第八十二話
連邦が日本と中国のいがみ合いに仲裁として入ったようです。
俺が勝手に表現するならこんな感じ。
「お前等一応連邦に入ってんだからちょっと静かにしようZE」
「なら中国は某(それがし)達に慰謝料と賠償金を寄越すでござる」
「なぜ私達が払わなければいけないアルカ、アレはジオンがやったことヨ。むしろ私達を守れなかった連邦が私達に慰謝料寄越すネ」
「なんでアジア人に金を払わなきゃならないんだYO」
「「あ、人種差別でござる(ネ)」」
「いや、本音が漏れただけで他意はないZO」
「「とりあえず慰謝料と賠償金寄越すでござる(ネ)!!」」
なんの解決にもなってねー。
むしろ火に油を注ぐ、じゃなくて火薬庫で火遊びみたいな危うさをする連邦。
どうも敗戦で影響力が低下して焦っているようで連邦今だ健在!ってところを見せたくて強引にまとめようとして失敗している……余計に影響力を低下させてるのが悲しいところだ。
日本はあまり本格的に参入してない俺達だが、唯一であるムラサメ研究所に日本政府から協力を求められた。
現在ムラサメ研究所ではサイコミュの開発をメインにしていて地上ではあまり有効的な兵器はないんだが一応協力を承諾、正直ニュータイプがいないと使えないサイコミュは俺達以外では使い勝手悪そうだよなぁ。
とりあえずアプサラスIVを若干デザイン(カラーリングとヘッドなど)を変更して製造、提供することにした。
ここでなぜアプサラスIVが出てくるかというと……実はアプサラスIVはニュータイプ専用機なのだ。
アプサラスIIIは巨大な砲台であるのに対してアプサラスIVはファンネルを完全可動砲化、つまり可動砲計60門(前後30門ずつ)とスナイパーライフルを改修したスナイパーライフルIIを前後計4門をサイコミュ制御によって制空圏の確保を重視している。
わかっていたことだが連邦とジオンの戦いで改めて思ったのは価値が若干下がったとはいえ制空圏の確保は重要ということだ。
ジオンも俺達も物量で押すことは不可能、となると質で上回らなければいけない。
実際俺やマリオンちゃんズの質で維持している現状だが、陸戦や水中戦ならともかく空戦に関してはモビルスーツでは限度があるので試験的に日本で運用してみようということになった。
ちなみに製造費はもちろん日本持ちである。
ただし、Iフィールド技術はないので今のところマリオンちゃんズ以外のニュータイプが乗るとデカイ的になる可能性が高いとギニアスが言っていた。
逆にマリオンちゃんズだと全ての攻撃(ビーム兵器を含む)を可動砲で迎撃が可能というシミュレート結果にギニアスは発狂してヒーリングで治したらしい。
さすがマリオンちゃんズ、既に俺の戦闘能力を超えている……あ、そうか、マリオンちゃんズと模擬戦すれば俺も強くなるよね。もちろん1対1だぞ?1対13とかフルボッコなんて言葉が生温くなるようなことはしないぞ。
ちなみにだがアムロの初仕事はハロのモビルスーツの修理整備用OS開発で、そのうちアプサラスIV用も開発して貰う予定だ。
もっともハロ個体では情報量が多すぎて対処できそうにないのでマスターコンピューターからデータを電波で送信、ミノフスキー粒子散布下ではケーブル接続が必要になりそうだという話だ。
開発内容の関係か、最近はよく開発部の華メイ・カーウィンと仲良く話に花を咲かせている。
ん?まさかこのカップリングじゃないよな?年齢的にも4歳差だから問題は少ないし……まぁ社内恋愛は自由だからいいんだけどさ。
「そういやジオンから開発者達がもうすぐ来るんだっけ」
「はい、予定ではもうすぐ到着予定なのでお迎えの用意しておいた方がいいでしょうね」
ほぼ事前休戦協定通り終わり、話し合いの席を設けたことに対しての報酬であるジオニック社、ツィマッド社との技術協力のために開発者、研究者が派遣されてくる。
正直、開発チームはドップブースターの最終調整(試験飛行が既に終了しているらしい……脅威の速さだな)やアプサラスIVの試験製作、水中専用モビルアーマー(スーツになるかも)も開発中、コロニー公社の協力も得ずにコロニーを作らないといけないからそちらも開発中だし、ゲタの開発もしているし、ハロのバリエーション製造と開発チームは多忙なんだが大丈夫か?
断れるわけではないから心配したところで仕方ないんだけどな。
開発、研究設備は用意したから後は各々勝手に交流してくれるだろう。
ウチの連中にはモビルスーツを軸にするよう言ってあるが……まぁ話半分にしか聞いてないだろうな。
結局開発とか研究とかって本人のやる気とひらめき次第なところがあるし。
「お、ご到着か……」
コムサイって……戦時中じゃあるまいし、再利用したい気持ちはわかるけど余裕の無さが出るぞ。
もしかしてそういう情報戦か?……いや俺達にそんなもの仕掛ける理由はないと思うんだが。
ん?先頭を歩くあの男は……
「ブルーニー代表、マリオン副代表お会いできて光栄です。私はジオン公国軍技術中佐、オリヴァー・マイであります」
まさかの原作キャラ、来るのはジオニックとツィマッドだったはずだけども?
なんでドラム缶の親玉の中の人がいるんだよ、しかも中佐って……確か元は中尉だったような。
「ようこそ、ニューギニア特別地区、ブルーパプワへ。暑さの不愉快さや食事の好みが合わないことなどは保証できないが、ナンバーズと共に入れば……そちらにわかりやすくいうと死神の鎌と共にいれば首相官邸より安全だからゆっくりしていってね!!!」
最後のゆっくりボイスにビクッ!としたオリヴァー達をスルーしてパーティー会場へと招待する。
ちなみにだがゆっくりボイスの元データはマリオンちゃんの声なのは企業秘密だ。
歓迎会ぐらいはしないと体裁が悪い……とかいう理由ではなく、ぶっちゃけウチの開発チームを無理やり休ませるための口実だったりする。
あいつら休暇を全然使わずに引きこもってばかりだから偶にはこういうことも必要だろう……とマリオンちゃんが進めた企画である。
最初は不安だったが……思った以上に成功しているようで、盛り上がっている。
会話内容のほとんどが研究、開発発表や討論会になっているけど、もう本能レベルだから小さいことは気にしない。
俺達はズゴックDとドラッツェ、ノイエ・ジールの提供を、俺達からはNT-1の技術を一部提供することになっているんだけど……Iフィールドジェネレーターの技術は貰えないんだよなぁ。
さて、終戦して5ヶ月が経ったわけだが、日本と中国の関係が本格的に戦争ムード突入。
ムラサメ研究所から最新のサイコミュが届き、アプサラスIVの1号機が生産されたんだけど……やっぱり他のパイロットじゃただの的になりました。
アムロがパイロットで試してみたんだが、模擬戦では1時間の制空圏確保ができたがそれまで、マリオンちゃんズだと……うん、キモイ。
だってさ、ビームにビーム当てて相殺して落とすんだぜ?わかってはいたけどさ。
結局撃墜されず、エネルギー切れになるまで戦い続けて航空戦力(航空機とゲタの代わりにドダイに載せたゲルググ)を1000機以上を落とし続けて最終的には推進剤と冷却が間に合わず補給のために終了という結末だった。
うん、Iフィールドいらないなぁ……兵器としては3流ですけどね!!
アムロ達に無理言ってハロをサポートにつけるとニュータイプが乗ればなんとか様になったが……日本に売る予定がマリオンちゃんズを無料派遣することになってしまった。
どこもかしこもIフィールド技術は頑なに俺達に渡そうとしない……もしかして俺達を警戒しているのか?確かに鬼に金棒とかいうレベルじゃなくなるからわからなくもないけど。
「ドップブースターも完成したけど……アプサラスIVの前には霞むなー」
「ですね。しかもアプサラスIVは3機作るとヴィエーチルより安く済みそうなんですよ」
「マジで?」
「はい、実はアプサラスIVは共通規格部品で製造されているのでゲルググやズゴックシリーズと互換が高く設計されていて、維持費や修理費などもお手軽なんですよ。単価が高いのはサイコミュだけですね」
…………あれ?マリオンちゃんズ専用モビルスーツとか要らなくね?
いやいやいや、制圧作戦にはモビルスーツがないと……あ、俺達傭兵だからほとんど制圧作戦なんてしないのか……そもそも死神の陽炎にやらせれば問題ないわけで……あぁ、本当にモビルスーツの価値が……
「そういえばギニアスさんから解決案として3人乗りにして命中精度をあげようという案がありますが」
「ニュータイプ3人も揃えるのは手間なんだけどなぁ。そういえば養殖ニュータイプは今何人いる?」
「えーっと確か20人ほどですけど、正直生産効率が悪いんですよね。一々ヒーリングしないといけませんし」
燃料費もバカにならないし、このへんで止めとくか。
「養殖ニュータイプの5人は地上に降ろして警備部に所属させ、10人はサイド6で死神の陽炎として護衛業に、5人は裏稼業へ回せ」
「そういえばサイド6支部で月の近くに基地を建設する計画があがってますけど、どうします?」
「……コロニー建設の目処がやっとたったのに、今度は海賊用の基地だと?さすがに無理、そんな資金があるなら廃品回収部に回せ!」
「了解です」
目処がたったのは技術面と資材面であって人材面ではなんら解決されてないせいで着手できてないがな!!
広く手を伸ばし過ぎてはち切れそうだよ。
しかもジオン派閥のアイドル・アイナがフラウに汚染されて若干腐ってる気がするんだ。と言うのもこの前聞いてしまったんだ。
「兄さん×シロー……ハッ、私ったら一体何を」
アイナ、そっちの道に行くなら少し君への態度を改めないといけない……そしてフラウ、貴様は日本に強制移住させねばならない。
なぜならマリオンちゃんに悪影響を与える可能性が高いからだ!!
「早く何とかしないと」