申し訳ない。
体調が悪くて短くなりました。
第百七十三話
カミーユの思い悩む思念波が鬱陶しいがファやフォウなど支える者が多いので時間が解決することだろう
ジャミトフの方は……カミーユの事情は把握しているようだが、特に何か思うところはないようだ。むしろプルシリーズ……プル24が戦死したことに若干引け目を感じているらしい。
そのせいかは知らないが、プルシリーズの要望を採用しやすい困った状態になっている……本当にプルシリーズのおじいちゃんになりそうな勢いである。
とりあえず軽くお話(躾)をしたので大丈夫だとは思うが……プル達にも念を入れて言っておかないな。
「プルシリーズも250人となったか……母艦運用やミソロギアの整備にはまだ数が足りないな」
ミソロギアは要所のメンテ用は触手を設置して私が行っているのが現状だ。つまり私が長期的にミソロギアを離れることができないのだ。
そのような現状で母艦運用なんてできるはずもない……一応訓練はさせているのだが、そちらもイマイチなのだ。
どうもMSより安全な母艦にいると元々能天気な気質を持つプルシリーズには退屈で気が緩んでしまうようなのだ。
特に戦争を経験していないプルシリーズは顕著だ。
薄々とはわかってはいたが自分達の居場所が最初からあるというのは安心感とともに平和ボケも引き起こすのは間違いないな。
不安定だからこそ安定することもある……不思議なものだ。
「以前の私ならどうしていただろうか」
過去の私と現在の私はかなり違っているのはわかる。
私自身も今が安定しているから平和ボケしている気がするのだ。
「………………よし、半殺しにしよう」
「ハ?!」
近くに居たカミーユが何か驚いているが気にしない。
そう、私は以前からフェミニストだ。そしてプルシリーズを娘であると思っている……だがしかし忘れてはいけない。
私は……
研究者だ。
<カミーユ・ビダン>
「で、その結果がこれか」
一面同じ顔立ちの100人の屍……じゃなくて気絶している風景である。
「ふん、私1人相手にこの結果とは……情けないな。これでは——将来間違いなく自身が死ぬ。姉妹を殺す。私を殺す」
俺にはアレンの動き……触手の動きが神がかっていたと思うんだが、アレンはそれでは納得できないようだ。
「私程度は最低でも3人で倒してもらわねば困るんだが……」
いや、さすがにそれは無理だろ。
「ここには居ない実戦経験を積んでいるプルシリーズはだいたいできる」
そうなのか、じゃあ実戦経験の差なんだろうか。
「いや、どちらかと言うと真剣さが足りない。やはり命の重さを理解できていないのか?」
命の重さ……確かに、上のプル達と違って下のプル達は何処か生きているということを実感していない言動が目立つ気がする。
「やはり……生きているだけで素晴らしいことだと思わせなければならないな。しばらくはこれを続ければ多少はマシになるだろう」
ジャミトフが何か言ってきそうだがな、と苦笑いを浮かべて呟く。
ジャミトフ……色々思うところはあるが、話してみたら少し偉そうだが普通の大人だった。
あんな普通の大人が俺の両親を殺したり、コロニーの住人を虐殺したり、一時の間とはいえ、連邦を掌握していたなんてとても思えない。それなら目の前にいるアレンの方がよほど危険な気配を醸し出している。
そう思うと世の中が凄く怖くなった。
アレンのような危険とわかる存在であれば警戒できるが、隣りにいる普通の住人が実は狂気に満ちていた……なんてことが普通にあり得る。
そういう意味ではここは過ごしやすい。特殊な人間ばかりだが良くも悪くも分かりやすい人間が集まっているだ。ジャミトフだけは若干怪しいが……。
この過ごしやすい場所は既に俺の居場所でもある。だから——
「俺も何か協力しよう」
こういう言葉も自然と出た。
色々思うところがあろうと、間違いなくここは俺達の家なのだから。