第百九十六話
気になる少年達を引き入れるのに丁度良くサイド1からカミーユ隊に海賊討伐の依頼が入っていたので向かわせることとした。
ちなみにカミーユ隊の出撃は結成されてから5度目であり、アナハイムとエゥーゴとティターンズから襲撃を受けたのは3度目の任務の時である。
さて、あえて出撃を隠すことなく、堂々と送り出すが……アナハイムはどう出るかな?せっかくのプルツー専用機ができたのだから試験運転には海賊などという雑魚ではなく、もう少し歯ごたえがあるものが出てきてくれればいいデータが取れる。
ただし、心配なことが1つだけある。
それは……カミーユに少年達の勧誘を頼んだのだが、どうも乗り気ではないのだ。一応伝えるとは言っていたが……カミーユが心もとないとなれば、もう1人の交渉人であるプルツーだけが頼りである。頼むぞ。
調べた限り、件の少年達の中で1番才能を感じるジュドー・アーシタは両親はシャングリラ内では仕事がなく、出稼ぎに出ており、ジュドー・アーシタとその妹だけで暮らしているらしい。
そしてジュドー・アーシタはその妹を少しでも良い教育機関に入れようと労働基準法違反、宇宙作業無資格、脱税、ジャンク屋に対する営業妨害、他にも起訴こそされなかったが暴行行為など多数の犯罪行為を行っていたようだ。
そんなに良い教育機関に入れたいなら私が面倒をみようか、と呟いたところ、スミレやカミーユはともかく、ジャミトフやプルシリーズからまでも「それはない」とツッコまれてしまった……なぜだ。
本当はこのような弱み……耳障りが悪いというなら交渉材料があるのだから私自身が交渉に赴きたいところであったが、なぜかここのところ回ってくる書類の量がいつも以上に多いので断念した。
「それにやりたいことがあったからな」
やりたいことというのは……私の専用機……厳密に言えば専用艦のとは違った用途の戦艦の設計である。
不死鳥の会とネオ・ジオンの協力のおかげで資源は充実してきたため、生産レーンが空き次第製造に入れるように今のうちに設計しておこうというのだ。
元々アッティスは採掘船を改造したものであるし、研究施設や居住施設を充実させているばかりに戦闘に適しているとは言えない。
そこで本格的な戦争状態に、いや、正確にはミソロギアの防衛戦に適した戦闘に特化した戦艦を、と考えたのだ。
設計はまだだが、予定ではデザインはグワジン級をリスペクトし、全長400mと若干小型化し(参考資料:グワジン級が440m)、防御機能はIフィールド発生装置はもちろん、リック・ディアスに施していたようにチョバムアーマー、スペースド・アーマー、リアクティブ・アーマーなどを施す。
武装は砲もグワジン級に倣って連装メガ粒子砲を3門、ただしパノプリアに装備しているメガ・ブースターで高出力化が可能、触手30本(武装であって艦内を含まない)、ファンネル150基、クィン・マンサ級のMSを40機搭載予定だ。
他にもPLSやサイコミュを6台を搭載させる。
兵器部品の生産設備は搭載するが、MSやファンネル自体の生産設備は省略する。これはミソロギア近郊で戦うことを前提としているため、生産が必要ならそちらを頼ることが可能であるという判断だ。
そして、この艦はサイコミュによる完全なワンマンオペレーション、つまり私が単身で乗り込む艦であるため居住区などは私自身のものすらベット1つと家庭用冷蔵庫ぐらいで、MS搭載予定数である40人の部屋すらも雑魚寝の大部屋ぐらいしか用意していない本当に戦闘に特化した戦艦にする予定である。当然研究施設も存在しない……存在しないのだっ。
ただし、そのMS搭載もMDの予定なのだから大部屋すらも必要か疑問がある。