第六十六話
ジブラルタル海峡封鎖しているのは当然マリオンズ達なわけだが……これって国債で支払われるって言ってるけど、デフォルトされないよな?
目の前に積まれているコンテナの山を見ていて思う。
ズゴックDが3機しかいないってことを知った上でミノ粉が常時散布して、深夜に航行されたら発見されないだろう、と思ってたんだろうな。
マリオンちゃんズはレーダーなんて必要ないんだわ。
ニュータイプ能力を抜群に発揮して次々拿捕して早くも20隻。
さすがに学習したようで高速艇による輸送なども試みているようだけど高速艇では振り切ることは可能でも輸送できる物資の量は知れている。
最終的には数での力押しでこちらが対応できない数を投入するという荒業で輸送し始めた。
これが功を奏して大規模な輸送に成功したが……俺達の売上もウッハウッハ。
ただし壺からクレープ……じゃなくてクレームが来たからいくらかそちらに献上したけどな。
そのクレームの際に教えてくれたがオデッサは結局放棄するそうだ。
壺は宇宙に帰って最近活発化してきた連邦宇宙軍との戦いに備えるそうで、後の指揮はユーリ……ペトロフだかミハイルコフだかケラーネだかキリアンだかが引き継ぐらしい。
紫ババァが少将で壺は大佐、でもユーリ某は少将なんだよなぁ、やっぱり違う監督だから設定ミスかね?
核ミサイルのことは言わなかったけど……ユーリの判断に任せるのか、撃つことを止めたのか……しばらく様子見かな。
ちなみに今度からユーリ・ケラーネのことをゴモラと呼ぼうと思う。なんとなく似てない?
そして肝心の俺達だが、現在マリオンズを回収して経験更新しようとしてるんだけど…
「嫌です!融合すると私が私じゃなくなるんですよ!」
「そういう決まりですからおとなしく融合しなさい」
「分身体にも人権を!本体の横暴を許すな!」
「個性は大事にしたいんです!」
「それでも守りたいものがあるんですー!」
と騒いでいる。
ピリピリした雰囲気で声が掛けづらい…こともないんだけどしばらく見ていよう。
「私には好きな人がいるんです!」
「ブルーニーさんなのはわかってますから!」
本人を目の前にそんなやりとりしないでください。
聞いてる本人が恥ずかしいです……
遊びでやってるんだから尚更。
「はいはい、遊びはここまで。とっとと融合しちゃいなさい」
「「「は〜い」」」
この遊びがお気に入りなのか融合する機会があるとこうやって融合なんて嫌なんじゃーごっこを始めるんだよ。
今回はまったり鹵獲祭りなんでマリオンちゃんもマリオンズに混じって出撃しているので度々更新している。
おかげで水中機動の経験が蓄積されて、水中戦はそこそこ様になっている……はずだ。
「ブルーニーさんはブルーパプワと連絡とってたんですよね。どんな様子でしたか?」
「メイ・カーウィンの働きでハロの試験導入まで漕ぎ着けたそうだ。早ければ1ヶ月以内に実践導入だそうだ」
「良かったですね。まるで監視社会ですけど……」
「治安が悪いんだから仕方なし、独裁政権だから問答無用」
それにこれがうまくいくと発展させて対人兵器に発展させることも可能だろう。
死神の陽炎は対人に弱いからなぁ、人海戦術とは対局にあるドクトリンだから対人戦用兵器の開発はわりと本気で欲しい。
「他はギニアスが暴走しかけてアイナが沈下(誤字にあらず)させたとかシローが人気者過ぎてアイナが嫉妬してるとかシローが親衛隊に若干いじめられてるとか」
「概ねいつも通りですね」
「だな。唯一変化があったらしいのはどうもシーマ様が若返ったせいかモテ期が到来したみたいってだけだな」
「いいことじゃないですか、ガイアさんは複雑でしょうけど」
そう、ガイアがブルーパプワに所属するきっかけはなんと!シーマ様に惚れたかららしいのだ。
ビックリだよな〜確かに年齢的にはコッセルと並んで丁度いい年齢ではあるんだけど……ねぇ?
「シーマ様に寿退社なんてされたらブルーパプワどころかニューギニア島が回らなくなるな。幸い本人は今のところその気はないらしいけど」
「幸いいくらでも若返ることはできますからね」
そうそう、ふと思いついて動物でヒーリング性能実験をしてみたんだけど、治すというより過去へ戻していることが証明された。
ただ、それなら先天性疾患に効かないのかと言えばそうではないあたりイマイチはっきりしない。
猫のオッドアイを青に統一することもできた。そして過去へ戻してオッドアイの状態に戻すこともできる。
なんとも便利な能力だ。
「調整役なんてそう簡単には代わりは居ない。というより俺達の組織は俗にいう天才の部類に頼っている部分が大きい組織過ぎる」
「仕方ありませんよ。ブルーパプワ自体が若いのもありますけど、ニューギニア島自体が貧困地域ですから教育格差を埋めるのに時間が掛かります」
「教育制度も改め始めたばかりだしなぁ」
日本のアニメらしく、宇宙世紀も日本式の教育がなされていたので、義務教育中に就職を意識した授業内容に変更したのだ。
そもそも日本の教育って三国志や信長の野望で言うところのステータスALL60を作り出す教育としか思えない。
ぶっちゃけ縛りプレイでもしないかぎり使えない人材の山である。
それとも中卒は奴隷にでもなれというのだろうか?
それなら多少苦手分野があっても特化型の方が使い勝手がいい……というかそういう人材が今必要なんだよ。
何より日本はALL60〜70を排出しているかもだけどニューギニア島は40〜50と低めだから尚いただけない。
「乞うご期待ですね」
「だな。そういえば宇宙のマリオンズの様子はどうだ?」
「交代で社長業と教官してますけど良い感じですよ。廃品回収業って本当に儲かるんですねー、想像以上です」
ボールは作業ポッドなだけあって初心者にも操作し易い設計がされていて、それでいて初期のザクマシンガンを当たりどころさえ良ければ耐えうる耐久性はなかなか評判が良く、効率的だ。
今のところ再生させるのはブルーパプワ本社でないと出来ないため、一々運ばないといけないことが難点だが地上で連邦から購入するよりは断然安く済むので重宝している。
更に廃品自体がコロニーに害を及ぼすこともあり、サイド6から補助金も出ているのでウマウマで、現在はサイド6だけだが、近いうちに他のサイドにも手を回そうと思っている。
「後、提案だそうですがマスドライバーと違ってエレベーターロケットだと生物が運べるので動物を売ってみたいと言ってます。ほら、ニューギニア島といえば固有の動物がたくさん居ますし」
「ふむ……検討しておく、ただ宇宙に出て支障が少ない動物を選ばなくちゃいけないし、空気税の支払いが増えることを考えれば難しそうだぞ?それに自然保護団体がうるさそうだ」
「いっそ動物園でもいいですね。自然保護団体には動物愛護団体をぶつけとけば大丈夫ですよ」
動物園ねぇ、実はフィッシュボーンはユニットを改造して環状にすれば簡易コロニーが作れたりするので、そこに……まぁ今はしないけど。
でもどちらかと言うと教育の一環として動物園は悪くないだろうけどさ。
ちなみに自然保護団体と動物愛護団体は仲が悪い。
そりゃ自然全体を守ろうとしているのと動物個々を守ろうとしているのでは話が合わないだろうさ。
ちょっとした食い違いだけど雲泥の差なわけだ。
「裏稼業の方も順調らしいです」
「それは良かった」
サイド6にモビルスーツを、いや軍事力の保有をジオン、連邦に認めさせたのはいい。
だが、問題はその軍事力保有によって宇宙海賊が遠退き、サイド6と対立しなくなったのだ。
そんなに激戦をしろとは言わないがせめて少しは小競り合いをしてもらわないとこちらも後が続かない……整備や装備の更新、フィッシュボーンをモビルスーツ母艦化などもあるので、儲けてはいるが些か面白く無い。
なので裏稼業、宇宙海賊始めました。
サイド6近郊で治安を乱すことによって物価の上昇とライバル会社への妨害を図り、治安維持部隊とぶつかり合って廃品を増やして更に部品や新規モビルスーツを卸し、傭兵家業という名の警備業も務める死神の陽炎の仕事も増える。
一石六鳥のボロ儲けだ。
もちろん、ブルーパプワの艦も襲わせているが見事撃退している、ということになっている。
ただやり過ぎると今はまだ小規模な上にマリオンズも無茶ができない死神の陽炎では対応できない可能性が高いので控えめな海賊活動であるが。
「現在は廃品から再生したコロンブス級を拠点にして活動してますがそのうち自分達でコロニーを作りたいですね」
「マジですか、ってかマリオンちゃん海賊に熱入れ過ぎだろ常考」
「でも楽しくありませんか?」
「凄く楽しい」
男はなぜこうも海賊に憧れるのか……マリオンちゃんは女だけども。
一応言っておくがONEPIECEは好きじゃないけどな、あんな偽悪的な海賊認めん。
「ブルーニーさん!」
「ああ、とうとう核ミサイルが発射され——ゑ?」
「……なんか嫌な予感がアッという間に消えましたね」
「どういうことだ?」
ジャミトフに問い合わせて聞いてみた。
確かに核ミサイルは撃たれた、が現場に居たスナイパー部隊が見事な腕前で落としてしまったらしい。
もしかして俺達の影響か?俺達が苦戦したスナイパー部隊はどうも連邦の中ではエリート扱いされていて、今作戦でも戦果を上げている。
ホワイトベース隊が居ないからてっきり核ミサイルで連邦大打撃!となるかと思ったがアッサリ片付いてしまった。
「なんだかねぇ」
「切り札はアッという間に消えちゃいましたね。南極条約無視してまでやったのに……」
あ、そうだよな。南極条約無視しちゃったんだ。
こりゃ国際的に大打撃じゃないか、最低ベトナムとチベットとインドネシアを維持させる予定だったけど大丈夫かな?
ノリスさんに確認しておかないとな。
それにしてもゴモラ……その秘書官俺に寄越せ!ケルゲレン子でも可!——ゲフッ!
「今巨乳の子のことを考えましたね?」
「く、マリオンちゃんはエスパー過ぎる件について!」
「ニュータイプな上にサイキッカーですがなにか?」
「\(^o^)/オワタ」