第二百八十三話
全裸が帰投後、再度調整し全裸専用機とゴミ(アンジェロ・ザウパー)を放り出した。
後日、全裸にニュータイプ研究所がどんな反応を示したかだけ教えてもらったのだが、やはり私はあまりいい印象を抱かれていないようで(当然である)徹底した解体分析、改良改善ををしようとしたが全裸が断固として拒否したようだ。
その理由は彼らが私以上だとはとても思えず、どう考えても改悪される未来しか見えず、最悪は復元も完全にはできないのではないかと思ったらしい。
いや、さすがに改悪はあり得るとしても復元ぐらいはできるだろう。
機体はデザインこそ設計の関係上、私のオリジナルとなっているが技術的にはザクIIIやギラ・ドーガに近い(ザクIIIとギラ・ドーガではカタログスペック的にはザクIIIの方が上だがコストパフォーマンスではギラ・ドーガが上)と同程度、サイコミュはネオ・ジオン産を再現したもので、強いて言えばOSぐらいだが、こちらはバックアップしておけば特に問題ないはずだ。
ちなみにそれによって私との内通疑惑とハマーン派閥への寝返り疑惑が浮上してしまったらしいが……まぁ私には関係ないことだ。
それに今、武断派は大いに混乱しているだろう。
つい先日に売国奴が大粛清(公的には事故、病死)されたが、次は武断派の中の過激派が次々変死を遂げているのだからな。
この粛清は全裸に案内された幹部達の邸宅の外から共鳴して読み取った情報を基準にしているので本人が誰にも漏らしていない本心や思惑で判断しているために売国奴が粛清された時よりも混乱が広がっている最中だ。
もっとも本人達は誰が粛清に動いているかすら把握できていないだろうがな。
「ところでハマーン」
「モクモクモク……ンッ、なに?」
私自ら作ったショートケーキやチョコレートケーキ、シュークリームをパクパクと食べるのを中断してこちらを向くが……口の周りに生クリームが付いている。
仕方なくそれを掬って口に運ぶ……うむ、さすが私、いい出来だ。
「!”#$%&’()=〜`{+*}>?_」
「帰ったついでにクィン・マンサIIの骨組みだけ作ってきたがカラーリングはどうする?以前と同じように白にするか?それとも別のカラーにするか」
なぜかハマーンがバグっているが気にはすまい。それよりカラーリングを決めておかないと仕上げに入れない。
というのもクィン・マンサIIが完成しなかった要因であるスミレが開発していた未来予測システムが私の留守中にブレイクスルーがあったらしく、一応完成した。これによって後は火力や機動力、運動性などの機体バランスの調整のみとなった。
そして近々ストラティオティスの後継機の設計にも取り掛かることになるので早く決めておきたいのだ。
「……なんかずるい」
なんの話だ?