第二百十一話
ジュドー達を迎い入れて4ヶ月、今は0092年8月半ばで相変わらずジュドー達の教育はプルシリーズが、リィナとエルの教育は私とスミレが担当している。
教育と並行して研究もしているために時間がなく、直に見ることができず、ジュドー達の成長はデータ上でしか知ることができずにいる……が、順調に成長しているようだし特に問題はないだろう。
それよりもプルシリーズが800人となったことでミソロギアは一段と騒がしくなった。
今回は今までにない規模での増員で思った以上に手間取り、苦労している。
やはり少し急ぎ過ぎたか?しかし、アナハイム一派との抗争を考慮すれば後1500人は必要だという計算だ。(ちなみに勝つための人数ではなく圧勝するための人数である)
そういえば、幼児期を飛ばして増えるプルシリーズに慣れていないジュドー達は目を白黒させていたが……まぁ2、3度経験すれば慣れるだろう。ジャミトフやカミーユもそんな感じだったからな。
それと今までカミーユ隊を優先していたばかりにストラティオティスはミソロギアには配備されていなかったのだが何とか5機配備することができた。
もっともキュベレイが30機に機種はバラバラだから省くがMDが100機ほど、そして私のアッティスという戦力があればよほどのことが無い限りミソロギアを落とすことは叶わんだろうがな。
「いっそ質より量でキュベレイも生産すべきか?いや、乱戦時のファンネル使用はエスティシスがなければ半減する以上、数を増やしても効率が……しかしやはり数は力でもある……どうしたものか」
そういえば、話は変わるが、ここのところこれだけ軍需に傾倒しているというのに財政には余裕が生まれている。
不死鳥の会が交易所に進出し、更にアクシズへと進出したことが大きく影響して随分と交易所が賑やかになった。
「ただ、交易所のスペースもそろそろ——む」
遠くから敵意を感じる。
全く、忙しいというのに面倒なことだな。
ミソロギアの一室、サイコミュが複数台設置された私専用に用意されているMDコントロールルームだ。
「……ハァ、またアナハイムか」
交易路の治安維持に活用しようとMDを設置したのはいいが、これを操作するのは私自身であることをすっかり忘れていた。
最近、アナハイムが嫌がらせというには物騒な嫌がらせが増えているわけだが、それはカミーユ隊に限ってのことではなくなっていた。
設置していたMDを襲う海賊()がここのところ多くて困る。
どうあらMDがただの無人兵器であると思っているらしく、鹵獲すれば自分達のものにできるという思惑らしいが、残念ながら無人兵器ではあっても完全な無人ではないから意味がない……のだが、そんなことを教えるわけもなく、襲われて撃退するということの繰り返すことになっているのが現状だ。
「自分で仕事を増やしていたら世話がないな」
さて、今回はどんな相手かな。
MD母艦(大型ミサイル艦艇と呼んでいた艦)から周辺に危険があることを知らせる信号弾を打ち上げてからMD4機を発進させ、敵意のある方に進める。
ついでに近くに流れているMD母艦2隻も万が一に備えとして移動させる。
「さて、折角私直々が相手するのだから面白い相手であって欲しいものだな」
まぁ今までの経験からどうせ外れだろうがな。
これまで撃退したのはザクI、ザクII、ザクスナイパータイプ、グフ宇宙型……というか宇宙で動けるようにしたグフと言った方が正確か……これを見たときは目を疑った。なぜわざわざ地上用を宇宙仕様にしたのか理解に苦しむMSなど、本気度0の編成だったのだ。(ちなみに収録(戦闘)後、スタッフ(アレン)が美味しく(リサイクル)いただきました)
ちなみになぜこんな本気度0なのかというと、MDは表向きミノフスキー粒子散布下で、しかも謎技術(奴らからすれば)敵意や悪意などを察知して無人兵器なんてものであるため信用性がないこともあって今は犯罪者相手でも人を殺さないことで運用されている。つまり、舐められているわけだ。
そういうわけで期待ができないのだ。
「……んー……判断に迷うな」
MDを通して目に入ってきたのはメタスが5機……メタスって量産されていたのか?しかし、カラーが違うあたり何か違いが——
「おっと、随分強力なビームだな。見かけはほぼメタスだが改造機か後継機と言ったところか……そういえばZの後継機はメタスの変形機構をモデルにしたのだったな」
ならメタスの量産して不思議は……いや、やっぱりZで良くないか?