第45話
「さあ、長い間謎のベールに包まれていた私の相棒ブルーニーの正体がついに暴かれる!」
「……嬢ちゃんがハイテンションだと不安になるのは私だけか?」
「少し好奇心も刺激されるのは事実ですぜ」
「好奇心猫を殺す、にならなけりゃいいがねぇ」
言いたい放題だな。
「ではブルーニーさん入場です!」
満を持して俺参上!
「………」
「………」
「「「………」」」
「………まずは一言言わせてもらうとすれば………冗談かい?」
「大マジですよ」
「………何処からどう見てもブルーディスティニーのコスプレにしか見えないんだけど」
そう、現在の俺はSDサイズのブルーディスティニーになってます。
これはゲルググシュトゥッツァー・マリオン入りEXAMシステムを吸収して得た能力である。
マリオン入りEXAMシステム特典、略してマリオン特典。
今回はほとんどの恩恵が俺にあった…と言ってもどうやらマリオンちゃんが思ったことが実装されたのでは、という予想だ。
特殊オプションに追加があったので載せておく。
特殊オプション: EXAMシステム(マリオン・ウェルチ)
マグネットコーティング
憑依
ハイドロジェット
電磁波吸収塗料
アンダーグラウンド・ソナー
ミノフスキー粒子散布
ミノフスキー粒子体(マリオン・ウェルチ)
ミノフスキークラフト(低)
ミノフスキー粒子体(ブルーニー)
サイズ変化
———————(まだ内緒だよ)
ミノフスキー粒子体(俺)とサイズ変化は内容こそ似ているが若干違いがある。
ミノフスキー粒子体はNRUTOの影分身のように本体とは別に分身体を作り出す、サイズ変化は本体のサイズを変化させることができる。
まぁぶっちゃけ本体が小さくなると不審に思われやすいからサイズ変化はそれほど使う機会はないだろうけどな…まぁステルス性はかなり向上したと言ってもいいだろうけど。
ただし、ミノフスキー粒子体は本体の反応速度や運動能力、マリオンちゃんとの共有が大体半減してしまうという内部的なデメリットがあり、サイズ変化は内部的なデメリットはないがサイズ故の攻撃力、守備力低下と外部的?なデメリットが存在する。
本体の攻撃力守備力低下は割りと痛かったりする。
それで今の俺はミノフスキー粒子体でシーマ様達にお披露目中なわけだ。
ちなみにマリオンちゃんのパワーアップもあるけどそれは近いうちに。
「こうやって会うのは初めてだな。マリアちゃんの相棒ブルーニーだ。よろしくな」
「……モビルスーツに引き篭もらせてた方が良かったかもしれないねぇ…いや、これも一種の引き篭もりか?」
俺がロボットということは疑わないんだな。
まぁ精密機器はミノ粉対策のせいで大体大型化しなくちゃいけなくなったことを考えると人間サイズの思考できて喋れるロボットなんてあるわけないと思ったからかもしれないけどな。
「伝説のニートなんて失礼なこと言っていたのに更に失礼だな…撃つぞ?」
「そんな小道具まで——」
地面に発砲してみせる。
もちろん、撃った地面には穴が空く、ミノフスキー粒子体でも装備は全部本物だから使用することができるのだ。
ちなみにビームライフルではなくマシンガンの方な。
「撃つぞ?」
「わ、悪かったよ」
両手を上げて降参するシーマ様、冷や汗がドバドバと流れているのが分かる。
本気で撃つわけないのにな…手足ぐらいしか。
「これからは偶にだが顔を出す予定だ。よろしく頼むぞ」
「ああ、こちらこそ。何だかんだ言ってこれで一区切りついたって感じだねぇ」
どうやら組織のトップの片方が姿を見せないためにいつか切り捨てられるんじゃないかと思い始めていたらしい。
そりゃ悪かったな。俺も顔を出したくても出せなかったんだから仕方ないだろう。
「さて、お披露目も終わったことですし次は今後の予定をお話します」
「ならまずは被害報告をしておこうか、ゲルググキャノン1機中破、2機小破、その3機は砲身にダメージあり、ゲルググ2機大破、7機中破、10機小破、ミデアが回収した弾薬が暴発でコンテナが小破、幸い機体に被害なし。そして奇跡的に軽傷者は何人かいるが死亡者は0だ。戦闘継続には問題ないね」
「それは行幸、モビルスーツなんざ代わりが効くが人間はそういうわけにいかんからな。特にパイロットは、な」
「ですねーただゲルググの方はともかくキャノンが減っちゃったのは問題ですね。替えは届いてますか?」
「いや、今はないね。ただ明日には届く予定だから問題はないさ」
「そうですか、なら問題無いですね。さすがに3倍以上の戦力と戦闘したんですから2日ほどはシミュレーター訓練と見張りの交代は外せませんがそれ以外は休暇にするつもりでしたから」
うちはブラック企業じゃありません。
…やってることはヤクザかマフィアだけどな。
「それは助かるね。さすがにアレほどの激戦はやったことないから疲れが溜まってるしさ」
宇宙軍はそうかもね。
地上軍から比べるとぬるいからねーそもそも宇宙はジオンが押してるし、気候なんかも変化しないからな。
それはシーマ様達も変わらず、疲れ気味なわけよ。
ほとんどのモビルスーツは最初の武装はマシンガンだったのにビームライフルに切り替わっている。
マシンガンは宇宙で使う分には振動が伝わるだけでいいが地上だと音も伝わるんで煩くて仕方ないんで替える人が続出したんだ。
「どうやら侵攻部隊は1度基地に退いて再編成を行うようなのでまた再侵攻してくるものだと思われますがどうしましょうか」
「今回ほどの侵攻が何度もあるとは思えないから同じように迎撃してればいいんじゃないかい」
「それが無難ではあるんですけど時間がかかりますから」
「あのねぇ、この戦力でキャリフォルニアベースを落とすってだけでも奇跡に近いんだ。これ以上時間を縮めようとすると相当な被害が出るよ」
「しかしですね」
「マリアちゃん、これ以上は負担が大きすぎる。このままじっくりやっていこう」
「…ハァ、分かりました。では緊急事態にならないかぎりは2日間の休暇、それ以降のことはまた会議で話し合う。それでいいですか」
「ああ、問題ないよ」
「異議なし」
「では、解散」
2日間の休暇が過ぎた。
無事補給が出来たのでキャノン多めに頼んでいた甲斐があってゲルググキャノンは合計で11機に増え、そのおかげで遠距離火力が増えて打撃力が増えた。
アイナからも連絡があったがキャリフォルニアベース攻略に俺達が乗り出したことがジオンに響き渡ったため、中規模工場に仲間入りした俺達の会社は売上が凄いことになっているらしい。
作れば作るほど売れる現状、新しい設備も導入し始めていて笑いが止まらないらしい…が、なんとなくだがアイナが高笑いしてたら嫌だなぁ。
サイコミュの1号機は俺達が会社に帰る前には完成するとギニアスが言ったとか……もしかしてギニアスは俺達よりチートじゃね?……さすがに言い過ぎか。
ジオンの侵攻は無く、どうやら再編に手こずっているっぽい、理由としては最初に戦った侵攻部隊に優秀な上級士官がいたんだが俺達が撃破してしまったので再編するにしても陣頭指揮をとる人間がおらず、なかなか苦戦しているようだ。
とっとと撤退すればいいのに近くの基地でまだ踏みとどまっているようなので奇襲をかけることにした。
「とはいっても…罠臭いよなぁ」
あからさまに誘いこむ罠にしか思えないのだが、マリオンちゃんの新しい能力は否定する。
その能力名は!!マリオンちゃんニュータイプ占い!!
1日の運勢が占える1種の未来予知だ。
2日に1回ほどのペースでモニターに占いが勝手に表示されるもので、まぁ内容は朝のニュースであるようなもので血液型占いや星座占いではなく名前で表示される程度の違いだ。
しかもそのメンバーは俺、マリオンちゃん、アイナ、シロー、シーマ様(こうやって表示されるあたり俺の能力か?)、ギニアス、、コッセルが表示される。
ちなみにラッキーアイテムとかラッキーカラーが項目にあるのだけど、今まで俺とマリオンちゃん、シーマ様はブルー以外に出たことがなかったりする…シーマ様はともかく俺達は自分自身かよ。コッセルは偶に女王様とか姉御とかって表示されることがある。
今日の占いは『戸惑わずに進むと粉砕!玉砕!大喝采!もし退くならお昼寝が吉』ラッキーカラー『ブルー』って感じで俺、マリオンちゃん、シーマ様、コッセルに書かれてたから戸惑わずに攻略しろってことなんだろうけど…占いを信じて奇襲を仕掛けた。
まぁ簡単に言うと粉砕(奇襲)→玉砕(成功)→大喝采(降伏)ってことだったんだけどな。
残っていた130機のモビルスーツと補助兵器3740機、ダブデ2、ギャロップ6、ガウ3、ファットアンクル5を鹵獲に成功した。
事情聴取してみるとなぜこれほど無警戒で無抵抗だったのかが分かった。
簡単にいえば派閥争いで主導権争いをしてたわけ、しかも両方の派閥は撤退したいけど撤退なんか言い出したら責任問題にされるのでお互い牽制しあってるうちに俺達が攻撃を仕掛けてもう死ぬより降伏でいいやと諦めたというのが事の真相らしい。
なんというか…やる気ないねー。
「いや、嬢ちゃん達の戦いっぷりを見たら普通はこうなるさ。私達だって降伏した最大の理由は嬢ちゃん達と戦いたくなかったからだしね」
マジでか?!