第二百六十五話
「侵掠すること火の如く!」
「なんの!ツバメ返し!」
「縮地法からのサムライドライブ!」
「ブーメランスネイク!」
「甘い!ソニックブリット!」
……まぁ、察しのいい人ならわかると思うが……マリオンちゃんズ達はテニスをしている。
いや、間違えた。テニヌをしている。
もうね、規格外過ぎて縮地法とかしなくても本当に動きが速いし、ソニックブリットとかマジで音速だしでテニヌの世界を上回るテニヌスと呼べる域だ……いや、テニヌスってなんだよ。
ちなみにマリオンちゃんズが振ったり、球を打ち返す度にフレームかガットが粉砕(破けるとか壊れるとかちゃちいもんじゃない)するので脇に新しいラケットを渡すためのマリオンズが控えている。
「……これは本当にテニスか?」
テニヌもいい加減テニスじゃなかったけど、これって一般人からすると戦場だよな。
コンクリでできてる壁がマリオンちゃんズの弾丸……失礼、球が着弾する度にクレーターが出来上がっている。
もちろん地面もボロボロ……になるはずだったんだが、地面は土でやっているため修復は簡単でマリオンズが試合の合間合間で直してしまう。
いやー、テニスってこんな危険なスポーツだっけ?
『……リゾートコロニーでやらなくてよかったですな』
……だな。
これがリゾートコロニーだったらひょっとしなくても地面を貫通して大事になるのは間違いない。
『地球でならいくらやっても問題はない……はずです。まさか地震まで引き起こさないでしょう……多分』
「いや、ひょっとすると……」
『もし近いうちに地震が起こったら中止ですからマリオン様達に言っておいてください』
「え、俺が言うの?」
『……』
返事がないただの屍のようにしてやろうか。
「マリオンゾーン」
「波動球!」
あ、マリオンちゃんがラケット受け取り損ねた……瞬間爆発音……うん、コンクリの壁が崩壊したね。
これは観客とか入れられないわ。
ちなみに俺と話していたマハラジャは被害にあわないようにコート外にいて、会話は無線でしていた。
『ゴフッ』
なんか無線から不穏な声?呻き?が聞こえてきたぞ?!
「ちょっ?!まさか今のに当たったのか?!」
『……い、え……余波…………で』
マハラジャ、ステータスがあったら運が低そうだな。まぁあんな優秀な娘達がいるから帳消し……になるか?
とりあえず近くに居たマリオンズに話を……する前に既にいなくなってた。もう治療に向かったんだろうね。
責任を持つというのは立派なことだ。最近の偉い人はそれができないからなぁ。
……え?俺?俺は責任取るよ。武力で。
「まぁこの前やったバスケよりはマシだけどな」
だってさ……始まってから一歩も動かずボールをゴールに投げ合うんだぜ?
どこにいてもシュート、そして全てゴール……ハッキリ言って面白くないぞ。
一応黒子のバスケとか再現することもできるけど、効率が下がるから魅せプレイでしかない。
その点、テニヌは見えづらいけど見ていて派手で面白いし、技も意味ある再現がされていい感じだ。
ただし、原作で言う菊丸ステップで分身してると姿はマリオンズが増えただけにしか見えないんだよなぁ。
そういえば天津飯は分身できたな……いや、別にそれがどうしたってわけじゃないけど。
「まぁ何もかも全部置いといて……マリオンちゃん自重しようぜ」
「「はーい」」
返事はいいなぁ。
0090年10月。
ノイエジールの後継機が出来上がったらしい。
早いなぁ……あれ?よく考えるとノイエジールってキシリア派の開発したものじゃなかったっけ?
まぁ設計図が渡ってて当然だから後継機を開発できたのは不思議には思わないけど……もしかすると設計はされたのに生産されなかったのはキシリア派の設計した兵器を使いたくなかったからかもしれないな。
名前はノイエジールII、原作だとニュータイプ専用機がその名前だったがこの世界ではノイエジールNがニュータイプ専用機の名前となっているため、IIは単純に後継機ということになる。
詳細ではないが、大雑把な情報をまとめた結果分かったのは大型モビルアーマーではないようだ、ということだ。
コンセプトは高火力でコンパクト、俺流に解釈をするとノイエジールをクィン・マンサ化しようとしているということだ。
ノイエジールのサイズは76.6mもあるのに対してノイエジールIIは63mと一回り小さくなっている。
それでいて火力は無印ノイエジールからほとんど落としていないらしい。まぁ、まだ不確定情報だからあてにはならないけど。
小型化されたことによって艦載できる艦が増えたのもメリットだ。
ノイエジールはそのサイズのためドロスやグワジンを改造したり、専用補給艦こと護衛艦イージスぐらいしか搭載できなかったがカタログだけでなら改造したザンジバルの載せれるらしい。
もっともコンパクト化するために数少ない実弾装備や有線クローアームは除けられているけどな。
相手がIフィールド持ちならどうするのかというと……ビームで押し切るか味方に処理を頼む、という形になっているそうな。
アンチビームにビームで押し切れって……確かにソロモン決戦で護衛艦を艦砲で押しつぶしたという実績はあるが数が違いすぎるだろ。
味方に頼るというのもノイエジールIIの加速力からするとどう考えても矛盾している。
敵陣の奥地へ切り込むのがノイエジールの役割だが、Iフィールド持ちがいるだけで足が止まるというのはいただけない。
幸い連邦……じゃなかったティターンズにはIフィールドを持つモビルスーツはないのでしばらくは無双ゲーを堪能できるはずだ……戦争があれば、な。
「カタログ通りなら宇宙型大型版サイコタイプって感じですね。さすがにビーム出力とかIフィールド出力とか機動力とかは劣りますけど」
サイコタイプはサイコガンダムからの派生というだけあって大型なモビルスーツ程度のサイズでしかないから仕方ない。
これでノイエジールに匹敵する火力があったら、それは明らかにオーパーツだ。
「サイド5の防衛もありますし、宇宙専用機の開発をしてもいいかもしれません」
宇宙専用機か……確かに今宇宙に配備されているのは地上で使われているモビルスーツを調整した程度のものしかない。
アプサラスシリーズは大気圏突入も考慮してミノフスキークラフトとか搭載しているため、デッドウェイトが大きい。
一応ミノフスキークラフトを外すことはできるんだが、外したところで何か有効に活用できる武装は今のところないので重量軽減ぐらいにしかならない。
それに比べてノイエジールは重力下での運用を考慮していない分だけ宇宙での機動力と高火力は非常に魅力的だ。
それはもう、マリオンちゃんズが更に天上天下唯我独尊地獄道餓鬼道畜生道修羅道人間道天道外道鬼道鬼畜化するな。自分で言ってて意味不明だが。
「となるとサイコタイプの脚は撤去か?」
まさかパーフェクトがパーフェクトじゃなくなるとか、ジオングさんに怒られないだろうか。
……大丈夫か、脚は飾りらしいし。
「まぁそのあたりは開発チームに任せるか」
ただ、更に軍備を整えるとまたジャミトフとギレンから苦情が来そうだ。
今度は軍事パレードがあっても出さないぞ。
と言うかアプサラスの数を減らせって煩すぎる。まぁ、こっちは自称平和、融和主義の勢力が外交官を通して騒いでいるだけなんだけどな。
外交特権もないから本当にただ騒ぐだけだから本当に面倒。外交特権を傘に来て不正でもすれば抹殺することもできるのに……ちょっと失敗したかな?
え?命の保証も外交特権の一部?いえ、知らない子ですね。