最近、文量が少なく、中身も薄くて申し訳ありません。
ここのところスランプの上に、確定申告で忙しくて時間が取れていません。
もう少ししたら余裕ができる……かもしれませんので気長にお待ち下さい。
第百八十九話
「苦節100時間、ようやく治療ユニットが完成だ」
「父様、苦節という言葉を1度辞書で引いて確認すべきです」
天才である私が100時間も掛けたのだから間違ってはいない。
そもそもサイコミュなど近年に研究を始めたジャンルとは違い、治療、つまり医学というものはもう数千年も研究されてきたお題目である。
それだけの膨大な時間を研究に費やされている以上、100時間も費やしてしまったことは不覚としか言えない。
「理屈はわからなくもないですけど、逆説的にはそれだけの時間を掛けた今でも解明しきれない医学なのですから簡単に常識を覆すような発明はできない……はずなんですけどねぇー」
この治療ユニットはプルシリーズの身体データ(基は同じだが年月が経てば当然、個体差が生まれる)を読み取り保存、それを再現するものである。
ちなみにこの治療ユニットの原案というかブレイクスルーというか、とりあえず、基となったのは野菜人を4、50分で完全回復させたものを再現してみようと思ったのだ。
もっともそれほど短期間で治療させることは現実的ではないのであくまでモデルにした程度ではあるが。
「ものすごく力技感ですけどね」
「力技であろうが何であろうが生きてさえいれば私が元に戻せるのだから問題ない」
ただし、治療に3時間ほど掛かる上に、この段階ではMS戦闘に耐えられず、耐えうるまでの強度を得るまでには更に6時間ほど掛かるような中途半端な出来だ。
それに内臓などが欠損するなどした場合、治療と言いつつ穴埋めを行うことしかできず、身体を維持する機能は欠片もない。
そのため定期的に薬剤を服用する必要がある。ついでにこの薬剤はプルシリーズに配布しているプロテインほど副作用はない……ないが、味が、恐ろしく不味いのだ。
どの程度不味いのかというと具体的には言い表せない。なぜなら嫌な予感がしてシミュレートをしてみた結果、私が飲むと死ぬ、いや、通常の人間が飲むとあまりの不味さに死ぬらしいという結果が出た。
だから試飲はしていない。まぁ例え試飲していたところで表現できていたかは別問題だろうが。
もちろん常人であれば致死の不味さであるが、プルシリーズなら……きっとプルシリーズなら耐えてくれると信じている。シミュレート結果は服用可だったからな。
「服用できるけど無事ではすまない……さすが父様、ぎりぎりを攻めますね」
色々問題はあるが、第1段階の治療が終われば母艦のクルーとしてなら活動に支障はない。つまり戦線に出れる人員を練度の差こそあるが、ある程度補うことができる。
「そこまでして戦わされるプル達が可哀想です」
「いえ、それは問題ありません。私達は父様のために存在するのですから」
プルツーの忠誠心は揺らぐことはないようだ。ぜひとも薬剤を服用した後もそうであって欲しいものだ。
「……前々から思っていたが、ここは俗世と隔離されていて良かったと心から思う」
とジャミトフがしみじみと言っている。
確かに私が発明したものが世に出回れば混乱は必至だろう。
特に寿命が伸びることによって生まれる弊害……折角宇宙に棄民したというのに平均寿命が100歳などになってしまっては人類の増加は歯止めが効かなくなる。
それに私なら女性の出産年齢を上にも下にも大幅に拡大することが可能だ。……ふむ、上に、はともかく、下に拡大はもしかするといい収入源に……いや、寿命を延ばす方が時間効率が良いか。