ご存知だと思いますが新しい小説の連載を始めました。
ほんの少しこちらが不定期になりますがメインで進めるで、1週間も空くことはないと思います。
第二百七十八話
アイナの妊娠祝いにまたお祭りをしようとしたんだが、いらぬプレッシャーを与えることと、この好景気で特別地区の住民らしくないほど働いている。
むしろ戦争特需の時より忙しいほどだ。
そのため、この忙しさがもう少し落ち着く……のはいつかわからないからとりあえずは無事子供が生まれてからということに決定した。
まぁ、新聞やニュースでは大々的にアイナの妊娠が報道されたからお祭りムードではあったけどな。
雑誌の売上はアイナの結婚式を大きく塗り替えて記録更新をしたらしい。もっとも、人口が増加し続けているから売上が伸びるのも当然なんだけどな。
というか1位も2位もアイナってのはどうなんだ。
やはりゴシップネタは何処の世界でも強いのか?
「そういえば最近、シローさんが女性に言い寄られているらしいですよ。しかもたくさんの」
あれか、嫁の妊娠が浮気の原因になるという例の事象か。
重婚が認められてる特別地区だと割りとシャレならないんだが……血の雨が降らないことを祈る。主に実務的な意味で。
「今のところシローさんは難攻不落みたいですけどね。石垣に手をかけることすら難しいようですよ」
おや、以前は若干デレデレしてたと思ったんだけどそれも無くなったのか。
「どうやら親として恥ずかしくないように、という心構えのようですね。まぁ多少はデレデレするのは仕方ないと思うんですけどね。男性はそういうのに弱いのは人類が生まれた当時からでしょうし」
まぁ種まき本能は生物として当然だからな。現代じゃこの手の本能は悪だけど。
「それとギニアスさんが随分圧力を掛けているようです。早速叔父馬鹿を発揮してますね」
ギニアスの愛護対象が甥姪>アイナになったか、今までシローが他の女にデレデレしててもそれほどうるさく言わなかったのに。
それとも日頃は心配してなくても妊娠中だから注意してるのかね。
「シーマさんも色々思うところがあるらしく、最近仕事に身が入っていないみたいですよ」
お、とうとう正式に結婚するフラグか?
妊娠出産というのは周りに与える影響もバカにならないようだな。
「他にもナタリーさんやマレーネさんも意識し始めているようです」
「うーん、シーマ様と違ってナタリーとマレーネは情報漏えいなんかを考えると気をつけないといけないな」
特にナタリーは要注意だ。
マレーネはカーン一家で要職に就いているからそもそも結婚相手は厳選されるから問題は少ない。それにマレーネ本人もかなりしっかりしているので相手に溺れない限りはそう簡単には情報漏えいなどしないだろう。
しかしナタリーはギニアスよりはマシとはいえマッドサイエンティストに属する人間だ。マッドサイエンティストは己の欲に忠実だからな。恋愛なんてした日には一気に敵に鞍替えなんてことになっても不思議はない。
ナタリー本人の気質的にも微妙に信用出来ない。
ハニートラップに引っかかる可能性も無きにしも……まぁそんな存在が特別地区にいるかは疑問だけど……あ、でも国外にいる時とかは怪しいか。
「そういや金髪さんは今何してるんだ?シャアが表立って動き出したけど何か言ってきた?」
「セイラさんなら今まで通り病院を経営しながら医者をしてますよ。たまに『兄さんの軟弱者』とかぼやきつつビンタの素振りをしてますけど」
……なんかダイクン家だけガンダムさん色強くない?別にいいんだけどさ。
いや、普通に考えると精神が病んでるともとれなくもないか……医者が病んでるとか、まさに医者の不養生。
「ただ、諜報員ではないダイクン派とも連絡しているようです。特に支援とかしているわけではなくてあのバカ兄ちょっと〆る的な雰囲気なので放置しておいて大丈夫だと思います」
「そのぐらいなら別にいいか」
……まさかセイラの説教でシャアが抜けたりしないよな?
抜けられたらチャーシュー麺のチャーシュー抜きみたいになるから抜けないで欲しいんだけど……ああ、でも第二次ネオ・ジオン抗争フラグに……ならないか。
今回のアクシズが終われば多分ジオンは安定してシャアが動こうとしてもどうにもならないはずだ。
現状でも眉なしは失策らしい失策はない。それでも反乱が起きたのは独立戦争以前の負の遺産があるからだ。だが、それもアクシズという形で1度失敗すれば2度目はない可能性が高い。
地球も好景気だから戦争が起こる理由はないし……火種があるとすれば木星ぐらいか?
一応シロッコに事情を……聞くのか?あのナチュラル変態に?マリオンちゃんは置いて行かないとな。ついうっかり殺しちゃったりするとジ・Oの開発が滞る。
そう、実はシロッコはジ・Oの開発を進めている。
主導はティターンズだが、その性質上俺達も参加している。
ジ・Oのコンセプトはサイコミュを載せつつ、オールドタイプでも操縦ができる、汎用性が高い万能型モビルスーツだ。
ブルーパプワの主軸となるサイコタイプはニュータイプでないとろくに動かすこともできない上にパイロットのニュータイプレベルか射撃能力が低いと射撃武器がメインであるためにβタイプへと移行するのだが、これは重力下での話で、宇宙空間ではβタイプの必要性はなく、汎用性の高いモビルスーツが必要、つまり次世代機として有用だと判断したからだ。
もっともオールドタイプが操縦できる必要性はないから仕上がった機体を更に仕様変更することになるだろうけど。
それとファとも次世代機を開発しているんだが、こちらはβタイプの次世代機なので別の話だ。
そもそも敵を陸に揚げた段階で負けのような日本に汎用機はあまり必要が無いため、可変機に傾倒している。
島国で必要不可欠の水陸両用モビルスーツはMIP社に頼った方が効率的で開発する気は今のところない。
MIP社は何気にティターンズにも水陸両用モビルスーツを卸しているから結構大きい企業になってきていて俺達のライバルになるかもしれない。
「やっと特別地区内のダイクン派……いや、一般人もいくらか参加してるからアクシズ派とするか、が静かになってきたな、マリオンちゃんお疲れ様」
「もっと早く思いつけば良かったですね。アクシズ支援は違法じゃないことを知らせるの」
そう、アクシズ支援自体が違法行為だと勝手に民衆は思い、違法行為をするなら違法な手段で支援することが当然のような感覚に陥っていることをマレーネが気づいたのだ。
もちろんそんな人間ばかりではないが、少なくとも支援が違法ではないと知って無茶をする人間が大幅に減少した。
「これを切っ掛けに各国支援制度なんてものができたのでいいんですけど」
各国支援制度、それは自分が好きな国へニューギニア特別地区を通して支援金や物資を送ることができる制度だ。
ちなみに『各国』としているが銀行口座を登録すると震災被害者や難病患者の治療支援はもちろんのことテロリストや犯罪者まで支援対象者となる。
これには賛否両論あったが、問題になったら俺達が潰すと宣言したら鎮火した。
ちなみに偽装や詐欺があった場合も同様だ。
あ、これ、何気に国を跨ぐからかなり凄いことだ。
ちなみにアクシズを潰すための仕込みでもあることをどれだけの人が気づいているだろうか。
民衆は世論がアクシズよりなので犯罪者と考えていないようだけど……普通に犯罪者だからな?
国が認めない私兵を持っている段階で、間違いなく。しかもジオンの重要施設であるアクシズを無断で移動させているのももちろん違法だ。
つまり、非の打ち所がないほど犯罪集団なわけだ。
「ああ、早くアクシズ来ないかな」
「そうですねぇ」
この時、アクシズの人間と全世界の協力者達が寒気に襲われたそうな。
またまたぁ、話を盛り過ぎだろ。