書いていた途中でPCが勝手に再起動してデータが飛んでしまい短くなりました。
第百八十三話
演習の最後についてはプルツー以外のプルシリーズから非難轟々だった。
カミーユは実戦経験があり、プルツーは責任を持つ立場となったことと元々の性格もあって反省することはあっても何か私の行いに文句の1つも言うことはない。
実際母艦の護衛に実力に不安があるプルシリーズを混ぜていたことに反省していた。
スナイパーという人種に未だに会ったことないので分からないが、知識としては狙撃時には無心の境地にあるというものがあり、そのことを考えると今回の狙撃のように、プルシリーズでは察知しづらいことが考えられる。
この場合、下手なニュータイプなどよりかなり厄介な存在ということになるわけだ。
そういう意味ではスミレの開発している未来予測システムの完成が待ち遠しい。
一応形にはなってきているのだが、まだMSサイズに収まるものではない上に、プルシリーズが使うと副作用として二日酔いより酷い酔いが起こり、私が使うとエラーが吹き荒れるため使い物にならないのだ。
しかし、唯一と言ってもいい脅威を分からせたこと、勝敗はともかく戦術に間違いはなかったことから派遣部隊としては申し分ないだろうと改めて思い、海賊狩りへの派遣を決定した。
「もっとも最初は私もこっそりついていくのだがな」
「アレン1人卑怯よ」
「ならフォウもついていくか?一緒に行けばカミーユを甘やかす要因になると言うことで外したが、別行動なら特に問題ないぞ」
「もちろんついていくわ」
こうして同行者が1人増えることとなった。
「ところで……フォウ、お前……少し……いや、なんでもない」
フォウから強烈な思念を感じて続きを言うのを止めた。
……明らかに太っているよな?
(全部アレンのお菓子のせいよ)
……作り置きしている菓子が随分減るのが早いと思っていたが……犯人はお前か……いやいや、私の組み立てた訓練メニューを受けて尚太るってどれだけ食べてるんだ。
妊娠の可能性も考慮してチェックしてみたが……そうでもないようだし……謎だ。もしかするとこれが幸せ太りというやつか?
「ということでしばらく留守にするのでジャミトフ、任せた」
「良いのかね?私にここを任せて。ひょっとするとプル達を扇動して乗っ取るかもしれないぞ」
「別に構わないぞ。ジャミトフならプル達を無碍にすることもないだろうし……取り返すこともアッティスさえあれば問題ない。ただ、カミーユ達を引き離すのは——」
「戯言だ。本気にするな」
「冗談だ。気にするな」
「「……くっくっく」」
そんなことは私もジャミトフもわかっている。
わかっていても言い合えるというのはそれだけの関係を築けたと言える。
まぁ実際お互いが言っていることは正しいだろう。ジャミトフならプルシリーズを上手く扇動することができるだろうし、私がプルシリーズを敵に回してもミソロギアを取り返すことができることも、だ。
もっとも扇動に参加するのは後期ロットのプルシリーズのみで、初期、中期のプルシリーズは不参加となるからこそ取り返せると断言できるのだがな。
カミーユ達が海賊狩りへと出発、1日遅れで私達も出発した。
海賊の居場所は予め私がサイコミュをフル稼働させて捕捉しており、カミーユ達が遭遇できなかった場合、改めて通信で座標を送る手筈になっている。
もし、この方法で海賊の居場所がわからなかったら私達だけでは海賊狩りを行うことができなかっただろう。それに私達がカミーユ達を見失うこともない。自身のニュータイプの才能に感謝だ。
ちなみに私達が追跡していることをカミーユ達は知らないわけだが——
「この状態を見てカミーユは嫉妬すると思うか?」
「あら、アレンも随分俗っぽいことを考えるのね。お生憎様、私とアレンが、なんてもう1度コロニー落としがされるよりないわ」
「いや、人間というものはそういうこと関係なく嫉妬するものだ。例えば……カミーユは今、プルシリーズに囲まれている。俗に言う花の園なわけだ。もしかすると——」
「そんなわけないわ」
「最近プルツーと随分と親しいようだがなぁ」
「……」
ほら、少し不安になってきただろう?人間なんて弱い生き物なのだ。本人達ですらどうなるかわからないこともかなり多い。
特に生死の掛かる戦場に今から出向くのだからな。
ちなみにプルツーと親しいというのはただ単に副官であるからなのだが、前置きにありえないことを挟んだ後で本命かのように言うと心に隙ができ、信憑性が増す効果がある。
この話題の本命はフォウに不安を抱かせてニュータイプの才能を伸ばすことであったりする。