第二百五十九話
ファの恋愛相談はシーマと女子会してスッキリして帰っていったそうな。
まぁ別にどうでもいいんだけどさ……結局はノロケと愚痴を言いたかっただけなんだろう。
そんなものに付き合った俺達は丸くなったと染み染みと思う。
というかシーマが女子会とか……原作じゃ暑苦しいか薄暗い会しかイメージしかないのに……女子会とか、大事なことなので二回言いました。
人間の寿命は短いから精一杯頑張れ。まぁブルーパプワの幹部になれば人間とは違う時の流れを過ごすことになるけどな。
「そう考えるとやっぱり幹部は結婚非推奨か」
「子供とか孫が先に死ぬというのは刻かもしれませんね」
カーン家みたいにエリートの血が発揮すれば問題ないんだろうけど……シローとアイナの子供とかイマイチ期待できないのはなぜだろうか。
……ん?そういえば……
「アイナの妊娠の報告はまだ来てないよな?」
「来てませんね。まめに検査しているので取りこぼしはないはずですし、私達も感じません」
「ヒーリングしないでいるのにな」
「夫婦揃って健康体で問題はないんですけどねぇ」
種なし卵なしではないわけか、なかなか恵まれないねぇ。
2人共忙しすぎて子作りの機会が少ないからか?でも、最近はシローも仕事に慣れてきて時間はあるはずなんだが。
「アイナさんも仕事を休んでちょくちょく行ってますから単純に恵まれないだけです」
不憫な……まぁ寿命で死ぬことはないからそのうちお目にかかることもあるだろう。
ぶっちゃけどうでもいいけど。
「それにしてもCMでラビットを見ることになるとは思いませんでした」
「なんでこんなにラビットが流行ってるのか……特殊免許が必要なのに受講者が定員いっぱいで抽選になってるらしいな」
最近なんと、ブルーパプワ以外の国内企業が簡略化ラビットの開発に成功して勢いづいている。
せっかく国内企業と注目が集まっていたので特殊免許でラビットを一般乗用車化と一般重機化することとなった。
それが爆発的に売れていて国内ではブルーパプワに次ぐ企業へと進化しそうだ。
まぁ、ラビット自体の特許はブルーパプワが保有しているから利益のいくらかはこちらに入ってくるんだが。
「犯罪に使われないように要注意ですね」
乗用ラビットならマリオンちゃん1人でスクラップにできるんだけどな。
相手の開発者が「さすが死神様!」とか感激してたが……それでいいのか?というかもしかして死神教信者?
「姿勢制御なんかは自動でしているらしいから改造されなければ大丈夫なはずだ」
「犯罪組織がない特別地区だとまず大丈夫なはずです」
マレーネのお墨付きも貰った。
特別地区には個人が犯罪に走ることはあっても組織的犯罪はまずありえない。
3、4人を超えると悪意が強くなりすぎてマリオンズに感知され、狩られる。
「でも開発チームの1人が魔改造させて暴走させましたよ?」
「……」
「……」
もう少しセキリティを考えるように言っておくか。
もうマスドライバーを建設して暫く経つ。
特に宣伝などしていないので顧客は安定する……と思っていたのだが、世は好景気。
現在の数では予定がカッツカツ、増設して欲しいという要望に押されて6レーンに増設することが決定。
最近はブルーパプワ-サイド5間だけでも需要が増えているので資本回収もそれほど難しくはないだろうと言う思いもある。
1番の要因が日本にある。
経済制裁中とはいえ、オタクの聖地に行く行かないは別の話、つまりオタク達がこぞって集まっているのだ。
なにせ日本-サイド5間のツアーは経済制裁の対象となっていて直接向かうことができないのが現状なのだ。
しかし、貿易と同じく日本-ジオン地球領-特別地区と経由することによって訪れることが可能なのだ。
と言うか年間で1億人近く(重複あり)の日本人旅行客が訪れるんだからびっくりだ。
本当は中国にも安くて立派なマスドライバーがあるんだが……立派なのは見た目だけ、安くて当然のマスドライバーなので人気がないのは現代日本人ならわかるだろう。
なにせこの前、管制ミスで荷物を打ち出す速度でスペースシャトルを打ち出して乗客の半数を殺した実績がある。
日本人が敬遠するのはある意味必然だ。
輸入品は別だけどな。未だに量産性と人件費には定評がある……でも国内にはあまり入れたくない。
「ジオン地球領は喜んでましたね。ジオンというだけで敬遠されていたことが今回のことで少しは軽減されたと言ってましたから」
やはり日本は若干ジオンを恨んでいるようである。
ジオンの味方をして被害を少なくして連邦諸国から妬みで怨まれ、それでジオンを恨むなよ。むしろ外交で被害を減らしたと胸を張ればいいのに。
「そういえば日本で同性婚を社会的に認めるという運動が活発化しているそうです」
「こっちにまで余波が来なければいいが……」
同性同士の恋愛は迫害したりするわけじゃないが、社会的に認めるつもりは俺にはない。
やっぱり不自然なことだからな。それを社会的に認めると少子化や不健全化してしまう可能性が高い。
何より……オタクのエロ文化で精神に異常を起こす(マスゴミでは遠回しに言っているが結局こう言いたい)とか言ってるが、同性婚は現実の話なんだからもっと叩かれても不思議ではないと思うんだが……あ、その手のニュース見てなかっただけか。
「それで本題ですけどフラウさんが反対派として動いているそうですよ」
「あれだけBLを愛してるのにリアルだと嫌なのか」
「アレですよ。結局処女を拗らせた腐女子だからですよ」
おう、マリオンちゃんも言うようになったな。
「でもマリオンちゃんも処——」
なぜかここ1ヶ月の記憶が無い。
いったいなにがあった?
リゾートコロニーが完成してるじゃん。
しばらく独占して遊ぶつもりだったのに……ってそうじゃなくて……常に記録しているはずのデータも飛んでる。
どういうことだ。
そしてマリオンちゃんズがいい笑顔でこちらを見ている。
うん、怖い。
泣く子も自殺をするぐらい怖い。
俺何をした?
「何もしてませんよ」
「ええ、本当に」
「うんうん」
「ちょっとこの手が輝いただけですよ」
おお、シャイニングフィンガー?!
しかも文様が浮かんでるだと?!
「実はグローブに文様が浮かんで発光するように細工をしているだけなんですけどね」
「俺も欲しい」
「残念ながら人間の微弱な静電気を感知してコントロールしてるんでブルーニーさんは無理ですよ」
……なんて日だ!
後に、これがマリオンちゃんズのささやかに嫌がらせだと知る。
いったい俺は何をしたんだ?