第二百八十五話
「期待通り動いてくれるようだな。それにしても……ニューオーダー、新しい秩序とはまた皮肉な名前をつけたな」
武断派の選別でネオ・ジオンの弱体化は免れないことは誰でもわかることである。
であるから対策として他の組織にも弱くなってもらおうと私が立案し、ジャミトフが音頭を取った。
ジャミトフの配下(旧ティターンズの信者で貿易所勤務)を通じて燻っていたバスク・オム……エゥーゴを生み出すきっかけとなった戦犯を信奉する者達と接触し、私達がスポンサーとして兵器を流し、連邦の足並みを見出そうと言うのだ。
そのせいで随分と資源が減った。特にペガサス級はさすがにきついな。
大気圏内外を飛行することができる母艦であるペガサス級の製造にはかなり資源を要するのだが、1番の要素は『連邦製で再現』しないといけないからだ。
今までMSはその小型機動兵器に過ぎず(もちろん一部は例外的に大きいが)、数も多いがゆえに廃材から回収される部品の数も多いし、部品の種類自体も少ない。
それに比べてペガサス級はそもそもの数が少なく、艦ともなれば部品の数も多い上に未だに主軸はマゼラン級やサラミス級の改造艦が主流であり、そして宇宙専用艦と万能艦である違いがあるため互換性がない部分が多い。
ペガサス級の系譜で言えばアレキサンドリア、アーガマとアイリッシュ級(ヘンケンが艦長を務めたラーディッシュなど)があるが、あれは連邦製ではなく、製造元はティターンズとアナハイムであるために互換性は皆無だ。
つまりメンテナンス面で1番部品を入手しやすいもので設計することを選ぶと、絶対数が多い連邦製のものがもっとも入手難易度が低いのだ。
わかりやすくいうとミデア、ビックトレーやマゼラン、サラミス、コロンブス、大量消費されるが故に大量に出回っているベースジャバーやド・ダイ改などの部品や武装から作り出されたペガサス級ということである。
「これぐらいの戦力があればしばらくは戦えるだろう」
ここで現在の地球連邦の歪な構成を説明しておくと、エゥーゴの組織力(戦力、士気、人材などの総合)を10とした場合、ティターンズは16、連邦は50である。にも関わらず、組織序列はエゥーゴ、ティターンズ、連邦の順というものになっている。
この歪さを維持しているのはアナハイムであり、アナハイム合算するとエゥーゴの数値は25程度に増えるがアナハイムはあくまで商人、最大値は15ほどあっても最大援助をすることがないので実質は8ほどだろう。
「アナハイムやエゥーゴのスペースノイド優遇政策とも取れかねない政策には反スペースノイド以外のアースノイド達にも反発にも大きい。まぁ一年戦争にジオン公国=スペースノイドという印象を根付かせてしまっている弊害だな。せいぜい苦労してもらうとしよう……そういえばわざわざこれからの方針を伺ってきていたな。案外律儀な奴らだ」
アレンは前もって調べていた(厳密にはジャミトフ達調べ)地球連邦のアースノイド主義、もしくは反スペースノイド主義の基地のリストを送ることにした。