最近調子よく書けていたのですが、今日はものすごく眠たくてギブアップです。
申し訳ありません。
第百四十一話
数を大きく減らしたティターンズではあるが、コロニーレーザーが放たれたことでしばらくは再発射されるには時間が掛かることで心置きなく戦うことができる……のだが——
「閣下、私に指揮を任せるというのであればルナツーへ撤退させますがよろしいでしょうか」
司令官として指名されたガディ・キンゼーは返事をする前にそう進言した。
ティターンズの切り札であるはずのコロニーレーザーは敵に奪われ、技術の粋を結集して作り上げられた最強を名乗る予定であったTR-6は敗北、現場の再興司令官であるバスク、副司令とも言えるジャマイカンの戦死とそれに伴うドゴス・ギア、アレキサンドリアという艦艇の消滅、マゼラン級、サラミス級という艦隊の消滅、母艦を失ったことによるMS隊の混乱、未だに暴れ続けるクィン・マンサ・パノプリアやアレン・ジール、おまけにZガンダムや百式……明らかな負け戦、後の選択肢は誇りを胸に徹底抗戦か、どれだけ被害を抑えて撤退するか、降伏するか否か、その程度の差しかなく、逆転の一手があるようにはとても思えないのだ。
「……ゼダンの門の退避命令を出せ、その間全軍の時間を稼ぐのだ」
「わかりました。できるだけ保たせてみせますが……あの怪物を相手にいつまで抑えられるかはわかりませんが」
「サイコガンダムmk-IIを出す」
「しかし、あれはパイロットがいないという話ではありませんでしたか?」
「ガンダムmk-IVに乗るマウアー・ファラオが操縦できるはずだ。本人の意向でガンダムmk-IVの方が向いているという話だったが……どうやらガンダムmk-IVも限界のようだしな」
カミーユとクワトロという強敵を相手に生き残っているのはさすがだが、ガンダムmk-IVの特徴であるインコムは既に壊され、左腕はどこか破損しているようで動く気配がない上に装甲のあっちこっち融解してしまっている。
この状態ならまだサイコガンダムmk-IIの方がマシだろうというのがジャミトフの判断である。
「そのようですな……通信士、マウアー・ファラオに救援部隊を向かわせろ。ゼダンの門に引き上げさせるんだ」
「はい……あ、あの白い大型MSが後退していきます!」
通信士の声を聞いて、ジャミトフとガディはそれぞれモニターを見る。するとその報告が嘘ではないことが見て取れた。
(首の皮一枚繋がった、と言ったところか)
(それでもまだあっちの巨大MAがいる。油断はできんな)
あのまま一騎当千を続けられていれば撤退もなにもなく、軍は崩壊していただろうとジャミトフは冷や汗を掻きながらも決して表に出さないように心がけた。
ガディもまだまだ予断を許さない現状に一段と気持ちを引き締める。
「ガディ司令官、これをどう思う」
「継戦能力にが短いのか、それとも機体トラブル、それかパイロットが強化人間で精神が不安定になったのかもしれません」
「なるほど」
「こ、これは……申し上げます!あの白い巨大MSのパイロットはアクシズ宰相、ハマーン・カーンであることが確認されました」
その声を聞いてジャミトフは、宰相が戦場の戦闘を駆けるとはどこの戦国時代の武将だ、と心で愚痴る。
ガディはそれを聞き、クィン・マンサの撤退はひょっとするとTR-6を撃破して役割を終えたからなのではないかと考え、ジャミトフに伝えると——
「確かに宰相を前線にずっと貼り付けるわけにはいかんからな」
そもそもMSで戦場に出てくること自体が間違っているのだが、これにはある一定の理屈が通り、説得力を持たせたが、実際は高官達の帰ってこい通信と補給、そして何より他のパイロット達の仕事を奪ってしまっては後で恨まれると思ったから撤退したに過ぎない。
手柄を求めて人を殺し、自身の命を切り売りする兵士達のその姿をハマーンは嫌っているのだがもちろん表情に出すことはなかったが。
「では、失礼します」
「サイコガンダムmk-IIはこちらで手はずを整いておくので心配はするな」
「ハッ」
幸い切り落とされた四肢はTRシリーズに使われていたフレーム、ギガンティッは元々サイコガンダムmk-IIのものである以上、それほど複雑な整備はあまり必要ないだろう、とゼダンの門を統括しているジャミトフは思う。
「これで多少は保つだろう。問題はコロニーレーザーか」
コロニーレーザーを分離したグリプス2には軍が居ないため、ゼダンの門で籠城するよりも悪手だろう。
(ならばコロニーレーザーの奪還かルナツーに撤退か……どちらにしても辛い戦いとなるか)
モニターには次々と消える味方の反応に背後から徐々にナイフが近づいていると感じた。