第三十五話
応急処置をしていたが継ぎ接ぎだらけのホワイトベースはただいま改修中。
結構派手にやられたにも関わらず2日ほどで終わるのはさすが連邦で唯一の宇宙基地である。中身が腐ってても機能までは腐ってはないらしいことにちょっとだけ安心する。
まぁその2日の間にジムクゥエル12機、ジムキャノンII6機、サラミス3隻、マゼラン1隻、コロンブス1隻が落とされてりゃ世話ないけどな。しかも相手に損害なし。
俺達の戦果が消し飛ぶ損害だな。モビルスーツが花形となったが艦が担う役割多く存在するし、何より多くの人員が乗っているために落とされると人的資源の損失が激しい。
原作ではララァ1人でビットの遠隔操作は距離が伸びれば伸びるほど操縦者への負担が大きくなり、多用はできなかったがここではララァを始めとしてクスコ・アル、アスナ・エルマリート、シャリア・ブルと交代要員がいるので1人に掛かる負担が小さく、姿を見せずに戦い続けているのだろう。
「これじゃ下手をすると連邦のニュータイプ研究も本格化するかもなぁ」
原作の連邦がメインとしたのは強化人間開発だったがもしかするともしかするな。
アムロは軟禁状態ではなくニュータイプ研究に協力させられるかも…んー会社に勧誘するのもいいな。
偽名はもちろん安室奈美——
「マリアさん、ちょっといいかな」
「なんですかカイさん、ナンパならミサイルを耐えれる身体を作ってから来てくださいね」
「いや、それはすでに人間じゃないだろ」
俺の嫉妬攻撃に耐えれないならばマリオンちゃんをナンパするなんて許さぬ。
それに蜘蛛旅団とかスーパー野菜人とかなら耐えられるぞ。
まぁそんな奴らが目の前に居たら逃げるけどな…多分逃げれないだろうけどな、特に後者。
「連邦のお偉方から連絡があってマリアさんをご指名だってさ」
「あ、分かりました。ありがとうございます」
「さすが今をときめく蒼い死神、人気があるねー」
「それほどでもー」
いってらっしゃーい……ミノ話で話の内容を聞いた。
お偉方って『ルナツーの』じゃなくて『連邦の』だったようでジャミトフからだった。
いやージャミトフは話がわかる人だぜ。
ちょっとここの連中が気に入らないと言っただけなのに色々手を打ってくれるらしく、近いうちにルナツーはジャミトフの影響下に入るそうな…こうやってティターンズを作っていったんですね。分かります。
ただそのためには補給ルートの安定を目指さなくてはならないと言われたが…当面は圧力を掛けてくれるらしいからもう少し居心地が良く…なるのか?もっと反発されそうな気もするけど…
まぁもしもの時は多少乱暴なことをしてもジャミトフが助けてくれると言ってたので頼りにするかな。借りを作るのは怖いけどね。
「宇宙だと母艦から離れて勝手に動くことができないのは面倒だよなー」
そのせいで奇襲は不可能、むしろ相手に地の利と戦術の方向性で奇襲される側に回ってしまっている。
どうにかならないものか…ならないか、そんなに簡単に対策できるなら今頃対策してるよな。
これ以降、ルナツーの軍人が俺達を蔑むようなことはなくなった…いや、むしろ媚びをってきてキモいとはマリオちゃんの言葉だ。
ホワイトベースの修復が終わり、ジムキャノンII2機の補充もされて万全状態となった第13独立部隊はあっちこっちに点在するジオン基地を攻略することとなった。
そんな基地の存在は原作ではなかったと思うが、よく考えればこの広い宇宙をソロモン、ア・バオア・クー、各コロニーだけで支配してるわけないよな。
そもそも制宙圏を確保するには基地も必要だ。
それをある程度攻略できればルナツーの安全性は高まり…どんな効果があるか知らないけどとりあえず連邦の宇宙基地は確保されることとなるだろう。
「というわけで出撃したわけだけど…ちょっとこれはないんでない?」
「ドラッツェ60、ビグロ2、ゲルググJ2、ゲルググ20、ゲルググキャノン10、エルメス3、ケンプファー3、グワジン級戦艦1、ザンジバル級機動巡洋艦3、ムサイ級軽巡洋艦6、チベ級重巡洋艦の再設計艦と思われる艦が3、あと未確認モビルアーマー1です」
ええ、ええ、未確認でしょうとも。
俺は知ってるが知識としてある形状とも違ってるんだからな。
「ここでそんな切り札出してこなくてもいいだろ」
そこにいたのは…ビグ・ザム、ただし足がない。ということはあのグワジン級戦艦はドズル・ザビか、いやビグ・ザムに乗ってる可能性もあるけど。
あくまで予想だが恐らくアプサラス計画成功によってミノフスキークラフトのデータがジオン本国に届けられた結果、ビグ・ザムの足が必要なしとなったのだろう。
足がなくなって余計にキャベツにしか見えなくなったな。
「あれ、もしかしてこれって大気圏突破して何処かを強襲するつもりだったんじゃね?」
「その可能性は低いと思いますよ。ドラッツェの数が多すぎます」
「言われてみれば確かに…ってことは俺達目当て?!」
「可能性は高いと思います」
いやいやいや、過大評価だってば。
「撤退したい。めっちゃ撤退したい」
「あの巨大キャベツはそれほど強いんですか?」
「アプサラスIIIのメガ粒子砲が1門、戦艦クラスのメガ粒子砲が26門ある」
「…確かに強いですが私達なら余裕——」
「そしてビーム兵器が通じない」
「…………逃げましょう。そうしましょう」
俺達が持ってる実弾系で一番威力があるのは腰にあるミサイルランチャーだけども…どんだけ当てれば落ちるのか。
しかも、多分だけどあの装甲はチタン合金セラミック複合材だと思うんだ。
「まぁ逃げるわけにはいかないんだけど」
「ですよねー」
ここで逃げたら信用がガタ落ち、そのうち取り戻せるにしても時間がかかる。
「艦長聞こえるか」
「どうした。契約の打ち切りの申出か?」
「いやいやさすがに俺達もあの戦力はビビるけど、この状況で逃げたら俺達の異名は地に落ちるってもんだ。そうじゃなくて、俺達が突っ込むからあのデカキャベツに俺達が接近戦できるような距離になるまでは遠くで見ててくれ」
「は?いや、さすがにそれは…」
「あのデカキャベツはどう見ても砲戦に特化した兵器だ。少数のモビルスーツ相手ならともかく艦相手なら遠慮無くぶっ放してくるだろう。だからそれを封じるためにまずは俺達が先行して懐に入る。俺達がデカキャベツを封じるまではビット対策も兼ねてアムロ達はホワイトベースの護衛って感じかな。拒否するのは自由だけどこの艦…沈んでも知らないよ?」
「……分かった。君の作戦を採用しよう。ちゃんと生きて帰ってこいよ」
「ああ、もちろんだ——むしろ全機倒してしまっても問題あるまい」
ブライトの苦笑いを見た後、俺達はあるものをもらって、ジオンの軍勢に突撃する。
「ふははははは、この機動力、加速性は堪らない!でも前へ進めない!」
NT-1に装備されてたフルバーニア、もらってきちゃった。
元々外付けのフルバーニア装備は元連邦の機体である俺達にも付けれたのだ。
ただしスナイパーキャノンは外してるけどな。
今回の任務が終わったらもらえるようにジャミトフにお願いしてみるかな、正直この数は割にあわない。
地形適正もSになったるし。
「凄い弾幕ですね。全部避けてる私達は動画でupしたら多分一夜で神動画認定ですよ」
でしょうね!やってることはFPSゲーで無双ゲーしてるのと変わらないからな。
まさか全機俺達に向かってくるとは思いもしなかった。
多少はホワイトベースに行くと思ってたんだけど…まさか前回の戦いで俺達は宇宙が苦手だと分かってこの戦力を投入したのか?
さて、まず俺達を出迎えたのは艦砲射撃とビグ・ザムの大型メガ粒子砲だった。
まぁさすがにこれらには当たらなかった。
次の出迎えはビグロやゲルググキャノン、エルメスのビットとメガ粒子砲が粗茶とお茶うけを出し始めるがビットはゲルググキャノンの攻撃を躱すのに必死だったのに笑った。
ビットって乱戦にはあまり向いてない兵器だよな。
そしてキャバクラの姉ちゃんのように2機のゲルググJが隣に座り、ケンプファー3機が向かい側に座る。
機動力はどうやら俺達の方が上回ったようでゲルググJ2機とケンプファー3機をを引きずりながらビグ・ザムへ…と思ったんだけどドラッツェが凄い勢いで突っ込んでくるんだよ。
「ええい、神風特攻って帝国が考えることはどこも同じか?!」
「ジオンは帝国じゃなくて公国ですよ」
「そんなツッコミは今いらない!」
機動力があるドラッツェでそれをやられるとなかなか面倒で、何とか6機ほど落としたがまだまだ在庫がある…てか、ちょっと待てグワジンから出撃してるぞ。
おかわりなんてしてないんだ!ここは椀子蕎麦か?!蓋(艦)を(落とす)するまで出てくるとでもいいたいのか。
「でも本当に泣きたいのはジオン側だと思いますけどね。これだけの戦力を投入して私達にまだ1発も当てれてないんですから」
「実弾系が減ったおかげで弾幕自体は減ったからな!」
そう、ほとんどがビームライフルになったことは俺達に若干有利になっている…もっともマリオンちゃんとの共有は欠かせなくなったけどな。
実弾なら俺単体でもある程度躱せるんだけどさすがにビームライフルの速さは完全に躱せる自信はないけどな。
「でもこの編成ってビグロとかエルメス、ビグ・ザムがほとんど死んでる編成ですね。高機動やビットの意味が無いじゃないですか」
それが助かってるんだけどな。ビグロはある程度どうとでもできそうだけどビットはニュータイプ同士なら連携して攻撃することもできるがオールドタイプが混ざると同士討ちになる可能性があるためろくに使えていない。
ビグ・ザムに関しては作戦通りだ。
「フルブースト時の燃費が今までとほとんど変わらないとか便利過ぎる」
どうも推力に関してはどんなに性能が良くなっても消費量が多少増えるようだがほとんど誤差程度だ。
「ブルーディスティニーフルバーニア…名前長過ぎるな」
「BDfbでいいのでは?」
「…」