第二十六話
「ではいただきます」
「まずはカニを——」
「NT-1の腕からだ」
「なんでですか!」
「当たり外れがある以上、不安なものから処理していく方が気が楽だろ」
「……確かに」
納得してくれた所で一口…味噌カツか?!
「食感なんて無いのにカリッとした食感がある不思議、味噌だれめっちゃウマ」
「良かったです。当たりですよ当たり、ジム改も一緒に食べれば——」
「いや、それはない」
「飽き飽きした味なんです。嫌なんです。誰か助けてください」
助けてあげたいけどこればかりは…口以外から喰えばいいだけなんだけど燃料効率が悪いから我慢してもらうしかない。
「まぁ今からは美味しいとほぼ確定のハイゴッグとズゴック…お、ゾックがあるな」
あれ?アッグやジュアッグ、アッグガイなどのジャブロー攻略作戦水泳部がいない…アッグだけ陸上部だけどな。
もしかして早くモビルスーツ開発が進んだせいで計画が破棄されたのか?ハイゴッグがあれば要らないといえば要らないだろうちょっと寂しいな。
あの珍獣チックな感じ、嫌いじゃない。
「まずはハイゴッグから…お、ズワイガニか」
「タラバもいいけどズワイもいい!」
値段的に逆じゃないか?ハイゴッグはズゴックより後の機体だしズゴックEと互換機に近い感じの機体なのに。
「ゾックは…鴨か」
「確かに嘴が鴨っぽく見える鴨?」
「マリオンちゃんうまい、座布団一枚(棒読み」
「そ、そんな反応するぐらいならスルーしてください」
「おや、なんか俺達ダイナミックに変わってない?」
「本当にスルーした…あ、本当ですね。ジェネレーター出力も推力も上昇してます。更に肩と胸のバルカンの下に穴がありますよ。なにか出るんでしょうか?」
前回もステータス開いたのに今回も開いたら字数稼ぎに見えるが…仕方ない。
固有名:ブルーニー
職業:傭兵兼闇の商人
装備: ビームライフル(ジムカスタム)×1
100mmマシンガン×1
マガジン×2
シールド(対ビームコーティング)×1
ビームサーベル×2
頭部バルカン×2
胸部バルカン×2
腹部有線ミサイル×2
隠しアイアンネイル(両腕)
メガ粒子砲(肩)×2
メガ粒子砲(胸部)×2
地形適正:陸S砂S空F海S宇宙B
特殊オプション: EXAMシステム(マリオン・ウェルチ)
マグネットコーティング
憑依
ハイドロジェット
電磁波吸収塗料
アンダーグラウンド・ソナー
ミノフスキー粒子散布
ミノフスキー粒子体(マリオン・ウェルチ)
ミノフスキークラフト(低)
半ば予想通り肩と胸部バルカンの下にある穴はメガ粒子砲らしい。
随分攻撃力が上昇したな、ちなみにビームライフルとメガ粒子砲の区別だけど固定か非固定の差と威力と収束率、速射性能の差だってギニアスが言ってた。
「胸部の方はともかく肩に穴があいて大丈夫なのか、耐久的に」
「不思議存在の私達ですから大丈夫でしょう」
アッガイ(焼き鮭)とかもあってウマウマな俺達は大変満足じゃ。
「これでロングレンジビームライフルを回収して帰るだけか、その回収も面倒だな」
「川の中に隠したので見つからず回収できるといいですね」
そうだな。ちなみに脱出はシャア達が使ってた穴を利用することにする。
なんとか無事回収して撤退完了、暇なんでミノフスキークラフトのテストをしてみたんだけど…
「まさか浮かないとは思わなかった」
「ですね。降下がゆっくりになりましたけど浮きませんでしたね」
そう、浮かないんだ。
ゆっくりゆっくり降下するんだ。
「親方!空から蒼い死神が!——的な少女の落ちる速度みたいな感じだな」
「そして連邦は将官、佐官は——40秒で(死に)支度しな!と雑兵に言うんです」
ちなみにタイトルは天空の微妙なものアッザムかな。
それにしてもさすが(低)と表示されているだけあって本当に低性能だ。
燃料消費はブースターと比べたら若干燃費がいいから少しは使い道があるかな?燃費の比率はブースターが1としたらミノフスキークラフトは0,7くらい。
地味に水中適正が上がったおかげで更に速度上昇、ただ全力移動するとうるさいから偶に潜水艦に追われるけど返り討ち…というより飛んで火に入る夏の虫よ!って感じで麻痺矢の大号令じゃないけど新しくできたメガ粒子砲を叩き込んでやった。
メガ粒子砲一斉発射=ビームライフル10発というなんとも言えない燃費だけど威力は凄い、おかげで潜水艦は爆発してほとんど喰えなくて赤字だったけどな!
「とりあえずイーさんに顔見せに来たわけだが——イーさんがお冠なようだ」
「どうしたんですか?そんなに怒って」
「お前ら、ジャブロー強襲に手助けしたというのは本当か」
「いえ、手助けというかイーさんに私達の力を誇示しておこうと思ってジャブローのお偉方の一人でも殺そうと思ったんですけど本当に偶々居合わせただけですよ」
「しかしジャブローに侵入したのじゃろ」
「ええ、ちょっと散歩してたら迷い込んじゃいまして」
「…」
イーさん、めっちゃ怒っとるで。
「それでジャブローの被害はどれぐらいなんでしょう。巨大モビルアーマーが大暴れした上に地下が爆破されたのは知ってるんですけど詳細は知らないんですよ。モビルスーツは大体50機ほど沈めたのは私達ですけど」
「…………ハァ…ジャブロー工業区は40%近く低下、巨大モビルアーマーの攻撃でこれから宇宙艦隊の建造を予定していた造船ドックが壊滅、モビルスーツ工場は半分が爆破された。正直お前らの出した被害なんぞこれらから比べれば可愛いもんじゃ」
お、今なんつった?
宇宙艦隊建造予定?確かに宇宙艦隊のほとんどはジャブローで作って打ち上げたって話があったような気がするけど、それにしたってオデッサ作戦が始まった頃には半分はできてないと時間的に無理だろ。
「あるスジの情報だとオデッサ攻略のために包囲しようという作戦があったと聞いたんですけど、そちらは?」
「……極一部の者しか知らんはずの情報をどうやって知ったのかは知らんが、そちらもしばらくは無理じゃ。そもそも何処かの誰かが大暴れしてくれたせいでモビルスーツの開発に力を入れすぎて配備が間に合っておらん…生産したものは片っ端から何処かの誰かに落とされたしの」
おおう、全部俺達のせいだったらしい。
もしかして恐るべし連邦の工業力?!とか言ってたのって宇宙艦隊を作らずモビルスーツの開発と生産に力を注いでたのか、あれ?そう考えると…もしかして連邦、ガチピンチじゃね?
「現在もっとも大きい工業区インドのマドラス工業区が24時間体制でフル稼働状態で何とか底上げしておるがジャブローの工業区の10%程度にしかならんと言えばどれほど深刻な被害がでておるか分かるだろう。しかも国境自体は安定しておるがシーレーンは不安定さが色々影響しておるせいで生産力があっても色々問題を抱えておる」
インド-インドネシア-オーストラリア-ジャブロー-ベルファストというシーレーンが成立すればもっと楽になるらしい。
んー…頑張ってインドネシアをジオンに取らせたんだから連邦について改めて落とすってのもなー俺達なにしてるんだろってなるし、インドネシアのジオンは友好的だしなー。
「マリオンちゃん、アフリカの件は上手くいったか確認して」
「ところでアフリカに子飼いを配置することは成功しましたか?」
「うむ、そちらは上手くいったよ。これから買取価格を引き上げるとしよう。報酬も既に振り込んであるから確認するといい」
こういうことは文句言わないんだよな。
「じゃ、バランス考えてアフリカを連邦領土に回復させるかな」
『またアフリカですか、デザートが私を呼んでます!』
「まぁとりあえず情報も手に入ったし、一旦工場に帰って考えるかな」
『ですね』
イーさんにジャブローの土産話としてアプサラスIIIの活躍を動画で見せてあげたら絶句してた。
特撮映画じゃないかと疑われたぐらいだ。
うん、気持ちは分かるぞ。俺も原作知らなかったらそう思う。
「……なんか工場が増えてるな」
「……ですね。4棟になってますね」
資金は原材料の輸入に必要な程度くらいしか渡してなかったはずなんだけど。
「随分頑張ったみたいですね」
「あ、マリアさんおかえりなさい。ご無事なようで良かったです」
「ええ…そういえばジャブローでアプサラスIIIの最後を看取りましたよ」
「………そうですか…活躍してましたか」
「それはもう、ジャブローのジャングルが焼け野原になりましたから」
「ふむ、それは上々。さすが我が子だ」
?!
「あれ?!ギニアスさん、なんでここに?」
「せっかく協力したのだから成果が気になるのは当然だろう?」
「いえ、私が言いたかったのはアプサラスIIIに乗ってたんじゃってことなんですけど…遺書みたいなものまで渡されましたし」
そうだ。以前アイナに当主の座を譲るとか云々の死亡フラグ立ててたじゃないか!
「私は開発者だぞ。パイロットではない」
ああー確かに…テム・レイがガンダムに乗り訳がない…原作で乗ってたからってこっちでも乗るって訳じゃな——
「もっとも本当は私自身が乗る予定だったんだが」
やっぱり乗る気だったんかい!
「いざ出撃!というところでテリーにガツンッと気絶させられてね。目が覚めたらアプサラスが沈んでた時には愕然としたがね」
まさかのテリーさんセーブ……でテリーって誰よ。まさかミレーユを姉に持つ最強の剣を求めて旅してる人じゃないだろうし…ドランゴ引換券的な。
「そうですか、サンダースさんに感謝ですね」
ああ!誰かと思えばケンタッキーか、つまりギニアス生存フラグはケンタッキーさんだった訳か。
結局俺達のせいだったわけだけどそこは気にしない。
「もしかしてここが大きくなったのも…」
「いや、それは私ではなく君達が懇意にしている基地司令が手配したと聞いたが」
あの司令か、何かあったのかな。
「それにしても…君達、面白そうな物を持っているね」
「これですか?ジムスナイパーのロングレンジビームライフルです。ジャブローを散歩してる時に拾ったんですけど、結構使い勝手が悪そうなんですけど改良してもっと使い勝手が良くならないかと思って持って帰ってきたんですけど」
「ふむ、求める性能はどういったものかね?」
もしやギニアスさんが改造してくれるのかな。
「アプサラスIIIの完成で当面暇でな。久しぶりにアイナの顔をゆっくり見たくなって来たが——」
「それより興味があると…アイナさんが拗ねますよ」
「ハッハッハ、アイナはそんなに子供じゃ……あれ?」
めっちゃ拗ねてますけどいいんですかー?