」
「おまけにスナイパー部隊だろ?無理無理無理無理」
「この状態でちゃんと検討しろなんてよく言えるよな。むしろ相手が国を持ってんだから外交で抑えれれば戦う必要ない。孫子は言った、戦わぬことこそ最上、と」
「だよなー。戦争なんて起こったらその時点で負け確だろ」
「……ま、思考停止してると言われれば確かにそうなんだけども」
「思考停止ではない!万策尽きただけだ!」
「同感だが……なお悪いわ!ここが解散されたら俺達サイド7に飛ばされんだぞ!」
…………
「マ、マジ?」
「ああ、マジだ」
「ちょっと冗談きついっしゅよ」
「(噛んだな)残念、これが現実だ」
「嫌じゃーーーーーー!24時間ボールで生活なんて絶対嫌じゃーーーーー」
「……ちょっと遺言用意しないと」
「まだだ。まだ諦めるには早いぞ!俺達で死神様達を倒…す……方………法……を?」
「これは無理ゲーキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「サイド7……連邦でもっとも地獄に近い場所か、噂では名前で呼び合うことが禁止されててナンバーで呼ばれるとか」
「どこの囚人だよ」
「コロニーの酸素は最低限に抑えられてて大体は高山病になるらしいぞ」
「……いっそサイド7でテロって」
「これは辞め時かもしれん」
「お、落ち着け!逆に考えるんだ!もし解散したら国外逃亡すればいいんだ。そう、ニューギニア特別地区へ!」
……………………………………………
「「「「その手があったか?!」」」」
<ジオン・死神対策委員会>
「あー、だるい。とっとと帰るべや」
「来て早々でその台詞はどうなんだ」
「んだども話すことなんてねーべ。死神様達と戦うことなんてねぇんだから無駄だべ、無駄」
「万が一ということもあるだろ」
「それに最近はティターンズ寄りの方針ばかりしているからな。ティターンズとの戦争になった時に死神様達が敵に回る可能性は多いにある」
「そうなったら降伏するか死ぬかの二択しかないっぺ」
「また身も蓋も無いことを……」
「事実だから仕方ないがな」
「俺達が対策を考えるよりも国力を増やしてキャンセル依頼を出せるように予算を用意する方が建設的ってもんだ」
「ただ、地球領を実質支配していることを問題視する奴らがいるのも事実だ」
「なんだかんだ言って地球に憧れるのは人間として仕方ないのかねー?」
「そういうのは冗談でも口にするなって。スペース信者とかに聞かれたら面倒になるだろ」
「あの宇宙こそ人類が生きる世界であるとかなんとかって奴らか」
「普通に考えて酸素が自給出来ない段階で人類が生きる世界じゃないっての」
「だからそういう発言は慎めと言ってるだろ」
「話は戻すけど、死神様対策誰か思いついた?」
「宇宙からニューギニア特別地区を攻撃し続けるってのはどうだ?」
「残念、サイド5に分家様がいるからそんなことするとすぐに出撃してくるぞ」
「ならコロニー落としでも——」
「それでも一緒だろ。コロニー落としは独立戦争時にやって以来連邦もかなり警戒しているから発覚して終了さ」
「それもそうか……独立戦争の時に極秘でコロニーを使った兵器が開発されてたって話だが、それは?」
「あれを地球に向けて撃つと生物の半数、悪くていなくなるらしいから巡り巡って俺達も終了のお知らせ。サイド5に攻撃するなら有りだが……正直分家様を何人か始末したところで、その後の復讐劇が怖すぎて使えない」
「……なんてデカイ粗大ゴミなんだ」
「まぁ連邦、今はティターンズだったか……の抑止には使えるだろ」
「そんなもんぶっ放すと相手もソーラ・システム投入してくんじゃね?」
「連射性はソーラ・システム、環境を選ばないコロニーレーザー……そもそも射程に入れるまでも大変そうだけどな」
「隠密性もソーラ・システムが上だな。輸送船で運べば気づかれるのも遅れる」
「……本当にそうか?噂では死神様は未来予知ができるとか聞いたが」
「それってニュータイプのことじゃね?」
「ニュータイプって五感の鋭敏化によるものって話じゃなかったか?未来予知ってのはあくまで自分が認識できる範囲だけと聞いたが」
「概ねそれであってる。しかし死神様は悪意や敵意があればサイド5からここまで察知するのではないか、と分析班が言っていた」
「……確かにニュータイプの範疇で終わらせていいレベルじゃないな」
「やっぱ無理だべよ。遭えば死ぬか降伏、間違いなかべ」
「ティターンズと共に攻めてきた時にコロニーレーザーでまとめて焼き払うというのが1番確率が高そうだな」
「結局は戦わないことが1番ってこったな」
「戦うことになるようなら——」
「「「「戦わずに降伏して亡命一択」」」」
結局どこも同じような対策(?)に行き着くのであった。
<ニューギニア特別地区・防衛省>
「さて、会議を始める」
「と言っても大体はナンバーズが操るアプサラスを主軸に死神の衣がフォローするというスタイルは他国が崩すことができるとは思えませんが」
「それにアプサラスVIまで投入すればニューギニア特別地区の安全は守られるでしょう」
「この前のエゥーゴの奇襲以前は確証を得てなかったが、今ならば自信を持って言ます」
「しかし……わかってはいたが、死神達は強すぎないか?将来、死神達が亡くなった時が怖いな」
「ブルーパプワはニューギニア特別地区のすべてに関わっておりますからな。世代交代をうまくしてもらいたいものだ」
「内部分裂などということが無いことを願いますね。アレほどの戦力が同士討ちになればどうなるか想像もつきません」
「少なくともニューギニア特別地区はまだ10年以上はこの平穏が続くでしょう。その平穏が終わる前に力を付けねば……」
「…………これ以上付ける必要が?」
「死神達も老化には勝てんよ……多分」
「本当に?」
「……」
「さて、防衛計画だが大事になるのはナンバーズの配置とアプサラスVIの配置か」
(誤魔化したな)
結局、偏った配置をしなければどうとでもなるといういつもの結論に辿り着くことになる。