第二百六十六話
「まだ続ける気か?」
続きます。
「戦場で諦めるというのは死と同義なのでね。そう潔くやられるわけにはいかんさ」
おっと失礼、余計な雑念が入りました。
「今の世の中降伏して捕虜となってもそれなりの待遇が保証されている……らしいぞ?」
「ご自分が信じていないことを他人に勧めないでいただきたい」
ちなみにハマーンが最後に濁したのはミソロギア、つまりアレンに降伏した時どうなるかなぁという想像をしただけである。
相手が女性なら最低限のは保証されるだろうが、それも万が一ニュータイプであった場合は保証しきれない。
それに何より男の捕虜をどうしているのかをハマーンはよく知っている。
(さすがに映画の影響を受けて骨格をガンダリウム合金に変えられて手の甲あたりからガンダリウム合金製の爪が出せるようになったり、マンガの影響でピーピー言うとお腹が痛くなるようになったり、中二病に夢を現実に!とか言って腕に本当に黒い炎で出るようになったり……命はあるけど、身の保証はされているとは間違っても言えない)
こんなことを考えているが絶賛全裸と激しく格闘中です。(意味深)
「どうせ既に来期の予算削減は決定しているようなものだぞ」
「それでも0ではないさ。ここで降参なんてしようものなら私に未来がない」
「偽物の分際で明るい未来があると思うな」(あ、ミネバ様は例外だよ?彼女達はお互いを尊重しあっていて仲がいいからなんとかなると思う。多分……ん?そういえば王女となるということは結婚する自由がない?もしかしてその世話をしておくべきなの?このまま私が抜けると……あ、なんか親子ほどの差があるキモいおっさんが隣りにいるイメージが……)
「私達と戦っている最中に考え事か?!動きが鈍ったぞ!」
クィン・マンサには操縦桿などはなく、パイロットの脳波によって操作するサイコミュコントロールで動いているため、集中力や思考が乱れたりすれば操縦に支障をきたすのだ。
そして機体に支障が出るということは遠隔操作しているファンネルの支障はそれ以上であり、その鈍くなったファンネルでは——
「私を拘束することはできない!」
「なんだ。私が女王宰相などというわけのわからん二つ名で呼ばれているが貴様など縛る趣味はないぞ」(むしろ私がアレンに縛られているがな!主に触手で!嫌ではないがっ)
「フッ、さすがに私達2人をこの距離で相手しながらファンネルの操作はできないだろう」
「ああ、確かに操作できないな」
フル・フロンタルとアンジェロ・ザウパーは前後から斬りかかり、それをなんとか躱すハマーン。
しかし、さすがのハマーンもエース級2人相手には反撃するのは難しく、時が進むにつれて余裕がなくなり、そして明らかに回避できない体勢で、2人は獲った——
「「——ッ」」
と確信した瞬間に『何か』を感じ取り、慌てて機体を切り返す。
「おっと、私としたことが殺気が漏れてしまったか」
「ま、まさか私達を相手にしながら——」
「今ので終われば楽だったのだがな。まぁ貴様達を相手にしながらでもファンネルは操れるのさ。もっとも3基程度だが——」
(あ、このデータ、アレンに見られる?!や、やばくない?こんな失態を知られたら……か、改竄を……プル達に撮影されてたんだったorz)
「くっ……だ、だが、3基程度なら——」
「ああ、すまん。これからは遊び……いや、違うな。本気は本気だった。しかし、どこか殺し合いではないと甘く見ていたようだ。しかし、これは(私の)生死を掛けた戦いであったのだ。だから——」
ここで消し炭となれ。
「全く、ハマーンは遊び過ぎだな。これはお仕置き確定だ。何がいいかな」
「あの……ハマーン様はエース級2人を含めた中隊を相手にして勝利したんですから……」
「甘いなスミレ。私はハマーンが負けていても問題はなかった」
「そうなんですか」
「ああ、私の作品が負けてしまうのは歯がゆいが、それでも実力を出し切って負けたならそれは仕方ないことだ。スミレが言う通り、相手は赤い彗星や白い悪魔ほどではないにしてもエース級が2人と雑魚とはいえ精鋭が揃っていた。戦いとは常に運が付きまとう以上、100%の勝利などありえない」
「ならなぜ?」
「勝ったからといってこの体たらく……私の検体としては勝利したことを考慮してもギリギリアウトだ。特にこの模擬戦のデータは私が見ることを前提にしているのだからな。検体は全力を出すべきだ」
「なかなか厳しいですねー」
「今回はエース級の2人が珍しく全力で戦っていたというのに……」
「え、そうなんですか」
「ああ、今回はあいつら武断派にとって力を見せる絶好の機会で、ハマーンを追い落とす……ことは無理でも影響力は拡大することができる機会でもあったわけだ」
「へー」
「そんなエース級の実力を測るいい機会であったのに……」
「で、でも、ハマーン様からこんなに反省文が書かれてますし」(30万文字オーバーのテキスト)
「却下だ」