第三十話
幸い連邦側の副司令がちょっと怪我をしてたが生きてたので連邦をまとめるのは途中で任せ(放り投げ)た。
それでも復讐に燃えてなのか名誉欲に駆られてなのか2小隊ほど喧嘩を売られたので最高値で買い取って天国へ転売した。
今回に限って言えば俺達は悪くないぞ。無能な上司を恨めよ。
ちなみにだが俺達が率いていた部隊は本部の命令を無視したらしい、攻撃なんてしたら自分達が真っ先に殺られると思ったそうだ。うん、正解。
連邦側はそれで良かったんけどジオン側の処理が大変なことになった。
残存しているジオン軍は置いてけぼりになったようで、移動手段がないらしく俺達を頼ってくるもんだから輸送しなければいけないんだけど…問題は依頼の終了して連邦のミデアを借りれなくなったことだ。
俺達が所有しているミデアだけでは到底足らない、と言うことで今回の騒動で手に入れたモビルスーツをミデア4機を始め食糧、日用雑貨などを交換して忙しなく働いている…マリオンちゃんが。
なにせ降伏してきたジオン公国兵3000人とジオン公国現地志願兵1000人を養わなければならない。
現地志願兵はもっといたんだけど帰る場所がある人達だったので早々に帰した…食費が掛かるからな。
幸いなのは今回の収入で施設が増やせ、現在残っている現地志願兵1000人は会社への雇用できたことだ。
人数が多いからコンテナハウスを大量に作らないといけないな。
それとギニアスから大型ロングレンジビームライフルの改良第一弾が完成したと連絡があった。
そう、第一弾なのだ。
俺達が頼んだわけでもないのに高性能化を図っているようで期待している。
開発費用はもちろん俺達持ちなんだけど…30億程度しか予算組できてないのによく開発してくれている。
とか思ってたら実はアプサラス計画の予算は100億程度だったらしい。
ちなみに現代の10式戦車の開発費は450億を超えているという話だからどれだけ予算が少ないか…しかもアプサラスはあのサイズだぞ?予算が少なすぎるだろ。
それから比べると特殊仕様とはいえビームライフルに30億あればなんとかなるとはギニアス談。
もっとも俺の日曜6時の黄色い着物の人並みの頭脳じゃあビームライフルの開発費用がどの程度かなんてわからないんだけどな。
それともう一つ開発を依頼しているがそちらはまだ設計段階だとか、まぁ新たな商売用だから俺達的には慌てないけど戦争が終わる前にできたらいいなぁ。
「それにしても今回は大量だなぁ」
「大量過ぎて連邦には恨まれそうですよ」
今回の停戦は俺達に降伏したということに俺達がした。
つまり前線で戦ってたモビルスーツや艦など全て俺達が鹵獲したとゴリ押し、ジャミトフさんが苦い顔をしてたけど渋々ながら認めた…案外器が大きい人だな。
その代わりと言ってはなんだが買取値を多少安くすることに…暴利商売は客をあまり追い込みすぎると自暴自棄になって自殺するか殺しに来るかの二択だから気をつけないといけない。
一番多いモビルスーツはジム改は40%、ジムクゥエル20%、ジムカスタム15%OFFだ。
他にも壊れたビックトレーやホバートラックなんかもあるが省略する。
まぁビックトレーはこっそり喰ったがな。味は駄菓子のビッグカツだった…懐かしい味で美味かったが本当にサイズがビッグ過ぎてちょっとエンジンもたれしそう。
それとビックトレーを喰った影響かどうか分からないがホバーの出力と燃費が良くなったが正直地味。
更に今回は特別に捕虜の身代金は無しで返すことにしている。さすがに人数が人数でイーさんから頭を下げらて頼まれたことだし貸し1ということに…俺達の貸しは怖いぞ〜。
「これで連邦のシーレーンは安定しそうだな」
「まだアフリカで1、2を争う工業地帯キリマンジャロが残ってますけどね」
そうだったな。
本来はキリマンジャロを攻略したかった連邦だったがジオン水泳部の強さを前に尻込み、どうも虎の子だった連邦水泳部は何処かの誰かが余裕で撃破したせいで新たな開発をしているらしい。
いったい誰がそんなことを?
それはともかく、まさか原作では貧弱だった連邦水泳部が強化合宿することになるとはね。
そういうわけでキリマンジャロには地上と海両方から圧力掛けるだけで攻略は見送りとなったわけだ。
高性能機雷を設置してキリマンジャロに閉じ込める気だとか言ってたがモビルスーツだと簡単に撤去できないか?と思ったが聞いてみるとセンサーで自動攻撃を行う機雷なんだとか、海中ではミノ粉も役に立たないらしい。
「と言うか、もう次の依頼って俺達を過労死させる気か」
「いえ、私達だと老朽化じゃないでしょうか」
「ツッコミはそこじゃない」
今度は宇宙に行って欲しいという依頼がきた。俺達って元々宇宙に行きたかったけどさ、こういうのじゃないんだよなぁ。
それに今は会社の責任があるし、何より俺達は宇宙でも動けるが適正がBという微妙な不安要素があるのも問題だ。
今までは最初から適正が高かった陸上、移動が遅くても隠れたりして何とかなった水中、最近追加された空中はそもそもジャンプ程度なら問題がなかったと適正が低くても気にならなかったが宇宙は隠れにくいだろうし、戦闘になった場合逃げることも難しいだろう。
今まで軽い気持ちで依頼を請けてきたが今回はまじめに検討している。
やはりアムロとの戦いを経験したのは大きい。
宇宙で動きを制限された状態でアムロと戦える気がしない…いや、アムロほどでないにしろエース級のパイロットと戦って勝てるかどうか…
「宇宙適正が高いモビルスーツを喰えば適正が上がるってんなら話は早いんだけど」
「でもわざわざジオンにお願いしないといけませんよ?連邦のジム改やジムカスタムなんかを食べても進化しなかったんですから汎用機では駄目なようですし」
そうなんだよなー汎用機をしこたま喰ってんだから宇宙適正が上がっていいはずなのに上がらなかった。つまり宇宙専用機…いや、一番望ましいのはモビルアーマーか?
だとするとザクレロ、ビグロ、ブラウ・ブロ、エルメス、ビグ・ザム…はどうだろ?明らかに鈍いよな…後、大穴狙いでビグ・ラングとヴァル・ヴァロかな。
そういう意味では連邦側から依頼があったのは幸いか、連邦はその性質上か知らないけどほとんどが汎用機がほとんどだと思う、なにせ70%が海の地球を支配してるのに水泳部の脆弱さはおかしいよな。
「だからと言って参戦しないってのもなー…ルナツーが攻略されると連邦が音を上げかねないし」
「未だにコロニー落としの影響が残ってますからそれをプロパガンダとすれば民意はまだ戦争を続けられそうですけど政治家や企業などがジオンに靡き始めたことが問題ですね」
企業や政治家が戦争を望まなかったら戦争は成り立たない。
民意なんてものは情報操作とスケープゴートでなんとかなるのは現代と同じだしな、実際一年戦争の発端はレビルの演説によるものである以上間違いない。
「とりあえず、早く会社に帰って…あ、その前にマダガスカルとオーストラリアによって挨拶しないといけないか…お礼参——挨拶回りって大事だよな」
「そうですねお礼参りは大事だと思います」
「あれ、俺がせっかく言い直したのに…」
ちょっとマダガスカルとオーストラリアによって脅し——改めて圧力を掛けて会社に帰ってきた。これぞ砲艦外交か?
会社に帰ると規模こそ大きくなっていたが以前ほどではない…と思ったんだけどなぁー。
「あまり拡張が過ぎると目立ちますので地下に拡張しました。後、人員が増えたおかげで24時間体制で稼動状態になったため生産力がアップしたので近隣のジオン軍は統合整備計画系モビルスーツを遠慮無く使うことができるようになったらしいです」
モビルスーツで地下を掘ったそうな…戦闘がなかったら警備部は暇なので使ったらしい。
地上部分は今まで通りミデアのコンテナだが地下は本格的に作っているようでまさかモビルスーツの格納庫が地下に作ってしまうとはね。しかも爆発する可能性がある火薬などの製造も安全面を考え他の工場とは分けて離れた地下に移したみたいだ。
そりゃいくら戦争中だからって武装した会社はあまりいい目で見られることはないだろうけどさ。特に正規軍から。
…まぁ実際ジム改10機、ザク改8機、ゲルググ2機ってのは正規軍からしても脅威だから隠しておいた方がいいだろう。
それにしても短い間で地下を作れるあたり建材も現代より先が進んでんな。
「それとジオン軍へのモビルスーツ売却や捕虜の皆さんの引き渡しも無事終了しました。それとそこに置いてある物が兄さんが作った新しい武器です。後で装備させますのでよろしくお願いします」
おお、これか…うむ、とりあえず見た目は要望通りだ。
最初はビームライフルにしようと思ってたんだが考えてみたらいい加減標準装備でビームライフルとシールド、予備装備にマシンガンとビームサーベルと手で装備する兵器が多いので肩装備になった。
正式名はスナイパーキャノンになった。
ただ水中移動では一般的なキャノン系モビルスーツのように前方に向かって固定されては抵抗となって速度が落ちるならまだしも下手をするとへし折れる。
そのためキャノン自体が可動式になっており、標準では背中側に銃身が下になるように倒れ、狙撃する時だけ起こすようになっている。
自重が増えてちょっと機動性や運動性が落ちるのでエース級相手にする時に枷になるかも…と思ったのでワンタッチで外せる仕様にした。
本当はビームライフルで超遠距離から狙撃するってちょっと憧れてたけど現実はこんなもんだ。
メガ粒子砲との違いは威力と収束率、後予想だが燃費も違うはず。
威力はメガ粒子砲の方があるがモビルスーツに対してはオーバーキルで結果的に燃費が悪いはずで、スナイパーキャノンは威力は劣るがメガ粒子砲以上の収束率でビームの減衰を防ぐので有効射程が伸びているし、収束率が高めているのはギャノン自体の性能なので燃費はいい…はず。
つまりメガ粒子砲は役立たずになる可能性があるってことだ。
まぁ白兵戦になったらスナイパーキャノンは背面に片付けられてるだろうから使えないことはない…メガ粒子砲で撃墜すると食材の傷み具合が酷くなるけどな。
「次に手掛ける事業予定は冶金でいいんですね」
「はい、連邦が使っているチタン合金セラミック複合材の研究データはいただいたのでこれを使って製造をしてください。ジオンがゲルググに使っているチタン合金セラミック複合材より優れているっぽいですから売れないことはないでしょうし、これなら連邦にも売れますから」
「なるほど、両軍に売れるというのはいいですね」
本当にアイナは逞しくなったな、正直お嬢様然としていた頃が懐かしい。
蛇足だが俺がマリオンちゃんとアイナの会話がナチュラルに聞こえるのは不自然に思うだろ?実際不自然な状態なんだぜ。
なにせ2人は俺の手の上で会議してるんだからな。一々会話内容をミノ話(念話的な俺達の会話方法の名称)で伝えるのが面倒になってこうなったんだ。
アイナも最初は戸惑っていたが、最近では専用のクッションや小さいテーブルを用意したりと受け入れている。
俺も直接スピーカーで話せるから楽でいいんだけどな。