第七十四話
ジョブ・ジョンが死んじゃった!サナリィが、Fシリーズが誕生しない!でもそんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!はい、パップッワー……最後語呂悪。
コジマ中佐(ちげぇ!)のネタを完全再現してたら、傍から見てたマリオンちゃんの視線が冷たいです。
鬱だ。死のう。恐らく首吊っても死なんけど。
さて、くだらないことを言ってないで戦況を観るか。
第13独立部隊、連邦本隊ト合流ス。
戦力が減ったアムロ達だが、しばらくは粘りを見せたものの戦線を潜り抜けてホワイトベースやグレイファントムが攻撃されるようになり、これ以上は危険だということで本隊と合流を目指した。
ところがどっこい、ジョニー・ライデンが駆るノイエ・ジールと衝突。
ホワイトベース所属機はニュータイプが多い上に何度も戦った経験があるので慌てることはなかったが、グレイファントム所属機は、赤い彗星が来たと勘違いしたっぽくて大慌てして陣形が乱れて混乱するという失態を演じた。
おかげで振り切ろうとした補給に戻った生乳を除くガルバルディαの部隊に捕捉され激戦。
結果、リュウ・ホセイがガルバルディαとの戦闘で重傷、ハヤト・コバヤシが撃破……されるも脱出に成功していて無事、カイ・シデンがノイエ・ジールの右肩から先を切断して撃破はできなかったものの撤退へ追い込む、その際にカイが「この赤い彗星詐欺め!」と言ったとか言ってなかったとか。
そしてアムロ、疲れすぎてぶっ倒れ中。
そのせいでグレイファントム2隻15機のTR-1は6機撃破され、内4人のパイロットが回収された。
アムロがいない戦いにしては大金星だ。
合流した第13独立部隊はしばしの休憩となったようで艦隊の内側に配置された。
もっともジョニー・ライデンが40分後にはノイエ・ジールで戦線に帰って来たのは驚いたがな。
あの護衛艦優秀過ぎるだろ。
とはいえ、ノイエ・ジール1機が戦線から離脱したことは大きい、しかも悪いことにこの時はララァとおまけ……じゃなくてシャアが補給に帰っていたので実際は2機プラスαが戦線から離れていた。
だからといって連邦の勢いが増すかというと、そうでもなかった。
後方から奇襲を仕掛けたビグ・ザムとその部隊は健在で、背水の陣の構えにより死闘を繰り広げていた。
後に知るがビグ・ザムに乗ってたのはフラナガン・ブーンだったらしい、グラブロから随分出世したな。
増援もなければ逃げ道もない、強いて言えばたまにノイエ・ジールが前線で圧力を加えて攻勢が緩むぐらいで挟撃しているとはいえ、劣勢だ。
ビグ・ザムを盾にして艦隊が無事なのはいいがジェネレーターへの負担も多いだろう。
近接戦闘に弱いビグ・ザムだが……
「まさかのスラッシュハーケン」
まるでコードギアスのジークフリートにハドロン砲とフレイア装備してるようなイメージだ。
巨大なトゲ6本が飛び回り、モビルスーツはもちろん戦艦も貫き、有線式なので再利用している。
ブースターも付いていてある程度の追尾性まであるのだから厄介だ。
現在のスペックなら初めての宇宙戦をしてた俺達に勝てたかも?よくよく見るとビグ・ザムの旋回速度も上がってるようだしな。
それにしてもビグ・ザムの稼働時間って20分だって資料で見たけど……明らかに20分以上動いてるよな?
——ん?アレは……おお、ジオンのボールにしてドラム缶のオッゴではないか、ビグ・ザムに張り付いて何かしてるな。
もしかして戦闘をしながら修理と補給をしてるのか?なかなか無茶をするな、まぁそれぐらいのことをしないと勝てない戦いなのは間違いないだろうけど。
補給はオッゴ、その護衛も盾を持つオッゴ、攻撃はビグ・ザム。
なかなかの連携プレイだな。ジオンが悪乗りしてビグ・ザムをビグ・ラング化させかねないほど。
そんなことしたら更に巨大化するからさすがにダメだろう。
なんというか、ジオンはドイツやイギリスみたいに変態兵器を作りそうで心配だ。その一端はジャブロー攻略兵器によくでている。
岩盤を壊したい気持ちはわかるが両腕がドリルのモビルスーツはやり過ぎだろ。大人しく勝手に進む使い捨て無人ドリル作っとけよ。
まぁこの宇宙世紀にネタ兵器は極端に少ないんだけどね。
連邦のモビルスーツ開発が思った以上に進んだためそんなことしてる場合じゃなくなって中止になったんだよな……ぜひ食べてみたかった。
「食べてみたかったといえば、あのビグ・ザム……味落ちてそうだよな」
「確かに……あのトゲトゲした感じはどちらかと言うと病原菌っぽいですね」
「サボテンのステーキだったら救い……なのかな?」
アレって美味いのかね?
「サボテン?」
「ああ、特殊なコロニーにしかないからわからないか、アメリカの荒野を移動中にトゲトゲがいっぱいある植物があっただろ」
「アレですか、腕が生えてるような」
「それがサボテンだ」
「……あれを食べるんですか」
だよなー、どうみても食べるものには見えないよな。
なんて話していると、ジオンのモビルスーツ防衛網を突破した連邦のTR-1が3機が護衛艦まで到達して攻撃、武装はちゃんと実弾であったため護衛艦は必至の迎撃をするが一部が間に合わず、着弾。
砲の多さは弾薬の多さ、着弾で誘爆し、中破程度で済んだのは不幸中の幸いだろうが、これで1枚壁が破られたことになる。
これによりノイエ・ジールの補給に影響が出るだろう。
「ハリネズミも弾薬の多さが仇となったか」
「ビーム兵器にしなかったのはおそらくジェネレーターはほとんどIフィールドに費やされているのでビーム兵器に回せるほど余裕が無いんでしょうね」
「実弾だとそれ単体で稼働する分、用意しやすかったんだろうな」
攻撃に成功したTR-1は目的が達成したのか、無理をせずに交代していく途中で護衛艦が落とされて激怒しているガトーが襲う。
結果はガトーは被弾は多少あったがそれでもほぼ無傷、TR-1は1機が無傷、2機が中破で這々の体で離脱した。
あのTR-1達はなかなか凄腕だなぁ、と思って後で確認すると不死身の第4小隊だった。
1機足りなくね?と思ったら退路の確保をしていたらしい、ちなみに無傷だった1機はサウス・バニングス中尉だった。
さすが不死身と付くだけのことはあるな、ガトーにほとんどダメージが与えられなかったとはいえ逃げることに成功するだけでも大したもんだ。
誰だかわからんが2機はボロボロだったけども。
「これで艦隊戦は連邦が有利に……とはいかないな」
「やはりノイエ・ジールの突破力と攻撃力は洒落になりませんね、私達も味方を守り通せるかわかりませんね」
「ビーム兵器が使えないから攻撃力不足か、やはり実弾武装の強化を考えないとダメか」
今までビームライフルの攻撃力に頼ってきたがIフィールド持ちが出てくるとなると俺達でも苦戦するかもしれない。
……まぁ近接戦闘でぶった斬れば終わりと言えなくもないが。
「帰ったら会社に開発してもらいましょう」
「ミサイルランチャーの攻撃力を上げてもらうかな」
「新しい武装追加は重量も増えますから、それがいいですね」
今まではさすがに4機も同時にIフィールド持ちが出てくるとは思わなかった。
原作でも何故かそんなに量産された装備じゃなかったから無視してたんだよなぁ。
それにしてもこんなことになるなら休戦の渡りを付ける報酬はIフィールドジェネレーターにすればよかった。
俺達がIフィールド持てばジェネレーターの負担無視で更に無双に拍車が掛かるの間違いなしなのに。
「ノイエ・ジールが頑張っているとはいえ……やはり艦隊の砲撃で被害を出し始めてるな」
今まで守っていた護衛艦がソロモンにゆっくり撤退、砲火に晒されることになったジオンの艦隊は攻撃力も上がったが被弾率も上昇した。
まぁムサイって攻撃力こそ高いけど、他は全部サラミスに劣るから仕方ないよな。攻撃力が高いのだってメガ粒子砲の数が多いだけだから偶にノイエ・ジールのIフィールドで消える時があるという笑えないことがあるのもお察し。
フレンドリー・ファイアにならないだけでもマシだろうか?
「しかし戦闘がパターン化されてきたな」
「ノイエ・ジールが攻める、陣崩壊、補給に帰る、陣再構築、ノイエ・ジールが攻める……って感じですね」
既に連邦は321以上393未満のモビルスーツ、32以上36未満の艦を失っている。これは前線の消耗でビグ・ザムとその部隊による被害を除いてだ。
ジオンもモビルスーツ197以上285未満、22以上27未満の艦を失っている。ただしソーラ・システムの被害を除く。
なぜ数字があいまいかというと被弾して沈むか沈まないかわからない程度のダメージだからだ。
中破以上、大破未満などはその後どうなるかわからんからね。
これってジオンの勝利でいい損害なんじゃ?
まだ兵力的に有利なのは連邦だ。
しかし実際問題、このまま戦い続けても決戦が終わった後の被害で経済崩壊を起こすよ。主に戦死者遺族年金とか労働力減少で。
「ジオンはモビルスーツより艦がやられてるな」
「護衛艦の存在があると言っても全てをカバーしてませんからね。それにソーラ・システムのダメージは艦隊が主だったので穴が空き、そこを突かれて被害は拡大しました……それにアムロくんの戦功も大きいですね」
そういや5隻……いや、キレてからもう2隻追加だから7隻か…はアムロの戦功か。
ジオンの艦はモビルスーツの搭載能力が必ずあるため、帰還するのに整理が面倒だろうなぁ。ソロモンがあるとはいえ、一々ソロモンまで帰すのも手間だし、だからといって艦に帰そうにもモビルスーツより艦が沈んじゃってるから絶対無理……まぁスケジュールを組んで交代させりゃいいだけなんだけど。
そういう意味でなら連邦はもっと悲惨、コロンブスに頼っているためにそれが沈んでしまえば補給作業は滞る。
今はモビルスーツに推進剤や弾薬に余裕があるからいいかもしれないが……そろそろやばくね?
事実——
「連邦の攻勢が弱まり始めたな」
「予備兵力をビグ・ザムの隊に振っちゃいましたから余裕がなくなりつつあるようですね。交代で補給しているとどうしても一時的に戦力不足に陥っちゃいますし」
ジオンはそもそもノイエ・ジールが壁となって余裕がある内に補給する余裕があるので継戦能力はジオンが有利。
そのせいでノイエ・ジール以外が大した撃墜数を稼げていないのだが、それはそれ。
「あ、そういや衛星軌道戦は……終わっちゃってるか」
「はい、連邦の惨敗で終決。指揮官らしいマゼラン2隻と護衛のサラミス3隻は撤退に成功し、それ以外は撃墜されるか降伏したようです。ジオン側にそれほど損害はないようです」
おい、連邦。それでいいのか。
あまりにも不甲斐なさ過ぎるだろう。……と、この当時の俺は思ったけど指揮官がゴップで副官がリードだったと知った時には「なんで撤退できたんだ?」と思ったものだ。