本編とは関係ない番外編を掲載しました。
良ければこちらへどうぞ
第三十八話
地球に帰ってきました。
とりあえず社員が待機しているベトナム基地に向かって降下、解放する兵士とザンジバルを運用するための社員(元ジオン兵の皆さん)を交代…なんだけど、艦を運用していたジオン兵は約300名、そして会社に引き抜いたのは277名…ほとんど残ってるじゃないかって話。
解放したのはキシリアの監視だけだったことからシーマ様が率いていた部隊丸ごと引き抜いたってことになる…シーマ様の人望は結構凄いと思う。
勢いでもらったリリ丸(俺達が考えたリリー・マルレーンの公式愛称、乗組員からは抗議殺到中、シーマ様苦笑い)だけど何処に置こうか、全然考えてなかった。
とりあえず会社に連絡を入れると、アイナさんから急ごしらえではあるが数日中に滑走路と格納庫を用意してくれるらしい。どっちも簡易だそうだけど。
「それにしてもまだ会社に居たんですね。基地に帰らなくて大丈夫ですか?」
『大体の事はノリスがやってくれているから大丈夫さ。それよりまた私にお願いがあると言っていたがどんな厄介事だ』
厄介事なんて言いながらも目を輝かせてるあたりマッドだよなぁ。
「まずはそちらにデータを送りましたので見てください」
『これか…ふむ、確か木馬とか言われている戦艦の設計図か』
「ええ、この戦艦……実はミノフスキークラフトを搭載しているんです」
ホワイトベースに居候していた時に念の為パチってきたんだ。
まさかこんなすぐに役に立つとは思わなかったけど。
『ほう…なるほどなるほど、話は読めてきたな。つまりザンジバルにミノフスキークラフトを搭載しようというわけだな』
「その通りです。ギニアスさんならアプサラスIIIで得たノウハウもあり、更に連邦の実戦データも入手してきたので有効活用していただけると思っています」
『これは張り切らなければいかんな』
「他にもできるだけ統合整備計画規格の部品に替えて欲しいですね。ザンジバル自体、統合整備計画以前の艦ですから」
『それは……ミノフスキークラフト搭載だけならともかく、内部の変更となると大規模な改修となるから再設計から取り掛かる分時間も金も掛かるぞ』
「当面はミノフスキークラフトの搭載と設計図の作成だけでいいかと…あ、青く塗装はしてもらいます…ってこれはギニアスさんに頼むことじゃなかったですね」
『そうだな。アイナに伝えて準備をさせておこう』
「本当に開発して欲しいのはまだありますから」
『まだあるのか』
こちらからすれば、ただ面倒事を押し付けているだけなんだけど…それほど期待してもらえると嬉しいような悲しいような。
「サイコミュというものをご存知ですか」
『何処かで聞いたな……ああ、確か紫ババァが熱中している玩具だったか』
まぁ使える人間が限られている兵器なんて玩具だよな。
そういう意味でなら原作では冷遇されたアプサラス計画だけどサイコミュ兵器開発より断然有効だと思う。
サイコミュ兵器は連邦のNT-1みたいな鋭敏で常人には動かし難いなんていうレベルじゃないんだしな。
「それの実戦機を1機と特殊武装もGETしたのでサイコミュの少数生産とビットの小型化、それを収納する用の特殊装備もお願いしたいですね」
『サイコミュの生産?その実戦機の生産ではなくてかね』
「はい、諸事情がありまして」
『つまりそちらは解析してコピー品で良いわけか、それならそれほど手間ではないだろう。ビットというものの小型化はおいおいだな。資金豊富な紫ババァが開発してのサイズなのだからそう簡単にはできまい。なにより私の専門外だからな』
実はエルメスを手に入れてから1つ懸念があった。
エルメスを喰うのはいいとして、もしそれでサイコミュが手に入らなかったら?という可能性を考えたら慎重にならざるを得なかった。
そこで考えたのは自分達で作ってそれを喰えば解決じゃね?というわかりやすい方法だ。
ギニアスも協力してくれりゃほぼ間違いなく再現できるだろうし、起動テストはマリオンちゃんができる…はず、ミノフスキー粒子体で正常に動かせるかどうかはやってみないとわからない。
今はエルメスが1機しかないのでテストして壊れる可能性を考えれば安易で行うことはできない。
ビットも今のままでは大きすぎる。いくら出力も推力も普通のモビルスーツよりあるとはいえ、さすがに持ち運べるサイズではない。
「ビットの方は今戦争終盤か、最悪次の戦争までに間に合えばいいですよ」
『…次の戦争があると?』
「多分ですけどね。ジオンが勝利するのか敗北するのかに関係なく、最低もう一度は戦争があると思ってます」
このまま推移すればジオンが地球から追い出される又は放棄したとしても宇宙の大半を支配したままで休戦か終戦かわからないが、多分ジオンは内部分裂、連邦は派閥争いの可能性が高いだろう。
連邦はひょっとすると軍事的な争いまで発展することはないかもしれないがジオンはほぼ確実かな?ギレンvsキシリアが起こるだろ。
ちょっと俺達が暴れすぎてキシリア勢力の弱体化が激しいから怪しくなってるけど…ちょっとテコ入れが必要かも?でもギレン派に手を出すのは司令やギニアス(デギンがギレン派だから)のことを考えるとちょっとねー…どうしようか。
とりあえずソロモンを連邦に攻略させたいんだけど…その前にオデッサ作戦があるんだよなー、オデッサってキシリアの重要拠点の1つだからあまり望ましくない。
やっぱアフリカを取り返す方が…いや、そういえば空洞化した重要拠点があったな、そこを連邦に奪還させるかな。
そして俺達はまたジオンの捕虜とモビルスーツで稼がせてもらう…うん、良い案だ。戦略まで口出ししたら怒るかも、まぁその時はその時だ。
「そういえば以前頼んでいた商品は開発できたのですか」
『ああ、なかなかのものができたと自負しているよ。ただどうせなら1から全部自分で作りたかったがね』
いやいや、そんなことしてたら時間掛かるから。
「楽しみにしてますからね」
『うむ』
「それでこれが——」
「そう、これがドップ・ツヴァイだ」
我社初の製品、ドップ・ツヴァイ。
原作にない完全オリジナルの機体…だけど中身はほぼ既存のものだけどな。
ドップの無意味に主張していたコクピットを下げたせいで普通の戦闘機っぽくなった。
武装内容はほとんど変わりない。
何が売りかというと…まぁ、ぶっちゃけジオン版セイバーフィッシュなんだよな。
唯一の違いは部品がほぼ統合整備計画系で作られている。
いやーギニアスが苦労したらしいけど、おかげで74%はゲルググやザク改などと互換がある。
装甲は軽量化の為、チタン合金セラミック複合材で単価的にはドップ3倍するが統合整備計画の共通部品でドップとそう変わらない価格に抑えられている。
後、当然航続距離も伸び、爆装もできるのでドップの短距離、ツヴァイの長、中距離を担う予定。
「これでジオンの航空戦力も充実する!」
「これまでは3対1ぐらいでしたからね」
ドップの性能を知った連邦は攻撃はあまりせず、避けに徹して燃料切れを待つ戦法を編み出されてからはドップは攻撃3倍の法則どころか防衛3倍の法則になってしまっていたのだから何とも言えない。
それでも戦闘機を開発しなかったのはモビルスーツ主義に染まっていたのか、それともジオンがあまり熱心ではなかったからなのか、真実はわからんがな。
ギレンの野望なんかではマゼラ・トップがやたらと強いが、リアルだと遅すぎて戦車相手ならともかく戦闘機には一方的に狩られます。
一応インドネシア、ベトナムからそれぞれ40機、何処から聞きつけたのかオデッサから200機の注文が入っているらしい…俺達は頼んでないんだけど、どうやらアイナが営業を掛けたみたいだ。
ちなみになぜドップIIやドップ改ではなくツヴァイなのかというと…一応原作に気を使ってってところかな。
「トライアルさせてみたがドップなど相手にならん」
「それはそれで問題がありそうですけどね」
だからなのか、地上的にも地下的にも工場が拡大している。
どうやら従業員が足りなくなって知らない間に難民受け入れ第二弾を行っていたらしい、今回もオーストラリアかららしいが…アイナには贖罪の気持ちがあるんだろうな。偶に痛々しく社員を見てるし間違いないと思う。
「やることがなくなってついでにルッグン・ツヴァイも作ってみたんだがこちらも結構受注が来てるという話だ」
「………初耳なんですが」
俺も初耳だ。
仕様書に書かれている通りならルッグン・ツヴァイもディッシュを手本に、装甲はチタン合金セラミック複合材、統合整備計画の部品…名前が格好悪いから共通規格部品な!…で作っていてかなり低価格に抑えられている…がレーダー類が連邦製の方が優秀だったので替えてみると値段は結局それほど変わらない結果になったらしい。
その代わり爆撃ができたり、自衛程度だが空中戦ができたりと無駄に多機能だったので爆装をオミットしているようだ。
「そういえば宇宙でギニアスさんが好きそうなビグ・ザムってモビルア———」
「あんなものは盗作だ!贋作だ!著作権侵害だ!訴えてやる!!」
あ、なんか地雷を踏んだっぽい。
言われてみればビグ・ザムから足がなくなったらアプサラスとそう変わらないよな。
「しかもアプサラス量産化計画は蹴っておいてビグ・ザム量産化計画だと?!巫山戯るな!まぁもっとも私のブルーディスティニーが軽快に撃破してくれたおかげで量産化計画は潰えたらしいが…ざまぁ!」
ギニアスが壊れた。
後、俺達はお前のものじゃない!
本編とは関係ない番外編を掲載しました。
良ければこちらへどうぞ