第五十八話
ブリッツ社とラッツリバー社の買収は成功、ただし余剰金は無くなった。
「というわけでマリオンズ出撃じゃー!」
「それはいいんですけど依頼はあるんですか?」
「スエズ運河に参戦してくれと両軍から依頼が来てるな」
「ブルーニーさんは最終的にはどちらを勝たせるつもりなんですか」
「連邦にはインドネシアとベトナム以外は取り返させる予定だ。インドネシアとベトナムはなんとかジオンに押さえさせて俺達の協力者兼商売相手兼肉壁として頑張ってもらうかな」
「さすがブルーニーさん、やることが汚い」
「これでも国を背負う人間(?)だからな」
「では連邦で参戦ですね」
「ギニアスがこっちに付いてくれたから遠慮無く戦えるな」
「一応断りは入れておいた方がいいと思いますよ。親しき仲にもホウレンソウって言うじゃないですか」
「いや、言わねーから……まぁ一応言っとくけどな」
ギニアスからGoサイン頂いたのでマリオンズを派遣する。
描写してたら長くなるのでダイジェストでお送りします。
「あれが連邦の捕虜が噂していた蒼い死神の尖兵、死神の鎌か……モビルスーツがゲルググからジムカスタムに変わっているが相手に不足な————」
「隊長ーーーー!」
「なんて奴だ!この弾幕の中で狙撃だと?!」
「もう土下座した方がいいんじゃね?」
「それが土下座を利用するやつが多すぎてロックが掛けてあるんだってさ。パスワードは佐官しか知らないらしい」
「ガッデム!少佐を探して吐かせるぞ!」
「いや、それよりコクピットを降りてリアルで土下座した方が早くね?それとガッデムってガデム大尉の前では言うなよ。絞め殺されるぞ」
「なるほど、気をつけとく……さて、裸で待機しておくか」
「裸の必要性はない……女の裸なら喜ばれるだろうけどな」
(まだこの段階でマリオンズの性別は知られてません)
「ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!」
「そう言いながら逃げるな!」
「くそ、蒼色は厄色とでも言うのか?!」
「この前助けてもらったばかりですけど、今回は敵ですから……」
「既に100機近くのモビルスーツが鹵獲されているらしいではないか!おのれハイエナどもめ!」
「あ、隊長そんなこと言って——」
「副隊ちょ——」
「今回はこちらの手勢が多いですから楽ちんですね」
「いっぱい鹵獲ウマウマ」
「ただ戦場真っ只中で降伏されても困るんですよねーどうしたらいいんでしょう」
「とりあえずスルーでいいです」
「これが死神の鎌の実力……大佐からは隙あらば撃てという指示されているが……やりたければ自分でやれ。俺は嫌だね」
「こっちは10kmも離れてるのに気づかれてるみたいですし……あ、ピースしましたよ」
「大丈夫だ。こっちはダブルピースだ。スナイパーが場所バレしちゃ終わりじゃないか」
「もう連邦やめてニューギニア島に行って静かに暮らした方が勝ち組じゃないんスカ」
「盲点だった。なるほど、そうすれば蒼い死神の加護を得られるか……マジで考えようかな」
「隊長は階級的にそう簡単に辞めれないでしょ、代わりに俺が様子見してきますよ」
「キサマ!ずるいぞ!」
概ねこんな感じだったそうな。
ちなみに最後のエピソードはマリオンズに付いてきた者のリアルの声だ。
連邦からの移住者は珍しいのでシローは喜んでいた。
結局ゲルググ96機、ゲルググキャノン21機、ザク改キャノン33機、ズゴックE6機、ハイゴッグ21機、ザメル1機、ダブデ3機(売却確定品)、ケンプファー1機を鹵獲に成功してスエズ運河の紅海側の一部を制圧することに成功した。
これによってジオンの補給線が途絶えた……俺達以外のな!!
「今こそ我らが飛躍する時!売って売って売りまくれぇ!」
「手始めに鹵獲モビルスーツの買取値段の釣り上げを行おうと思います。どうでしょう」
「承認」
資金+70000
「今回の収益でズゴックEとハイゴッグ、ザメルの解析、改良、再設計をしようと思うんだが」
「承認」
資金−10000
「治安の悪化が激しい、ハロ開発の追加予算を投入して欲しいねぇ」
「承認」
資金−5000
「シローと新婚旅行に行きたいんだけど」
「……心苦しいが却下だ。もう少し待ってくれ、せめて戦争が終わるまで」
「わかってます。ちょっとノリで言ってみただけですよ。それに今は何処行っても楽しくなさそうですし」
俺の良心−プライスレス
それならいいんだけど……たまにはシローと合わせて休暇を与えてやるかな。
ところでザメルが鹵獲されてるってことはモブ……じゃなかったボブさんは……あ、土下座してましたか、さすがにザメルは土下座できなかったので白旗とコクピットから降りてもう1人のパイロットと共に土下座してたそうだ。
そういえばザメルは複座でしたね。
「それでナンバーズ、問題はなかったか?」
「正直水泳部が面倒です」
「ですねージムカスタムにしろゲルググにしろ水中で動くようにできてないので苦労します」
「高機動でなくてもいいので水中で戦闘ができたらなんとかなりそうです」
そうか、前回はジオン側だったから水泳部と戦うことがなかったけど連邦側だとそれがあったか。
「ギニアス、確かNT-2は水中でも運用できたな」
「可能だ。ただ地上ほどの高機動は出せないだろうが……ナンバーズなら問題ないか」
「当然」
「私達は」
「最強」
「「「です」」」
「はいはい、あたいったらサイキョーね……と言っても当分はNT-2の生産は先送りだしなぁ。今がチャンスと分かっている現状では設備投資や生産数、作業員の増員で手一杯だ」
「一時的に制圧したスエズ運河もジオンがその気に慣れば取り返される可能性もあります……ジオンは水陸両用モビルスーツの新型を送り出したようですし」
またまたマリオンズの帰還中の話なんだが、南アフリカがその新型に襲われて基地は大打撃を受けた。
その新型はズゴックD(ズゴックデストロイヤーだそうだ)と言って、水中スペックはズゴックEと変わらないらしいが陸上スペックがゲルググと同等、対空攻撃も増々で弱点を消したような機体になったようだ。
ズゴックEは地上ではドムと同スペックだったことから考えるとかなりの汎用性であり、天敵であった航空機にも対応できるようになった。
細かいスペックまでは把握できてないが大体こんな感じらしい、ちなみに近日中に何機かインドネシアとベトナム、ペキンに配置される予定だそうだ。
まぁズゴックEのEはエクスペリメント、和訳で試験機という意味だから名前と実情が伴ってなかったからこれで正しくなった…のか?
「取り返されたらまた仕事を請け負えばいいさ。それにジオンはおそらくスエズ運河どころじゃなくなるだろうし…」
「ヨーロッパ方面からのオデッサ攻略作戦ですか」
「その通りだな。ノリスから連絡があったが新型が配備される代わりにベトナムやインドネシアからそれなりの戦力を引き抜くようだ。スエズ運河からも撤退するかしないかで揉めてるそうだが、ほぼ撤退は確実だろう」
「つまり私達が投入されるとすれば……オデッサかトルコ、西ロシアの南部あたりでしょうか」
「そうだろうな。オデッサは言わずもがな、トルコや西ロシア南部は立地的に考えて水泳部の活躍が期待できる……とは言っても後何回かはジオンの依頼も請けるけどな」
偏って依頼を請けるのはあまりよろしくないだろう。
そういえば最近は工場の規模やレベルが上がったおかげで、以前は買い取りしてもらう際にはコクピットを潰した状態で引き渡ししていたが、修理して引き渡しするようになって買取値段が上昇したのは嬉しい。
正確に言うと買取値段が上がったということじゃなくて、ブルーパプワがそこまでの規模になったことが嬉しいのだ。
「ジオンがスエズ運河から撤退となるとキリマンジャロに続き要所を失うことになる。そうなると今までジオンに擦り寄っていた政治家や企業が離れ始めるだろう」
「ジオンに冬が訪れますね」
「宇宙でもニュータイプだ、英雄だ、と騒がれているアムロという少年の働きによってジオングという新型モビルアーマー——なのかモビルスーツの出来損ないなのかわからないが——を撃破したと聞いた。普通のモビルスーツ部隊もかなり落とされているようでジオンはかなりキツイことになっているだろう」
なぬ、ギニアスから聞いた情報は初耳だ。
というかジオング撃破?シャア死んじゃったか?
確認してみたら死んだのはジオンの木星帰りの男シャリア・ブルさんでした。
考えてみればジオングはブラウ・ブロの後継機みたいなもんだよな、武装的な意味で。ならシャリア・ブルが乗るのも自然な流れか。
しかしこれで俺達に対抗できる人間がまた1人散ったわけだ。
南無南無。
そしてジオングという少数生産機が食べれなかった俺達も南無南無orz
世界情勢は俺達が推している連邦が有利で推移している。
このまま行けば原作通りの展開になるだろうか?
宇宙ではほとんどボールが作られず、ジムキャノンがその代わりを務めているから戦力的には原作より充実……もしかしてビンソン計画の遅れはボールの不在もあるのか?
ボールとジムキャノン(前にも言ったが実質はジムキャノンII)とでは生産コストが雲泥の差だ。どれだけの差があるのかというとジムキャノン1機に対してボールは12機は作れる。
それだけボールは低価格であり、ジムキャノンは高価格なのだ。
それを支援機としてボールには及ばないにしても必要数生産したとなると連邦の財布が圧迫されたのは間違いないだろう。
ただ、この戦況であの棺桶のようなボールに乗りたがるパイロットがいるかどうかは甚だ疑問ではあるが。
「あ、ギニアスにはモビルスーツ解析よりこっちの案件を先に終わらせて欲しい」
「……これぐらいならそう時間は掛からないだろうが、マスドライバーが完成するまでは出番がないと思うが」
「それを連邦に売りつけようと思ってな」
「なるほど、それなら一定の需要があるかもしれんな」
「ではよろしく」
「3日以内に終わらそう」
……早過ぎるだろ常考。