第二百四十二話
ミノフスキー推進(ミノフスキーで推進力を得る方法にアレンが付けた仮称。ちなみにミノフスキー・ドライブはミノフスキーの反発で推進するものでミノフスキー推進は直接粒子をぶつけて推進力を得るので別物です)をミソロギアの推進力とするために大改造……の前にとりあえず、亜流サイコミュを試作することにした。
「……思った以上に情報処理能力が上がってますね」
「そうだな。分散させていることを差し引いても小型化に成功したようだし……なぜこうなったんだ?」
「さあ?」
ちょっとハイテンションであれもこれもとそれもどれもとやっているといつの間にかこんなことになってしまった……まぁ研究者なら勢いとひらめきでこのようなことはいくらでもあるので細かいことは気にしないでおく。一応逐一記録は取っているので後で再現することも難しくはないからな。
ちなみにこれの名前はアンダーサイコミュという名となった。
「試算ではキュベレイ・ストラティオティスを30トンは軽くなると出たが、さて……このスペースはどうすべきかな。そのままサイズダウンさせるか、それとも武装を強化させるか、スラスターを増設させて機動性や運動性を上げるか、それとも何か別の物を考えるか」
機体そのものを小型化させればその分だけ被弾する面積が小さくなる。質量というパワーは減ってしまうがそもそもニュータイプが質量という名のパワーを使うような殴り合いなど発生することは稀なので選択肢としてはアリだ。
武装強化は言わずもがな……ではあるのだが、最近ビームコーティング技術の発展は目覚ましく、ストラティオティス自体の出力では問題はないが、ファンネルの出力では心許無く感じてきているためファンネルの出力増強(大型化)も選択肢の1つだ。
スラスターに関してはサイズダウンさせるのと増設がどちらが優れているかは要検討だ。
他のなにか、というのは——
「未来予測システムを搭載するというのもありだろうな」
「まだ満足のいく完成とはとても言えないんですけど、載せれなくはないですね。実践テストはまだですけど」
近接戦闘で有利に働く未来予測システムを搭載させることは、中、遠距離を制する私達にとって大きな意味を持つ。
ちなみに私がこのシステムを使っても意味はないことが判明している。最初こそ負担が少ないか?と思いはしたが私が視る未来はこのシステムが導き出す未来よりも精度が高く、より先を見通すことができ、結果的に疲労度もさほど変わりないことがわかっているからだ。
「とりあえず、ミソロギアにこれを施すのは確定だな」
「ええ、通常のサイコミュよりも高性能で場所も取りませんからね。問題は今のままですとしばらくはアレンさんに製造をお願いするしかないということです」
「いつも通りといえばいつも通りだな」
「それを常態化させるのは十分問題だと思いますよ。研究に支障があるでしょうし」
私自ら仕上げる必要があるのはサイコミュ、Iフィールド発生装置、バイオセンサー、強化人間型OSの本体とその周辺機器、PLS、対Gスーツと重要度が高い物が多い……これは一種のブラックボックス化でもある。
元々他国にも存在するPLSと対Gスーツ以外の技術は私とスミレの手によって高性能化が行われている。それを他国に渡すのは勿体無い……というのが表向きの理由で、本当のところは自分達が満足できる性能にした結果、機械では再現できなかっただけであるが……機械によって再現するとなると性能は大体20%ダウンし、サイズは3倍ほどになり、実戦に耐えられるものではなくなる上に製造コストは通常の物より10倍は軽く上回ることになるという完璧な流出防止策である。
と色々言ったが結局は自分達の欲を満たしているに過ぎないが。(大事なことなので2回言った)