第八十五話
グーンもどきの名前がクーンとなった。
ニアミスで俺にとっては逆に覚えづらい。
命名者はフラウ・ボゥだ……お前、転生者だろ。
だからどうしたって話でもあるんだけど、宇宙世紀にSEED持ち出すなよ。
どうも開発チームが設計図の段階で偶々フラウがそれを見た時、グーンになんとなく似ていたのでデザインに注文をつけたらしい。
最初は断っていた開発チームだが「皆さん誰と掛け算して欲しいですか?」の声で折れたそうだ。
マジで追い出すべきじゃないかと思う。
それはともかくクーンはモビルスーツとモビルアーマーとどちらに区別するか悩んだが一応人型っぽいのでモビルスーツにした。
ジオングよりは人型だからな、足あるし……陸地では使わないけど。
一応試作機ができたので、初の完璧オリジナルモビルスーツであるBPN-2クーンの完成だ。
水上仕様装備はオプション装備だから型番はつかない。というか気にしてないというのが正しいか。
クーンという名前のせいで何処かのモビルスーツみたいに熊ではなく犬耳をつけようかって話があったが全力で却下した。
萌えキャラ化するのはIIIをさんと読むモビルスーツだけでいいのだ。
弾幕の大事さを戦訓にオプション装備に背中に切り離し可能な魚雷ミサイルポッドを提案、可決され開発がスタートしている。
もっともクーンの実働が可能になるまで後1ヶ月は掛かるという話だ。
ちなみに現在の日時は0080/12月、日本では真冬であるがニューギニア島は赤道付近なので一年中蒸し暑いから四季がないのは残念だ。ああ、でも雨が多くて嫌になる。
そういえばフラウが期待していた夏コミ、いやコミケだが……今年は中止になった。
理由は戦争準備に沸騰している状態が今だに続いているので自粛すると運営側の判断だ。
そりゃもうフラウさんが荒れた荒れた。
何回マリオンちゃんズに模擬弾を撃ち込まれて気絶したことか……おかげでフラウさんは超右翼派になってて「ちょっと日本に助っ人に行ってくる!」と言って聞かない。
まだ戦争じゃないんだから持て余すだけだろ……あ、そういや死神の陽炎に戦闘訓練の依頼が来てたな。
せっかくだし受けるか?
それにしても戦争するすると言いつつしない日本と中国。
まぁまだ準備中だし、と言えばそれまでだけど良く勢いで戦争しなかったな。
そういや、日本のモビルスーツ情報が少し入ってきた。
エース機と量産機があるがとりあえずエース機から紹介。
名前はヤマト……うん、気持ちはわかる……が、どうなんだそれは。
系譜的には陸戦型ガンダムの系譜らしい、つまり俺達の親戚だな。
地上戦しか考えていないため陸戦型ガンダムのデータを重視してザクIIJ型の魔改造で培ったノウハウで作り上げたモビルスーツ。
俺達が作った以外では初の完全オリジナル機体(今までは小手先で改造、改修した機体)で、陸戦型ガンダムのデータを元にしているだけあって見た目は陸戦型ガンダムにそっくりだが全体的に角ばったイメージがあるフォルムが若干丸みを帯びてるところが違うかな。
武装とか未公表、ハッキングでもわからなかった。
見た目は陸戦型ガンダムなんだから武装も大きく変わらないとは思うが……まさかKATANAはもってないよな?
連邦もモビルスーツ開発している……かと思いきや、TR-1の仕上がりが良くて、バリエーションやオプション装備などの開発はしているが新規開発はしていない……と表向きはなっている。
連邦は、と言うよりコーウェンが原作通りガンダム開発計画を水面下で進めているらしい。
ただし原作と違うのはGP01がGP03に、GP02はTR-1に替わるの高性能モビルスーツの開発、つまりGP01に、GP03は連邦のニュータイプ(認定自体はアムロ、セイラ、ハヤト、カイの4名)、ジオンのニュータイプ部隊の活躍により、ニュータイプの研究が本格的に行われているのでニュータイプ用モビルスーツの開発、と原作のガンダム開発計画とは随分違った形となった。
やはりノイエ・ジール無双が響いたのか対抗するように大型モビルスーツorモビルアーマーの開発に躍起になっているようだがIフィールド技術そのものはあるものの基地に施すのがやっとの大型の物しかないので小型化などは今から本格的な開発になるのでいつになるやら。
原作のGP02が担った核武装に関してはGP01に搭載可能にするようだ。
よくよく考えてみれば原作のGP02の核武装ってGP03に搭載しても問題ないよな……あ、でも自分のシールドを溶かすほどの威力なんだっけ?ならもう少し小規模の核武装になるかもね。
GP02はわかりやすく、次世代モビルスーツの開発。
TR-1自体はジャミトフ派の開発したものなんでそのまま使うのは気に入らないんだろう。
そしてある種、一番驚きのニュータイプ研究の本格化だ。
GP01、02は多少順位が変わっているとはいえほぼ原作通り、しかしGP03は完全にオリジナル。
もしかするとガンダムMk-IVが、もしくは劣化品が生まれるかもしれないな。
まぁムーバルフレームの開発はまだみたいだから厳密に言うと旧式ガンダムにインコム付けただけだけどな。
こんなに具体的な情報が入ってくるのはコーウェンのライバルであるジャミトフが惜しみなく情報提供してくれるからだ。
そして俺達にとっては動向を注目するジャミトフは日本と中国、そして連邦とロシアが緊張状態であり、いつでも動かせる精鋭部隊の設立に成功した。
国境特殊部隊ティターンズの誕生、名前は原作通りだけど内容に多少の違いがあるな。
日本と中国には現状連邦の部隊は火に油を注ぐようなことになりかねないので配備されていないため、何かあった時に対処できない、ロシアは特別地区化が議題に上がっていたが承認されず、結局緊張状態のまま停戦しているだけとなった。
それに対してずっと多くの軍を配備するのは経済疲弊している現状では厳しく、ジャミトフの話は連邦にとって渡りに船で簡単に乗った。まぁ裏で根回ししてからだろうけど。
原作キャラでティターンズの構成員に入っているのは以下の通りだ。
総責任者:ジャミトフ・ハイマン中将
総司令官;イーサン・ライヤー少将
実働部隊指揮官:コジマ大佐
実働部隊副官:ジャマイカン・ダニガン少佐
その他佐官達(艦長とか基地司令など)
キルスティン・ロンバート中佐
その他パイロット達
ヤザン・ゲーブル(とダンケル、ラムサス達)
フォルド・ロムフェロー
ルース・カッセル(などガンダム外伝の宇宙、閃光の果てに…のキャラ達全員)
以上。
外伝キャラが参入したことでパイロット層が厚くなった。
ティターンズのメインキャラであるジェリドやカクリコン、マウアーとかまだ居ないんだよねー。
そして致命傷なのは設立時期が早すぎて不死身の第4小隊がサウス・バニングさんの生存で移らなかったことだろうな。
ジャミトフも結構悔しがってた。
それとまだ組織自体が小さいためかモビルスーツ開発はTR-1のオプション装備による状況適応能力を高めるに留めているのでウチのクーンを買い付けてくれる可能性がある。
SFSは連邦、ティターンズ、ジオン地球領に打診したところ、ティターンズがその機動力に目をつけて買ってくれることになった。
元々少数精鋭なので機動力で補おうという狙いだ。
ティターンズ自体がそれほど大きくなっていないのでそれほど大きい契約ではないが俺達もクーンやドップ、ルッグン、ゲルググの生産に力を入れているのでバランスが取れていて助かる。
連邦、ジオン地球領はそんな余裕はないと素っ気なく断られた……まぁいいけどな。
そうそう、フィッシュボーンはライセンス生産に移行した。
連邦やジオン、サイド6など他国がメインだが一応ニューギニア特別地区内でも2社ほど生産している企業があるおかげでフィッシュボーンを他国から買うなんてマヌケなことをしなくて済むようになったのはちょっと嬉しい。
ニューギニア特別地区を独裁したいが経済まで全てを独占するつもりはない。基盤が弱すぎて結果的に独占状態になっているだけなので少し活性化してきたということだろう。
もっとも一番好景気なのは一次産業、特に農業なんだけどな。
サイド6への輸出でかなりの利益が上げているし、輸入食品も利益を上げている。
最初は輸入食品の不味さに売れないだろ、と苦笑いしていたのだが……あることを忘れていた。
それは転売だ。
サイド3から連邦に食料が安く提供しているが店頭に並べられると普通の価格になっているというのは以前知った。
それならば俺達が低価格で販売すればいいんじゃね?となったわけだ。
幸い連邦に対して輸出するための難関である食料品の関税は食料不足で高くない。つまり売り抜けするにはいい環境だったわけで……うん、めっちゃボロ儲けさせてもらったぜ。
ついでにサイド3から連邦に売るはずの食料をジャミトフに回してもらったりもした。
こっちは儲からないんだけど、ボロ儲けさせてもらった恩返しに安く提供する食料を多くした。
「そういえば何処から聞きつけたのか、チベットのラサの秘密基地を利用させてくれってジャミトフから要請があった」
「私達の持ち物という扱いになったので、連邦にも現在の中国政府にも干渉してこないことを狙ってでしょうね」
んー、日本と中国のことが安定するまでという期限付きということでいいならいいかな。
まだニューギニア特別地区もコロニーのこともサイド6支部のこともあるし……一応ギニアスにお伺い立てとくか。
「それとフラウさんから同人誌即売会の企画書が——」
「否決!却下!棄却!破棄!廃棄!未承認!死刑!」